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品目別経営安定対策導入後のさとうきび生産・担い手の現状と課題について

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最終更新日:2019年12月10日

品目別経営安定対策導入後のさとうきび生産・担い手の現状と課題について

2019年12月

公益社団法人 沖縄県糖業振興協会
理事長 島尻 勝広

【要約】

 平成19年の品目別経営安定対策導入当初は6割が特例要件(A-5)であったが、本則要件のみとなった22年にはその大部分がA-3(共同利用組織)へと移行した。その後の要件区分別割合には大きな変動はなく、担い手の中心と期待されるA-1、A-2の要件区分が十分に育成されず、規模拡大や認定農業者などの担い手育成・確保が今後の課題となっている。

はじめに

 沖縄県におけるさとうきびは、県全体の農家数の約7割、耕地面積の約5割、農業産出額の約2割を占める基幹作物であり、特に多くの離島を抱える本県において製糖業とともに地域経済、社会を支える重要な作物となっている。また、さとうきびは他作物に比べて比較的台風や干ばつに強く、離島地域にお いては代替のきかない作物である。

 沖縄県では、農林水産省の「さとうきび増産プロジェクト基本方針」に基づき、平成27年を目標年とし、島別および県段階における生産目標や取り組みの方向を示した「さとうきび増産プロジェクト計画」を18年に策定した。その後、37年を目標年とする「さとうきび増産計画」として27年に改定した。

 さらに、24年度から新たにスタートした「沖縄振興特別措置法」に基づき、「沖縄県21世紀ビジョン基本計画」を24年5月に策定し、この二つの計画によって生産基盤の整備、安定生産技術の開発および普及、機械化や地力増強、病害虫防除対策の推進、生産法人など担い手の育成、優良品種の開発・普及など総合的な施策展開による生産振興を推進している。

 砂糖の価格関連対策は、19年からさとうきびの最低生産者価格が廃止され、経営安定対策として生産者への甘味資源作物交付金が導入されるなど、大きく変更されることになった。

 経営安定対策導入後、10数年経過している中、さとうきびは地域農業の基幹作物としての役割を果たしている一方で、生産量は、台風、干ばつなどの自然災害を受けながら、大幅な減産からの回復基調へと大きく変動している。本稿では、生産や担い手育成の現状を概観するとともに、さとうきび・糖業を取り巻く環境や将来の沖縄県・地域農業の生産振興の方向性について検証する。

1.経営安定対策導入後のさとうきび生産状況

 経営安定対策導入後のさとうきび生産状況を見ると、収穫面積は平成19年の1万1823ヘクタールから30年の1万2016ヘクタール(1.6%増)となっている(表1)。作型別の収穫面積は、夏植えで同5393ヘクタールから2502ヘクタール(53.6%減)と大幅な減少となっている。春植えは同1476ヘクタールから1494ヘクタール(1.2%増)と微増している。株出しは同4954ヘクタールから8020ヘクタール(61.9%増)と大幅に増加している。
 

 作型別収穫面積のうち夏植えの減少は、本島北部、中部、南部における19年の1195ヘクタールから30年の608ヘクタール(49.3%減)の大幅な減少が主な要因である(図1)。


 一方、株出しは、宮古、八重山で同319ヘクタールから4097ヘクタール(12.8倍)と大幅な増加傾向にある。特に宮古は同106ヘクタールから30倍の3138ヘクタールに増加しており、全収穫面積5335ヘクタールのうち6割を株出しが占めている(図2)。


 単収は、年度ごとに台風・干ばつなどの自然災害の影響を受け、作型に関係なく不安定に推移している。生産量についても同様に、収穫面積が微増傾向の中、単収増減に連動して不安定に推移している。特に、23年の生産量の低迷(50万57トン)については、低単収(10a当たり4386キログラム)の影響が大きい(図3)。


 機械収穫率は、19年の40.7%から30年の78.7%と飛躍的に高くなっている。その背景には担い手不足や重労働である収穫作業の機械化の推進があり、引き続き、機械収穫率は加速的に高まっていくことが想定される。

 農家戸数は19年の1万6829戸から30年の1万3018戸と22.6%減となり、今後も減少傾向は続くと予想される。一方で高齢化率は19年の34.7%から30年の39.2%と増加している。また、生産法人数は19年の51経営体から30年の115経営体と2倍超となり、着実に増加している。

 作物(さとうきび)共済加入状況は、19年の36.7%から30年の48.1%と増加傾向にあるが、台風などの自然災害の多い中、農家経営の安定を図るためには引き続き加入促進が求められる。また、新たな収入保険制度を活用した経営安定も重要な対策となる。

 経営安定対策導入後、収穫面積は微増であるが、地域によっては高齢化に伴い、収穫の負担が大きい夏植え面積の減少が見られる一方で、土壌害虫対策の効果で株出し面積が拡大する動きもある。また、生産量は担い手不足による機械化の加速的な進展や台風・干ばつなどによる変動が見られる。さとうきび生産の安定に向けて、将来、地域のさとうきび・糖業を取り巻く環境を把握するとともに、地域ごとのさとうきび担い手像を構築し、既存の生きがいの高齢化農家や新たな生産法人などの多様な担い手を関係機関において育成・確保していく取り組みが重要である。

2.要件区分別農家数の推移

 以下に示す経営安定対策(甘味資源作物交付金)の対象となる生産者の要件別に、農家数の推移を見ることにする。
 

 全体では、平成19年の1万6923経営体から30年は1万2590経営体へと25.6%減少している(図4)。19年の要件区分割合を見ると、経営規模の零細性や農業受委託組織等の未整備などで本則要件への充足が厳しい中、特例要件A-5が1万648経営体で全体1万6923経営体の62.9%と大半を占めていた。22年から本則要件のみ対象となり、21年のA-5要件6572経営体の多くがA-3要件へ移動していることがうかがえる。その後、対象経営体数(以下「農家数」という)は、22年の1万6090経営体から30年の1万2590経営体へ21.8%減少している。なお、宮古においては、本則要件移行前の21年にA-5(20年時点で2718経営体)の大部分がA-4(21年時点で4816経営体)に移動している。

 本則要件が導入された22年から30年の推移を要件区分別に見ると、A-1が75.2%減、A-2が16.1%増、A-3が18.6%減、A-4が21.7%減となっている。
 
 
 地区別では沖縄本島(北部・南部・中部)が8979経営体から5354経営体(40.4%減)と大幅に減少している(図5)。一方、宮古・八重山は同6165経営体から5961経営体(3.3%減)とわずかな減少にとどまっている。

 本則要件移行後(22年)から30年の推移を見ると、A-1は395から96経営体と大幅な減少傾向にある。A-2は1219から1426経営体と八重山を中心に増加している。A-3は特例要件A-5からの移行で、22年は7208経営体と増加したが、30年は5529経営体と1679経営体減少している。A-4は22年時点では、7268経営体と最も多かった要件区分であったが、次第に減少傾向にある。なお、22年以降の地区ごとの要件区分の構成に大きな変動は見られない。逆に、要件区分から推測できる担い手の方向性に大きな変動が見られないことは、今後の担い手育成に残された課題といえるだろう。
 

3.要件区分および年齢階層別高齢化率の推移

 (1)要件区分別高齢化率の推移

 県全体の要件別高齢化率(70歳以上の階層割合、以下同じ)は、平成19年の34.7%から30年の39.2%(4.5ポイント増)と増加傾向で推移している(表2)。要件別ではA-1が6.9ポイント増、A-2が0.5ポイント増、A-3が19.0ポイント増、A-4が4.0ポイント増とA-3のみ高齢化率が大幅に増加している。なお、本則要件導入時の22年からは、全ての要件区分において高齢化率の大幅な変動は見られないことから、A-3の高齢化率の増加は22年に移行したA-5に起因するものであることがうかがえる。


(2)年齢階層別高齢化率の推移

 全体の農家数は、60代の階層で増加傾向にある一方、その他の階層では大幅な減少傾向が見られる(表3、図6)。

 しかしながら、70代以上のうち、80代階層は平成19年の1112経営体から30年の1855経営体と66.8%増加しており、昭和一桁世代がスライドしながら生産を担っていることがうかがえる。

 法人数は、19年の51法人から30年は115法人と倍増している。
 





 

ア A-1要件区分

 A-1要件区分の農家数は、全ての年齢階層で減少傾向が見られる(表4)。

 高齢化率の推移を見てみると、平成19年の2.7%から30年は9.7%と増加している(図7)。なお、23年から28年は13.3〜13.0%と高齢化率が高くなっていたが、近年低下傾向にある。

 法人数は、19年の15から30年は3法人と、近年大幅に減少している。




 

イ A-2要件区分

 A-2要件区分の農家数は、60代階層で増加傾向が見られ、他の階層では減少傾向にある(表5)。

 高齢化率の推移を見てみると、平成19年の32.5%から30年は33.0%とほぼ横ばいで推移している(図8)。

 法人数は、19年の16から30年は3倍の48法人と増加傾向にあり、一定の規模拡大や、生産組織の育成が図られていることがうかがえる。
 




ウ A-3要件区分

 A-3要件区分の農家数は、平成19年の71経営体から30年の5529経営体(77.9倍)と大幅に増加している(表6)。これは、前述の通り本則要件充足のため、22年にA-5要件区分の大部分がA-3へ移動したことが要因である。よって、A-3要件区分の実態を反映させるため、基準年を22年で比較する。

 A-3要件区分の階層別農家数の推移では、22年を基準に見ると、60代階層で増加傾向が見られ、他の階層では減少傾向にある。

 次に高齢化率の推移を見てみると22年の39.6%から30年は44.3%と、増加している(図9)。

 法人数は、22年の2から30年は15法人に増加している。






エ A-4要件区分

 A-4要件区分の農家数は、他の要件区分と比較して一部変動はあるものの、大幅な変動は見られず安定的に推移している(表7)。

 また、前述の通り平成21年に宮古のA-5要件区分の大部分がA-4へ移動したため、21年を基準に推移などについては留意すべきである。

 次に農家の高齢化率の推移を見てみると、19年の32.2%から30年は36.2%と増加している(図10)。

 法人数は、19年の18から30年は49法人と増加傾向にある。





 


(3)地区・主要市町村別高齢化率の推移

 平成30年の地区・市町村別高齢化率を見ると、本島北部が42.5%、中部48.8%、南部43.9%、本島周辺離島28.5%、宮古島市37.1%、石垣市33.3%と本島地域で高齢化率が顕著である(表8)。

 19年から30年の推移を見ると、市町村単位で高齢化率の高い読谷村は9.3ポイント増、南城市が11.7ポイント増と増加している。本島周辺離島の伊是名村は11.8ポイント増、久米島町は7.7ポイント増と増加傾向にある。一方、宮古島市は同1.3ポイント増、石垣市は5.4ポイント増と、主産地における担い手確保や高齢化の進展は沖縄本島と動向は異なっており、それぞれの地域に実態に応じたさとうきびの担い手育成・確保の重要な課題であるといえる。
 

4.さとうきび産業に関連する数値の動向

(1)農業産出額

 さとうきびの農業産出額は平成4年の227億円から29年は168億円と減少傾向にある(図11)。さとうきびは台風・干ばつなどの自然災害を受けやすいため、年度によって生産量は安定しないものの、沖縄県の農業産出額に占める割合は、2割前後で推移しており、依然として沖縄農業の基幹作物となっている。
 



(2)機械収穫率

 沖縄県のさとうきび機械収穫率は、平成19年の40.7%から29年は76.0%と約2倍となっており、急激に機械化が進展している(図12)。地域別には本島北部が53.6%から82.1%、中部が16.8%から47.6%、南部が49.6%から67.9%、宮古が24.4%から81.0%、八重山が56.1%から79.4%となっている。今後、収穫作業の重労働などを考慮すると、引き続き機械収穫率は上昇していくことが予想されることから、計画的なハーベスタ導入やオペレータ確保・育成や効率的な稼働体制を構築することが肝要である。

 さらに、好調な沖縄県の観光業や建築業など他産業も含めた労働市場の変化や生産農家の高齢化に伴い、労働力の確保がより困難になることが見込まれており、収益性の確保などの観点から、植え付け、肥培管理、収穫、株出管理といった主要作業の機械化体系の構築が喫緊の課題となってくる(表9)。
 

 



 
(3)製糖工場の稼働率

 平成19年以降の製糖工場の稼働率の推移は、台風・干ばつなどの影響によりさとうきび原料の不安定な生産に比例して変動が大きい(表10)。

 沖縄本島の球陽製糖、翔南製糖管内は原料不足などにより、27年から工場合併により原料を確保し、30年は60.2%の稼働率となっている。

 宮古製糖伊良部工場は、100%以上の操業率を確保して推移しているが、他の工場操業率は平均して70%前後となっている。

 効率的な工場操業に向けて、安定的な原料確保が欠かせない状況にあり、生産農家をはじめ、国、県など関係機関が連携して増産対策に取り組んでいくことが一層期待される。




(4)台風被害額

 さとうきびは土地利用型作物であるが、台風常襲地帯である沖縄県では毎年台風被害を受けている。過去10年間(平成21〜30年)のさとうきびの年平均被害額は11億5754万円にのぼっている(表11)。

 さとうきび栽培農家の経営安定を図るために、防災営農の徹底に加え、農業共済の加入が重要である。県全体の29年共済引受率は、51.2%であり、地区別には本島北部が56.9%、中南部53.8%、宮古48.7%、八重山48.1%と大きな差はない。29年の台風被害額6億7217万円に対し、支払共済金は1億5570万円であり、引き続き、台風などの自然災害に対して経営安定を図るために、共済加入の促進をとともに、国の収入保険制度の有効活用を図る必要がある。
 

5.さとうきび担い手育成・確保について

(1)農地中間管理事業におけるさとうきび担い手への農地集積について

 農地中間管理事業におけるさとうきび生産担い手への農地集積実績(平成31年3月末)については、貸付先面積498.4ヘクタールのうち、営農類型別ではさとうきびが200.2ヘクタールで全体の40.2%と高い割合を占めている(表12)。また、貸付先件数でも全体で854件のうち、さとうきびは249件で全体の29.2%となっている。



 

 次に主な市町村別さとうきび貸付面積(件数)を見ると、南城市13.2ヘクタール(19件)、久米島町18.7ヘクタール(16件)、宮古島市57.2ヘクタール(67件)、石垣市25.1ヘクタール(37件)、竹富町50.0ヘクタール(54件)と当該事業を活用した成果が現れている(表13)。引き続き、制度の周知徹底を図るとともに関係市町村などと連携し、担い手の農地集積を図りながらさとうきびの規模拡大に努める必要がある。


コラム―農業競争力強化基盤整備事業と農地中間管理事業の連携事例(沖縄県宮古島市西新生地区)

 農業競争力強化基盤整備事業(以下「基盤整備事業」という)における宮古島市西新生地区の概要は、受益面積64.7ヘクタール、受益戸数67戸で営農計画は、さとうきび45.3ヘクタール、かぼちゃ6.7ヘクタール、マンゴー1.8ヘクタールなどとなっている(コラム−図)。基盤整備事業の採択要件である農地集約化を図るため、農地中間管理事業(利用権設定)との連携を図り、地区内の農地2割以上を担い手に集積することにより、基盤整備事業採択要件を満たすとともに農地中間管理事業(地域集積協力金)の交付要件を充足することができた。

 農地の2割以上を担い手に集積するため、農地中間管理事業との連携に向けて平成28年4月から、県、市・農業委員会、農地中間管理機構および地区受益者、自治会住民の関係機関で、人・農地プラン、農用地利用集積計画および農用地利用配分計画や地域集積協力金の使途などについて話し合いしながら事業を推進した。

 具体的には、県整備課の集積計画を基に農業委員会(農地情報)、市農政課(人・農地プラン)、集落(担い手の推薦)、中間管理機構(協力金)がそれぞれ分担して取り組みを行った。

 その結果、29年8月から基盤整備事業を実施し、当該地区は、沖縄県農地中間管理事業の重点実施区域・モデル地区およびNN連携地区(注)となったことから農地中間管理事業(地域集積協力金)を導入した。



 

 基盤整備事業と農地中間管理事業との連携効果として、▽高齢受益者の整備負担金への不安からくる事業の途中離脱の意向について、農地中間機構を介した貸付により翻意することができたこと▽新たに6ヘクタールの農地が中心経営体に集積されたこと▽基盤整備事業の促進費と地域集積協力金を受給するため、県・市・機構が連携して取り組んだことにより受益者の理解も得られやすく、事業推進を後押ししてくれたこと―などが挙げられる。

 地域農業においてさとうきびは基幹作物であるが、さとうきび生産農家の高齢化の進展、零細かつ分散型の()(じょう)や機械化の推進など、将来を見据えて担い手への農地集積・大型区画整理や事業負担の軽減など現状を考慮した基盤整備の推進が強く求められており、当該地域の事業連携の事例は他地域への波及モデルとして期待される。

 (注)農地整備事業(区画整理事業)と農地中間管理機構(農地中間管理事業)との連携。担い手を人・農地プランに盛り込み、一部高齢農家と地域担い手の2者間で賃貸借を設定して利用権設定による担い手集積へと進み、大きな造成区画を推進することを目的とする。
(2)新規就農者の育成・確保の実績

 沖縄県では、農業の担い手育成・確保のため、中長期的に一貫した支援システムの構築による就農相談から就農定着までの支援により、新規就農者数年間300人の育成・確保に努めている。

 また、沖縄県農業振興公社も県行政と連携を図りながら、「農業後継者育成確保対策事業」「沖縄県青年農業者等育成センター事業」「農業次世代人材投資事業」で新規就農者などに対する就農相談から研修、研修費用などの支援、農地の確保までの一連の支援体制を強化することで、就農定着に向けたより効率的な農業後継者の育成に取り組んでいる。

 平成30年度の新規就農者282人のうち、さとうきびは75人(26.6%)となっている。地区別の内訳は宮古が48人(64.0%)、八重山15人(20.0%)とさとうきび主産地の地域で新規就農者の育成・確保が進んでいる(表14)。

 今後、さとうきび新規就農者の定着に向けて、農地確保などによる規模拡大など、収益性の確保に向けた継続支援が重要となってくる。
 

おわりに

 平成19年度から導入されたさとうきび経営安定対策の交付対象要件の充足に向け、生産者をはじめ関係機関が一体となって取り組んできた結果、全ての生産農家が対象となった。

 しかしながら、19年の要件区分では、対象農家数1万6923経営体のうち1万648経営体(62.9%)が特例要件(A-5)で大部分を占めた。さらに、21年までの特例期間において本則要件の充足に向けて農業受託組織の育成や規模拡大、認定農業者の早期育成などの取り組みにより、22年はA-5の大半がA-3へ組み込まれた。

 22年以降の要件区分割合の推移は、大きな変動は見られず、さとうきび生産の担い手の中心と期待されるA-1、A-2の要件区分が十分に育成されず、規模拡大や認定農業者の担い手育成・確保、農作業受委託組織の育成、地域ごとの機械化作業一貫体系の構築、生産性の向上などの課題が残されている(図13)。

 次に地域別高齢化率の推移では、すべての要件区分で増加傾向にあり、A-3階層や沖縄本島、特に読谷村や南城市、糸満市などの市町村において高齢化が進んでいる。また、年齢階層別には80代階層が増加傾向にあり、この階層のリタイア後の急激な担い手不足が想定される中でいかに担い手の育成・確保対策を講じていくか、機械化作業一貫体系の構築を含め、個別農家任せではなく、地域全体での担い手対策と併せて新たな生産法人(受委託組織含む)の育成などは緊急の課題である。

 一方、担い手以外のさとうきびを取り巻く環境は、機械化収穫率の向上、農業共済加入率向上、土地改良・灌漑(かんがい)施設などの生産基盤整備、優良種苗の開発・導入など生産対策の成果は上がっているが、引き続き対策に取り組んでいく必要がある。
 
 今後、生産農家の高齢化の進展、社会経済の動向を踏まえつつ、経営安定対策の要件充足や、安定的なさとうきび生産を確保するため、新たな生産法人の育成、農地中間管理事業などを活用した担い手への農地集積・集約化、機械化一貫作業体系の構築、加速的な生産基盤整備の促進に向けた取り組みが必要である。コラムで紹介した宮古島市西新生地区の事例では、機械化に向け、従来と比較して大規模な区画整理、農地中間管理事業を活用した経費負担軽減、担い手への農地集積など新たな取り組みも実施されており、今後の担い手育成の取り組みモデルとして期待される。

 生産実態が異なる地域ごとの担い手の育成については、地域ごとに即した新たな「担い手像」の構築に向けて話し合いながら、関係機関が一体となって取り組むことが重要である。

 これまで生産法人の実態は、ハーベスタなど高性能機械の保有が中心であったが、今後、安定的な生産に向けて、新たに製糖工場、JAなども参加して経営基盤の強化を図り、計画的な生産を担うことができる新たな生産法人の育成が期待される。新たな生産法人の役割として、生産現場において生産意欲はあるものの高齢化などで新植作業や適期肥培管理ができない実態が浮き彫りになっており、植え付け、肥培管理、収穫、株出管理などの機械化一貫作業の受委託を担うことも強く求められている。なお、高齢の生産農家が生産を担っている実態も考慮し、生きがいと健康増進志向の非中核的農家の単収向上をいかに図るか、技術上の普及啓発も重要な活動となる。

 県の「沖縄県21世紀ビジョン基本計画」や国の「さとうきび増産プロジェクト」におけるさとうきび生産振興の目標の達成に向けて、生産農家をはじめ、関係機関が一体となって生産対策に取り組んでいくことが期待される。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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