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食品メーカーにおける加糖調製品およびその他甘味料の利用形態

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最終更新日:2019年12月10日

食品メーカーにおける加糖調製品およびその他甘味料の利用形態
〜平成30年度甘味料およびでん粉の仕入動向等調査の概要〜

2019年12月

調査情報部

【要約】

 加糖調製品およびその他甘味料の仕入れ量は総じて安定している。仕入価格については、その他甘味料は総じて安定している一方、加糖調製品については、為替の変動や主原料の生産量の変動などにより「上昇」または「下落」と回答する企業が一定数存在した。今後の仕入れ見込みについては、加糖調製品、その他甘味料ともに、「横ばい」が過半を占めたが、ココア調製品については「増加」とする回答が3割程度あった。

はじめに

 加糖調製品は、主に砂糖と他の原料を混合した食品加工原料を指し、多くはパン、飲料、チョコレート菓子、和菓子、水産練り製品などの食品製造で使用される。種類は、ソルビトール調製品、ココア調製品、ミルク調製品、加糖あん(調製した豆)、小麦粉調製品などがあり、日本で使用されるもののほとんどはシンガポール、韓国、中国、タイなどの海外から輸入されている。砂糖と競合関係にもあり、国内の甘味料全体の需要が減少傾向の中、加糖調製品の需要量は微増減を繰り返しながら全体としては上昇傾向で推移している(図1)。

 果糖は、でん粉由来の甘味料で、低温であるほど甘みが強まることに加え、低温下でも結晶化しにくい特性があることからアイスクリームなどの冷菓や清涼飲料などの製造で用いられることが多い。ソルビトールは、糖アルコール類の一つで、タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しないことや消化・吸収されにくいなどの性質を持つことから加工食品や低カロリー甘味料としても使用されている。

 当機構では、実需者の甘味料に対するニーズを把握し、甘味料の需給動向の判断に資す基礎的な情報を収集するため、食品製造事業者を対象としたアンケート調査を毎年実施している。

 本稿では、平成30年度を対象に実施した「甘味料およびでん粉の仕入動向等調査」のうち、加糖調製品(ソルビトール調製品、ココア調製品、ミルク調製品、加糖あん、小麦粉調製品)およびその他甘味料(果糖、ソルビトール)の調査結果について報告する。なお、砂糖類および人工甘味料については本誌2019年11月号を参照されたい。また、天然でん粉および化工でん粉の調査結果については次号で報告予定である。
 

1.調査の方法

(1)調査期間

 令和元年7〜8月

(2)調査対象

 甘味料を使用する食品製造事業者

(3)調査項目

 平成30年度(4月〜翌3月)の加糖調製品およびその他甘味料の用途、仕入れ状況などに関する事項

(4)調査方法

 郵送による調査票の発送および回収を実施

(5)回収状況

 配布企業数    105社
 回収企業数      61社
 調査票回収率   58.1%

(6)集計区分



 
 
(7)集計結果についての留意事項

 ア.図中の「n」は有効回答数を表す。

 イ.端数処理の関係により、図中の内訳の合計が100%にならないことがある。

 ウ.「不明・無回答」は比較対象から除外する。

 エ.ソルビトールは食品の他、化粧品などの日用品や医療品などの用途で幅広く使用されているが、本調査は食品製造企業のみを対象に集計を行ったことに留意されたい。

(8)調査企業の概要

 加糖調製品を使用する企業46社およびその他甘味料を使用する企業39社の資本金の額と業種のそれぞれの構成比は、図2および図3の通り。

 (注1)複数の加糖調製品を使用する企業があるため、1(6)の集計区分の内訳の合計と一致しない。

 (注2)複数のその他甘味料を使用する企業があるため1(6)の集計区分の内訳の合計と一致しない。
 





2.集計結果

(1)加糖調製品

ア.加糖調製品の用途

 加糖調製品の用途を見ると、「和生菓子・洋生菓子」が27件と最も多く、次いで「パン(パン類、食パン、菓子パン、その他のパン)」が18件、「アイスクリーム類」「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」がともに17件と続く(図4)。その他に分類される用途には、冷凍食品やシリアル、ようかんなどが挙げられた。

 また、種類別に用途数を見ると、ミルク調製品が12種類と最も多くの用途で使用されており、次いでソルビトール調製品が10種類、ココア調製品が8種類、加糖あんが6種類、小麦粉調製品が4種類となっている。また、ミルク調製品は「アイスクリーム類」、ソルビトール調製品は「キャンディー・グミ・チューインガム」、加糖あんおよび小麦粉調製品は「和生菓子・洋生菓子」、ココア調製品は「チョコレート類」への使用割合がそれぞれ最多であった。

 


イ.加糖調製品を使用する商品の数

 加糖調製品を使用する商品の数を種類別に見ると、ソルビトール調製品は1企業当たり「5点以下」「6〜20点」「21〜50点」が同率で最多であった(図5)。ココア調製品、加糖あんおよび小麦粉調製品は「6点以下」が最多であった。ミルク調製品は「101点以上」(36%)が最も多かったが、「6〜20点」「21〜50点」も比較的多く見られた。
 



ウ.加糖調製品を使用する理由

 加糖調製品を使用する理由としては、「製造原価(製造コスト)を抑える」が45件と圧倒的に多かった(図6)。その他には、「自社で調製する技術や設備を有していない」「主原料(甘味料を除く)そのものの必要量が確保できない」という回答が多かった。

 種類別に見ると、加糖あんは「自社で調製する技術や設備を有していない」が、加糖あん以外の調製品は「製造原価(製造コスト)を抑える」が使用理由として最も多かった。
 
エ.仕入量の動向

 (ア)直近1年間の仕入量

 平成30年度の仕入量を見ると「50トン未満」が23%で最も多く、次いで「200トン以上500トン未満」「500トン以上1000トン未満」(各14%)、「50トン以上200トン未満」「1000トン以上2000トン未満」(各11%)、「2000トン以上5000トン未満」(10%)となった(図7)。

 種類別に見ると、ソルビトール調製品は「500トン以上1000トン未満」、ココア調製品は「50トン以上200トン未満」が最も多い(図8)。ミルク調製品は「200トン以上500トン未満」、加糖あんと小麦粉調製品は「50トン未満」が3〜4割を占め、最も多くなっている。






 (イ)前年度と比較した仕入量の動向

 平成29年度と比較した30年度の仕入量の動向は、ココア調製品を除いていずれの種類も「横ばい」が半数以上を占めた(図9)。ココア調製品は、「大幅に増加」「やや増加」で4割半を占める一方、「やや減少」が2割弱あり、「横ばい」は3割未満となった。小麦粉調製品については、唯一「大幅に減少」という回答が一部見られた。

 増減要因としては、「需要の変動」を挙げる企業が多く、増加の要因として他に、「商品アイテム数の増加」「新商品の開発」などが挙げられた。「増加」と回答した企業の業種は、パン・菓子の他、乳飲料・乳製品、清涼飲料・酒類、調味料・糖類などの製造業であった。

 「減少」を回答した企業の業種は、パン・菓子、乳飲料・乳製品・水産練り製品、冷凍調理食品・総菜などの製造業であった。

 


 (ウ)今後の仕入量の見込み

 今後の仕入量の見込みは、ココア調製品を除いたいずれの種類も「横ばい」が7〜8割程度を占めた(図10)。なお、いずれも「大幅に増加する」とした回答はなかったが、ココア調製品は「増加する」との回答が4割弱存在した。

 増加の理由としては、「新商品の開発」「需要の増加による商品の出荷数量の増加」「商品の生産能力の補強」「1商品当たりの含有量の増加」などが挙げられ、業種では製菓や乳飲料・乳製品・水産練り製品などの製造業が多かった。一方、減少の理由としては、「需要の減少による商品の出荷数量の減少」「商品の生産中止」などが挙げられ、業種は清涼飲料・酒類や乳飲料・乳製品、製菓などの製造業などであった。
 
 
オ.仕入価格の動向

 (ア)直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成31年3月時点)を見ると、「100円以上140円未満」が23%で最も多く、次いで「140円以上200円未満」「200円以上240円未満」(各11%)、「400円以上」(8%)となっている(図11)。

 種類別に見ると、ソルビトール調製品と小麦粉調製品は「100円以上140円未満」が圧倒的に多く、ミルク調製品は「200円以上240円未満」が最も多い(図12)。ミルク調製品は「200円以上240円未満」が28%と最多であったが、その他すべての価格帯も一定数見られ、価格帯が分散されていた。加糖あんについても、同様の傾向が見られる。




 
 


 
 (イ)前年度と比較した仕入価格

 平成29年度と比べた30年度の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が最も多い(図13)。ただし、加糖あんについては、「大幅に上昇」「やや上昇」で3割超を占めた。また、ミルク調製品やココア調製品は「やや上昇」がある一方、「やや下落」という回答も見られた。小麦粉調製品は「横ばい」が8割を占めるものの、「大幅に上昇」「やや上昇」が1割弱見られる。

 「上昇」の回答理由としては「仕入先の価格改定」が多く挙げられているが「為替の変動」「主原料の生産量の変動」も散見される。業種は、パン・菓子や乳飲料・乳製品の製造業などであった。「下落」の回答の理由としては、「仕入先の価格改定」「為替の変動」「主原料の生産量の変動」などが挙げられ、業種は、乳飲料・乳製品のほか、清涼飲料・酒類、パン・菓子の製造業であった。




カ.加糖調製品に対する評価

 加糖調製品に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、ココア調製品を除いた調製品で「満足」「やや満足」の合計がおおむね5〜6割と高かった(図14)。ココア調製品は「満足」という回答が比較的少なく2割弱にとどまった。なお、いずれの調製品においても、「やや不満」「不満」といった回答はなかった。

 調達面については、ソルビトール調製品、ミルク調製品、小麦粉調製品では「満足」「やや満足」の合計が過半数を超えたが、ココア調製品は4割弱、加糖あんは5割弱にとどまった(図15)。また、ココア調製品とミルク調製品では「不満」が、加糖あんでは「やや不満」と回答する企業が一定数存在した。なお、これら調製品において、各調製品から砂糖への切り替えの意向に関する問いについては、「切り替え意向は無い」という回答が多くを占めた。





(2)その他甘味料

ア.その他甘味料の用途

 その他甘味料の用途を見ると、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が8件で最も多く、次いで「水産練り製品」が7件、「キャンディー・グミ・チューインガム」が6件と続く(図16)。

 また、種類別の用途数を見ると、果糖は「アイスクリーム類」「はっ酵乳・乳酸菌飲料」など13種類、ソルビトールは「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」「水産練り製品」など14種類であった。その他に分類される用途には、冷凍食品やミント系のタブレット菓子、麺製品などが挙げられた。




 

イ.その他甘味料を使用する商品の数

 その他甘味料を使用する商品の数を種類別に見ると、果糖は「6〜10点」「11〜50点」が同率で合計すると半数弱を占めた(図17)。ソルビトールは「11〜50点」が最も多い一方、「101点以上」という回答も見られ、使用する商品数が多いこともうかがえる。
 


 


ウ.その他甘味料を使用する理由

 その他甘味料を使用する理由としては、「商品に風味を加える」が13件と最多である。次いで、「甘味料そのものの味、風味が良い」が8件、「口当たりを良くする」が7件、「商品を日持ちさせる」が6件と続く(図18)。

 種類別に見ると、ソルビトールは「商品に風味を加える」「商品を日持ちさせる」「口当たりを良くするため」など分散されているが、果糖は「甘味料そのものの味、風味が良い」「商品に風味を加える」が主な理由となっている。




 
エ.仕入量の動向

 (ア)直近1年間の仕入量

 平成30年度の仕入量を見ると、「90トン以上」が22%、「5トン以上30トン未満」が16%、「1トン以上5トン未満」が13%となっている(図19)。

 種類別に見ると、果糖は「90トン以上」が22%と最も多く、それ以外がそれぞれ11%と分散している(図20)。ソルビトールも同様に「90トン以上」が最も多いが、次いで「5トン以上30トン未満」が19%が続き、他の仕入量も一定数存在している。








 (イ)前年度と比較した仕入量の動向

 平成29年度と比較した30年度の仕入量の動向は、ともに「横ばい」が7割を占めた(図21)。果糖、ソルビトールともに増減は一定数見られるものの、比較的安定した推移と思われる。

 「増加」と回答した企業の理由としては、「需要の増加による商品の出荷数量の増加」「新商品の開発」が挙げられ、業種はパン・菓子、調味料の製造業であった。「減少」と回答した企業の理由には「需要の減少による商品の出荷数量の減少」「商品アイテム数の減少」などが挙げられ、業種としては清涼飲料・酒類、乳飲料・乳製品の製造業などであった。




 (ウ)今後の仕入量の見込み

 今後の仕入量の見込みは、ともに「横ばい」が大半を占め、比較的安定している(図22)。横ばい以外を回答した企業は、増加要因として「需要の増加」を、減少要因として「需要の減少」「商品数の減少」を挙げていた。
 
オ.仕入価格の動向

 (ア)直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成31年3月時点)を見ると、果糖は「200円以上250円未満」が28%、「250円以上300円未満」が11%、「200円未満」が6%であった(図23)。ソルビトールは、「130円以上150円未満」が22%、「110円未満」「110円以上130円未満」「200円以上」がいずれも同率で11%であった。






 (イ)前年度と比較した仕入価格

 平成29年度と比べた30年度の仕入価格の動向は、果糖は、回答した企業全てが「横ばい」、ソルビトールについても「横ばい」が8割と圧倒的に多く、安定した価格推移になっている(図24)。ソルビトールで「やや上昇」と回答した企業の理由としては、「仕入先の価格改定」が挙げられた。




カ.その他甘味料に対する評価

 その他甘味料に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、ソルビトールは「満足」「やや満足」の合計が過半数を占め、残りは「普通」と回答している(図25)。一方、果糖は「満足」が3割程度にとどまり、「やや不満」とする回答も一部見られた。

 調達面についても同様に、ソルビトールでは「満足」「やや満足」を合わせると4割程度となっている(図26)。一方、果糖においては「満足」が2割程度にとどまり、「やや不満」「不満」との回答がそれぞれ若干数見られ、その理由として、国産の製造数量に限りがあるため安定供給に課題があることが挙げられた。






おわりに

 仕入れ量については、加糖調製品およびその他甘味料ともに、一部増減はあるものの横ばいが過半を占め、総じて安定していると言える。

 仕入れ価格について、加糖調製品はすべての調製品で横ばい回答が最多である中、品目によっては上昇と下落の傾向が一部見られた。加糖調製品から砂糖への切り替え意向については、特にソルビトール調製品で「砂糖の仕入価格によっては切り替え意向あり」とする回答が多くあった一方、それ以外の調製品については「砂糖への切り替え意向は無い」との回答が目立った。

 平成30年12月30日に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(TPP11協定)が発効され、同協定参加国(注)から輸入する加糖調製品については、関税割当枠内の低関税率が適用されることとなった。こうしたことが今後の加糖調製品の仕入動向、ひいては需要動向にどのような影響を及ぼしてくるか、注視していく必要がある。

 調達面の満足度については、外国からの輸入が主である加糖調製品は、リードタイムの長さやデリバリー調整など、輸入先国からの移送に関連する部分で一部不満回答が見られた。その他甘味料では、製造量が少ない国内産果糖の安定供給を求む意見もあった。

 (注)TPP11協定の参加国は、豪州、ブルネイ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、カナダ、チリ。

 最後にお忙しい中、本調査にご協力いただいた企業の皆様に、改めて厚くお礼申し上げます。

【参考文献】

 ・脇谷和彦、菊池美智子(2007)「砂糖以外の甘味料について」『砂糖類情報』(2007年7月号)独立行政法人農畜産業振興機構
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272