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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2019年12月10日

砂糖類の国内需給

2019年12月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「令和元砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した(詳細は2019年11月号参照)。

 

 

 

 

2. てん菜の生産見込み

作付面積は前年産から減少したものの、生産量は上回る見込み
 北海道農政部生産振興局農産振興課は、10月11日に「令和元年産てん菜の生産見込数量(令和元年8月20日現在)」を公表した。

 作付面積は、5万6344ヘクタール(前年産比1.5%減)と、前年産に比べて864ヘクタール減少した(表4)。地域別に見ると、十勝地域が2万4762ヘクタール(同1.2%減)、オホーツク地域が2万3042ヘクタール(同1.4%減)、道央地域4194ヘクタール(同1.5%減)、道南地域4347ヘクタール(同3.6%減)と、すべての地域で前年産を下回った。

 1ヘクタール当たりの収量は、5月にオホーツク地域で風害が発生したものの、生育期が好天に恵まれたことで、67.7トン(同7.2%増)とかなりの程度前年産を上回る見込みである。これを受け、てん菜生産量は381万3000トンと前年産比5.6%増の見込みである。

 また、てん菜が糖分を蓄える登熟期の気温が平年に比べ高温で推移したことから、糖分は前年産(17.2%)に比べ低下するとみられる。

 令和元年産のてん菜生産量は前年産よりも増加が見込まれるものの、製糖工場では、トラックの運転手不足により原料搬入に必要な台数の確保が困難な状況となっており、製糖期間を長くすることで1日当たりの搬入量を抑制し安定した生産体制を維持している。

 

3. 輸入動向

【粗糖の輸入動向】
9月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2019年9月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200の豪州)の輸入量は、14万5710トン(前年同月比60.5%増、前月比2.3倍)であった(図1)。

 輸入先国は豪州およびタイで、輸入量は次の通りであった(図2)。

豪州   13万5008トン
 (前年同月比75.8%増、前月比2.6倍)
タイ     1万702トン
 (同23.4%減、同7.0%増)

 

 

 2019年9月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、3万3172円(前年同月比0.5%安、前月比8.5%安)であった(図3)。

タイ 3万3172円
 (前年同月比0.2%安、前月比8.5%安)

 また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、3万5904円(前年同月比3.9%安、前月比2.3%高)であった。

 

【含みつ糖の輸入動向】
9月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2019年9月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、193トン(前年同月比18.9%減、前月比36.9%減)であった(図4)。

 輸入先国は中国、タイ、フィリピンおよび台湾で、国別の輸入量は次の通りであった(図5)。

中国   152トン
 (前年同月比22.4%減、前月比37.7%減)
タイ     21トン
 (前年同月同、前月同)
フィリピン 13トン
 (前年同月比38.1%減、前月比65.8%減)
台湾     7トン
 (前年同月輸入実績なし、同2.3倍)

 

 

 2019年9月の1トン当たりの輸入価格は、12万4233円(前年同月比1.1%高、前月比2.8%高)であった(図6)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

中国       11万7566円
 (前年同月比10.5%安、前月比1.4%安)
タイ         5万5238円
 (同1.9%安、同1.9%高)
フィリピン    23万2615円
 (同2.1倍、同47.1%高)
台湾       27万4714円
 (前年同月実績なし、同18.6%高)

 

【加糖調製品の輸入動向】
9月の加糖調製品の輸入量は前年同月からやや減少

 財務省「貿易統計」によると、2019年9月の加糖調製品の輸入量は、3万9195トン(前年同月比3.4%減、前月比13.0%減)であった(図7)。

 品目別の輸入量は、表5の通りであった。

 

 

4. 異性化糖の移出動向

10月の移出量は前年同月からわずかに増加
 2019年10月の異性化糖の移出量は、6万4787トン(前年同月比0.9%減、前月比0.2%増)であった(図8)。

 同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図9)。 

果糖含有率40%未満     428トン
 (前年同月比6.4%減、前月比23.5%増)
同40%以上50%未満  1万7350トン
 (同0.4%減、同5.3%増)
同50%以上60%未満  4万6319トン
 (同1.0%減、同1.9%減)
同60%以上           689トン
 (同9.0%減、同8.6%増)

 

 

5. 価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 10月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪            同187〜188円
名古屋              同191円
関門                同191円

上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり199〜202円
大阪                同202円

本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり192〜193円
大阪               同192〜193円
名古屋                同196円

ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪           同187〜188円
名古屋              同189円

 10月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの
 1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
            同137〜138円
【小売価格】
10月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で25.2円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、190.6円(前年同月差2.4円安、前月差0.7円高)であった。

 同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった(表6)。

 

 最も高かったのは中国・四国で、最も安かった首都圏との価格差は25.2円であった。

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
10月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で75.6円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.4円(前年同月差0.5円安、前月差0.2円安)であった。

 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表7)。

 

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は75.6円であった。
10月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で48.5円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、233.8円(前年同月差2.9円安、前月差0.6円安)であった。

 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表8)。

 

 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は48.5円であった。
【購入金額および購入量】
9月の砂糖の支出金額は前年同月と比べかなりの程度上昇

 総務省「家計調査」によると、2019年9月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は34、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は80円(前年同月6.7%高、前月比1.3%高)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、363グラム(同5.2%増、同4.3%増)であった(図11)。

 

 

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