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加糖調製品の調整金徴収業務の実績について

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最終更新日:2020年3月10日

加糖調製品の調整金徴収業務の実績について

2020年3月

特産調整部

はじめに

 平成30年12月30日に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(TPP11協定)が発効したことを契機に、改正された「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」が施行され、糖価調整制度に新たに加糖調製品の調整金徴収業務が追加されて、1年が経過したことから、本稿ではこの1年間の実績について報告する。

 加糖調製品とは砂糖と砂糖以外のココア、粉乳、ソルビトールなどの混合物をいう。その形態は多岐にわたっており、菓子類、パン類、飲料、調味料、練り製品など幅広い用途に用いられている。

 加糖調製品はそれ自体に多くの砂糖を含んでいることから、砂糖との競合性が高い。加糖調製品の関税率は品目によって異なるが、その多くの品目で29.8%などと砂糖の調整金と比較すると低い水準であることから、加糖調製品が輸入自由化された平成2年以降、輸入量は徐々に増加し、近年では年間50万トン台となっていた(図1)。

 

 TPP11協定の交渉の結果、糖価調整制度を維持する一方で、加糖調製品について発効初年度約6.2万トン、11年目9.6万トンの関税割当枠を設けられることとなった。糖価調整制度を維持したことから、国内で生産されるサトウキビ、てん菜への影響は特段見込み難い一方で、加糖調製品の関税割当の設定により、安価な加糖調製品がわが国へ一層流入し、輸入糖から徴収する調整金が減少して、糖価調整制度の安定的な運営に支障を生じることが懸念された。

 このため国では「総合的なTPP等関連政策大綱」において、「国産甘味資源作物の安定供給を図るため、改正糖価調整法に基づき加糖調製品を調整金の対象とする」とし、同法が改正され加糖調製品が調整金徴収の対象とされた。実際の調整金の徴収実務は、当機構が輸入される加糖調製品の買入れ売戻しを通じ徴収することとなった。

1.糖価調整制度における加糖調製品の調整金

 改正された糖価調整制度では、現在、輸入される砂糖からの調整金の徴収に加え、輸入される加糖調製品からも徴収することによって、輸入される砂糖の調整金額を減額するとともに国内産糖の支援財源に用い、輸入される砂糖と国内産糖の価格調整が行われることになっている(図2)。

 加糖調製品は砂糖と砂糖以外の原料から構成され、国内の砂糖との競合を価格調整するものであることから、実質的な調整金の算定は加糖調製品に含まれる砂糖部分を対象としており、加糖調製品に含まれる砂糖以外の部分については調整金の算定上からは除かれている。また、機構の調整金の対象となる加糖調製品は原則、砂糖含有率が50%以上のものであり、政令で指定されている以下の20ラインが対象となっている(表1)。

 一方、原則、砂糖含有率50%未満のものおよびTPP11協定などの関税割当を受けたものなどは、機構売買の対象外となっている。

 

 

2.調整金徴収の実績について

 改正された糖価調整法は平成30年12月30日から施行され、同日から加糖調製品の調整金徴収のための売買が始まったが、12月中は売買の申込がなく、実際の売買は平成31年1月から始まった。平成31年1月から令和元年12月までの実績は、調整金の対象となる加糖調製品の売買数量が47万7901トン、売買差額は約61億2000万円となった(表2)。

 

3.貿易統計と売買数量について

 ここ5年間の加糖調製品の輸入量は、前述のとおり50万トン台で推移しており、平成31年(令和元年)の輸入量は51万4156トンであった(図3)。

 平成31年(令和元年)の輸入量から売買数量の47万7901トンを除いた3万6255トンは調整金の対象外の加糖調製品である。対象外となったもののうち貿易統計によると、原則、砂糖含糖率50%未満のものが1万1959トンであったことから、その差2万4296トンがTPP11協定などの関税割当を受けたものなどと推定される。

 

4.今後の関税と調整金

 令和元年12月12日に関税・外国為替等審議会関税分科会が開催され、令和2年度における関税率及び関税制度の改正等の諮問が行われ、暫定税率については「加糖調製品6品目(ココアの調製品、ミルクの調製品等)について、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大が可能となるよう、令和2年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえ、暫定税率を引き下げることが適当」との考え方が示され、同日に答申がなされた。

 関税暫定措置法の改正案が令和2年2月4日に国会に提出され、可決・成立した場合は、令和2年4月1日から機構の売買対象の一部の統計品目番号(1806.10-110、1806.20-121、1901.90-219、2106.90-284、2101.11-110、2106.10-219)の暫定税率が引き下げられることとなる。このため、WTO譲許税率との関係から当該品目については、令和元年度と比べ売買差額が増額となる場合がある。ただし関税と調整金を合わせた金額は、現在の譲許水準の範囲内に変更はなく、輸入者の実質的な負担額はこれまでと変更はない。

おわりに

 輸入される加糖調製品の売買業務が開始から1年が経過したが、事前に全国各地で当機構主催の説明会を開催し、輸入者の皆さまにも手続きについてご理解とご協力を頂きながら、比較的順調にスタートすることができた。今後とも、輸入者の皆さまに丁寧で分かりやすい対応を心掛けながら業務を進めてまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構  調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272