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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2019年10月時点予測)

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最終更新日:2019年11月11日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2019年10月時点予測)

2019年11月

 本稿中の為替レートは2019年9月末日TTS相場の値であり、1ユーロ=120円(119.52円)である。

ブラジル

2019/20年度、輸出量はかなりの程度減少する見込み
 LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)の2019年10月時点の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2019/20砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、砂糖の国際価格の低迷により他作物へ転作する動きが見られるため、847万ヘクタール(前年度比2.0%減)とわずかに減少するものの、生育期間を通じて天候がおおむね良好で、順調に生育していることから、サトウキビ生産量は6億2900万トン(同1.3%増)とわずかに増加すると見込まれる(表2)。

 砂糖生産量は、長期化する砂糖の国際価格低迷などの影響を受けて、多くの製糖業者でエタノール生産を強化する動きが目立つことから、3017万トン(粗糖換算〈以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算〉、同3.6%減)とやや減少し、輸出量は1954万トン(同6.8%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。

砂糖生産に弱さが見られるものの、砂糖の期中在庫は記録的な水準に積み上がる
 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)(注1)によると、収穫最盛期を迎えた6月以降、天候に恵まれ順調に収穫が進んだことから、4月から9月までのサトウキビ収穫量は前年同期比2.7%増の4億7280万トンとなった。しかし、砂糖の国際価格の低迷でサトウキビをエタノール生産へ仕向ける動きが強まっており、砂糖生産への仕向け割合は過去最低を記録した前年をさらに1ポイント程度下回る35%台前半で推移している。このことから、同期の砂糖生産量は同2.3%減の2180万トンとなった。

 他方、砂糖生産に弱さが見られる中、砂糖輸出の減速を背景に国内の砂糖在庫が急速に積み上がっている。ブラジル農務省は10月2日、9月の砂糖在庫量(製品ベース)が1000万トンを超え、この時期としては異例の高水準となったと発表した(注2)

(注1)ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を管轄区域とする業界団体。
(注2)例年は、製糖最盛期の5月から12月にかけて輸出量と消費量をはるかに上回る生産量となるため、12月末ごろに1000万トン近くまで在庫が積み上がる。その後、砂糖生産が終了する1月から急速に在庫が減り始め、最終的な期末在庫は100万トンを下回ることが多い。

 

表2 ブラジルの砂糖需給の推移

(参考)ブラジルの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

インド

2019/20年度、輸出量は大幅に減少する見込み
 多くの製糖業者が経営難に陥り、生産者への原料代の支払いが滞っていることから、生産者の生産意欲の減退を招いているほか、西部地域の各地で発生した洪水により()(じょう)の浸水被害に見舞われたことなども影響して、2019/20砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は466万ヘクタール(前年度比8.5%減)、サトウキビ生産量は3億7017万トン(同7.7%減)と、ともにかなりの程度減少すると見込まれる(表3)。

 インド政府が9月に製糖業者などが石油販売会社に販売するエタノール価格の引き上げを承認したことから、今後サトウキビをエタノール生産へ仕向ける動きが活発になると予想され、前述したサトウキビ生産の落ち込みによる影響も併せて考慮すると、砂糖生産量は2987万トン(同16.1%減)、輸出量は422万トン(同17.9%減)と、ともに大幅に減少すると見込まれる。

インド石油・天然ガス相、バイオエタノールの普及・拡大へ意欲示す
 インドのドルメンドラ・プラハン石油・天然ガス相は10月14日、エタノール混合比率10%のガソリン(以下「E10」という)の普及率を2022年までに100%にする方針を改めて示した。

 原油の約8割を海外に依存しているとされる同国は、輸入額の削減やエネルギー安全保障上の観点などから、2003年ごろにバイオエタノールの生産・普及に乗り出している。当初の計画では、2007年ごろまでにE10をインド全土に普及させるとしていたが、現在出回っているエタノール混合ガソリンのエタノール混合比率は5%のものが主流で、E10の普及がなかなか進まない。その理由として、バイオエタノールの主原料となるサトウキビ由来の糖みつが不足していることや、製糖業者の生産基盤が(ぜい)(じゃく)であることなどが指摘されている。

 このため、同国政府はバイオエタノール生産に仕向ける糖みつの基準を見直したり、製糖業者以外の業者の新規参入を認めたりするなどの規制緩和を進めている。現地報道によると、現在、前述の目標を達成するため、石油販売会社に対しE10の販売を義務付けることも視野に入れた新たな対策が政府内で検討されている。

表3 インドの砂糖需給の推移

(参考)インドの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

中国

2019/20年度、輸入量は大幅に増加する見込み
 2019/20砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は122万ヘクタール(前年度比0.4%増)と横ばいで推移するものの、天候不順などの影響で生育が停滞していることから、サトウキビ生産量は7369万トン(同6.2%減)とかなりの程度減少すると見込まれる(表4)。てん菜については、収穫面積は24万ヘクタール(前年度同)と横ばいで推移するが、主産地である内モンゴル自治区で広範囲の害虫被害が発生した影響から、てん菜生産量は1137万トン(前年度比2.5%減)とわずかに減少すると見込まれる。

 これに伴い、砂糖生産量は1075万トン(同7.6%減)とかなりの程度減少し、その不足分を賄うため、輸入量は545万トン(同20.0%増)と大幅に増加すると見込まれる。

急増する砂糖輸入量、市場関係者の反応は冷静
 中国税関総署が9月23日に公表した貿易統計によると、2019年8月の砂糖の輸入量は、前年同月比3.2倍の47万トンと急増した。2018年10月から同月までの累計は、282万トン(前年同期比25.9%増)と大幅に増加している。

 市場関係者の間では、これはミャンマー、ラオス、ベトナムなどの周辺国を経由した砂糖の密輸の取り締まりが強化された結果と指摘する声が多い。現地報道によると、例年150万〜280万トンの砂糖が中国に密輸されているとされるが、今年に入り中国税関当局が密輸ルートの壊滅に向け、密輸業者の大規模な摘発に乗り出している。これに伴い、正規の輸入ルートでの輸入が増え、輸入量が統計に正しく反映されたことで、数値は例年より上振れしたという見方が強い。

表4 中国の砂糖需給の推移

(参考)中国の砂糖(粗糖・精製糖別)の輸入量および輸入単価の推移

EU

2019/20年度、輸出量は大幅に減少する見込み
 2019/20砂糖年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は162万ヘクタール(前年度比5.4%減)とやや減少すると見込まれている(表5)。てん菜生産量は、深刻な干ばつに見舞われた前年度からの反動で1億1854万トン(同3.7%増)とやや増加すると見込まれる。

 EU最大の砂糖生産国フランスにおけるてん菜生産の落ち込みが響き(後述)、砂糖生産量は1805万トン(同1.2%減)とわずかに減少し、生産量が消費量を下回ると予想されることから、輸出量は139万トン(同30.8%減)と大幅に減少すると見込まれている。

EUとメルコスールとのFTA、EUの批准手続きは難航必至
 EUの政策に対して賛否を判断するオーストリア議会の小委員会は9月19日、6月末にEUとメルコスール(南米南部共同市場)(注1)が政治合意した自由貿易協定(FTA)について、締結に反対する決議を採択した。同委員会は、決議に基づき政府の意思を法的に拘束する権限を有していることから、オーストリア政府はこの決定に従い、加盟国の閣僚級代表により構成される欧州理事会において、同FTA締結に関する議案に反対票を投じることとなる。

 同FTAを発効させるには、EUは欧州議会の同意と欧州理事会での全会一致の決定が必要となるが、今回のオーストリア議会の決定によってEU内の批准手続きは難航することが予想される。

 なお、メルコスールとのFTAをめぐっては、フランスとアイルランドもFTA締結に反対する意向を表明している。EU各国がメルコスールとのFTA締結に抵抗する姿勢を示す背景には、同FTAに反対する農業団体などが政府への活発なロビー活動を展開し、必死に巻き返しを図っていることがある。砂糖については、ブラジル産粗糖に対して現行の関税割当数量(33万4054トン)(注2)の範囲内で無税の関税割当枠(18万トン)を設けることで合意しているが、欧州の製糖団体などは「史上最悪の譲歩」と酷評し、強く反発しており、合意の撤回と再交渉を求めている。

 EUの粗糖の輸入量は、年により変動があるものの2018年はブラジルからの輸入量が最も多い。メルコスールとのFTAが発効すれば、同国からの輸入シェアが大きく広がる可能性がある。

(注1)外務省によると、メルコスールは域内の関税撤廃などを目的に発足し、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ、ボリビアの6カ国が加盟している。ただし、ベネズエラは加盟資格停止、ボリビアは各国議会の批准待ちで現在議決権はない。
(注2)ブラジル産粗糖に対する関税割当内の関税率は1トン当たり98ユーロ(1万1760円)、関税割当外の関税率は同339ユーロ(4万680円)である。


フランスのてん菜生産量、前年と比べかなり減少する見込み
 フランス農務省は10月9日、2019/20年度のてん菜生産量が前年比7.5%減の3700万トンとなる見込みと発表した。これは、平年より高温・乾燥した状況が続いたことに加え、長引く砂糖の国際価格の低迷とネオニコチノイド系農薬の使用規制(注3)により生産者の生産意欲の減退を招き、作付面積自体が減っていることが影響しているとした。

 また、同省はてん菜生産量が減少する結果、製糖期間は前年より9日短い107日間になると予想しており、稼働率の低下による製糖業者の業績の影響にも懸念を示した。

(注3)ネオニコチノイドの使用規制に関する情報は、当機構ホームページの海外情報「欧州委員会、3種類のネオニコチノイド系農薬の屋外での使用禁止を決定(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002218.html)をご参照ください。

表5 EUの砂糖需給の推移

(参考)EUの主要国別砂糖生産見通しおよび生産割合(2019年9月時点)

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272



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