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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2019年9月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2019年9月

 本稿中の為替レートは2019年7月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110円(109.64円)、1タイ・バーツ=3.61円、1ユーロ=123円(122.69円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
 生産量は上方修正

 2019年8月時点の米国農務省(USDA)による2019/20穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、作付面積が前月の予測よりも下方修正されたものの、単収は上方修正されたことから、生産量は139億100万ブッシェル(3億5310万トン、前年度比3.6%減)に上方修正された。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、食品・種子・工業など向けやエタノール向けおよび輸出量が下方修正されたことから、総消費量は141億3000万ブッシェル(3億5892万トン、同0.7%減)に下方修正された(表2)。

【価格動向:トウモロコシ】
 生産者平均販売価格は下方修正

 2019/20穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.60米ドル(396円)と予測され、下方修正された。
 
 
【貿易動向:トウモロコシ】
 5月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少

 2019年5月のトウモロコシ輸出量は、470万2825トン(前年同月比39.4%減、前月比14.3%減)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少した(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり182.50米ドル(2万75円、前年同月比0.4%安、前月比0.2%安)と前年同月および前月からわずかに下落した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
 
 
 
 
 
【貿易動向:コーンスターチ】
 5月の輸出量は前年同月からはわずかに増加したものの、前月からはやや減少

 2019年5月のコーンスターチ輸出量は、9777トン(前年同月比1.9%増、前月比4.1%減)と前年同月からわずかに増加したものの、前月からはやや減少した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり6.61セント(7.3円、前年同月比24.2%高、前月比14.6%高)と前年同月を大幅に、前月をかなり大きく上回った。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。
 
 
 
 

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
 タピオカでん粉国内価格は前年同期からかなり大きく下落

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年8月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.2バーツ(47.7円、前年同期比12.6%安、前週同)となった。2018年を通じて高騰していたタピオカでん粉の国内価格は、同年末にかけて下落し、2019年1月末に前年同期を下回り、それ以降前年同期をかなり大きく下回る水準で推移している。6月末には2019年で最も低い13.0バーツ(46.9円)まで落ち込んだものの、7月下旬に13.2バーツに持ち直し、8月に入ってもそのまま推移している(図5)。
 
 
 

 【貿易動向】
 6月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少

 2019年6月のタピオカでん粉輸出量は、15万8686トン(前年同月比8.8%減、前月比18.5%減)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり441.3米ドル(4万8543円、前年同月比16.4%安、前月比2.2%安)と、前年同月からは大幅に、前月からはわずかに下落した。  
 【※文章および図を修正しました(2019.10.31)】        
 

 
 

ベトナム

【生産動向】
 6月の作付面積は前年同月からやや減少

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、農業農村開発省(MARD)の統計では2019年6月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、35万9994ヘクタールと前月と比べると64.7%増となったものの、前年同月と比べると4.7%下回った(表6)。

 主産地の中央高原地域では、前月と比べ作付面積が4.1倍の11万9498ヘクタール(同2.5%増)となった。例年作付けが行われる時期に気温が高く乾燥した気候となり、作付けは前年よりも1カ月遅れの5月初旬に始まった。一部地域では3月末に作付けが行われていたが、乾燥した気候による枯死によって8〜9割で苗木を再度植えなければならなかった。

 中央高原地域に属し、最大の生産州であるザライ省では、前月と比べ8倍の5万ヘクタールに作付けされ、前年同月とほぼ同じ水準となった。南東地域に属し、第2の作付面積を誇るタイニン省では、前月と比べ22%増の4万ヘクタールに作付けされたものの、前年同月と比べると6.4%減となっている。中央高原地域をはじめとする作付面積の拡大は、砂糖の貿易自由化を進める政府の方針によって、サトウキビに対する生産意欲が低下し、代わりにキャッサバへ転作が行われていることが背景にある。

 ベトナム植物防疫局によると、2019年6月末時点で、キャッサバモザイクウイルスが15州で確認されており、感染地域は合計で3万6870ヘクタールに上る。これは前年同期と比べると5800ヘクタール拡大している。
 
 
 

 【貿易動向】
 6月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少

 AgroMonitorによると、2019年6月のタピオカでん粉輸出量は、10万9222トン(前年同月比21.3%減、前月比13.7%減)と、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少した(図7)
 
 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
 5月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からはやや減少

 2019年5月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万622トン(前年同月比10.9%減、前月比3.9%減)と前年同月からはかなりの程度、前月からはやや減少した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 また、輸出価格(FOB)(注)は8カ月ぶりに前月を下回ったものの、1トン当たり817.90ユーロ(10万602円、前年同月比30.0%高、前月比1.8%安)と前年同月の628.50ユーロ(7万7306円)を大幅に上回った。

(注) 輸出先の不明なものを除く。
 
 
 
 
 

 

コラム 欧州の糖化製品需給動向(2)


 EUでは、2017年9月末に異性化糖の生産割当が撤廃され、製造業者は自由に生産が行えるようになった(コラム−表1)。

 先月号のコラム(注)で述べた通り、砂糖の国際価格の低迷によって異性化糖の生産量は減少している(コラム−表2)。しかしながら、欧州委員会の見通しによると、2019/20年度までに70万トンまで回復し、2025/26年度には90万トンまで増加するとされている。また、製造業者の中には、異性化糖をはじめとするでん粉製品の生産能力の増強といった動きも多く見られる。

(注) コラム「欧州の糖化製品需給動向(1)」は『砂糖類・でん粉情報』(2019年8月号)に掲載。
 
 
 
 

 異性化糖の生産に関する設備投資は、トウモロコシや小麦などの原材料が豊富にある東欧を中心に行われている。Kall Ingredients社は中欧および東欧において最大の異性化糖の生産を誇るが、ハンガリー政府の支援を受け、同国で年間23万トンまでトウモロコシ由来の異性化糖を増産する予定である。また、ADM社はブルガリアにおいて、Agrana社はオーストリアにおいて、それぞれ生産設備への投資を行うことを発表した。これらの動きは生産割当廃止に呼応したものとみられる。

参考 「生産割当廃止を迎えたEUの砂糖および異性化糖産業の動向」『砂糖類・でん粉情報』(2017年12月号) 
    https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001624.html

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
 6月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からはわずかに増加

 2019年6月の化工でん粉の輸出量は、8万9044トン(前年同月比6.6%増、前月比2.7%増)と前年同月からはかなりの程度、前月からはわずかに増加した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

 


 

米国

【貿易動向】
 5月の輸出量は前年同月からはやや増加、前月からはやや減少

 2019年5月の化工でん粉の輸出量は、3万378トン(前年同月比5.4%増、前月比5.2%減)と前年同月からはやや増加、前月からはやや減少となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
 
 


 

中国

【貿易動向】
 6月の輸出量は前年同月からはかなり大きく増加したものの、前月からは大幅に減少

 2019年6月の化工でん粉の輸出量は、7005トン(前年同月比13.5%増、前月比30.9%減)と前年同月からはかなり大きく増加したものの、前月からは大幅に減少した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
 
 

 

EU

【貿易動向】
 5月の輸出量は前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはやや増加

 2019年5月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万4027トン(前年同月比2.6%減、前月比5.6%増)と前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはやや増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

(注) 輸出先の不明なものを除く。
 
 


 

豪州

【貿易動向】
 5月の輸出量は前年同月および前月からわずかに増加

 2019年5月の化工でん粉の輸出量は、2475トン(前年同月比2.6%増、前月比2.2%増)と前年同月および前月からわずかに増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
 
 


 
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