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毎日の食卓をよりおいしく!

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最終更新日:2020年3月10日

毎日の食卓をよりおいしく!
 〜うま味調味料の活用術〜

2020年3月

日本うま味調味料協会 広報部会 門田 浩子
 おいしさに欠かせない味「うま味」。それを料理に手軽に加えられるようにしたのが「うま味調味料」です。発明されてから世界のキッチンで愛されて約110年。その魅力についてご紹介します。

1.「うま味」と「うま味調味料」について

(1)「うま味」はおいしさの大切な要素 

〜「うま味」と「旨み」の違い〜

 「うまみ」という言葉をよく見聞きするようになりましたが、「うま味」と「旨味」または「旨み」が表す意味をご存知でしょうか?「うま味」とは甘味・酸味・塩味・苦味とともに基本味と呼ばれる味の一つをさします。基本味とは他の味を混ぜ合わせてもつくることのできない独立した味のことです。一方「旨味」と「旨み」は両方ともおいしさを表す言葉です。「うま味」/「旨味」・「旨み」は混同されて用いられることがありますが、実は意味が異なります。

 では「うま味」と「おいしさ(旨味・旨み)」はどのように関係しているのでしょうか?私たちは、料理の見た目、香り、味、食感、音、食事の雰囲気や環境など、五感を総動員しておいしさを感じています。基本味である「うま味」は和食のだしのうま味成分の味でもあり、食べ物のおいしさの大切な要素の一つなのです(図1)。

(2)「うま味」の発見と「うま味調味料」の発明

〜「うま味」の発見〜

 今から110年ほど前の明治時代(1908年)に、東京帝国大学(現・国立大学法人東京大学)教授の池田菊苗博士がうま味を発見しました。それまで食品の味は全て、甘味・酸味・塩味・苦味の四つの基本味で構成されていると考えられていましたが、池田博士は四つの基本味では説明できないもう一つの味が存在することに気付きました。そして昆布からその味の成分を抽出する研究を重ね、その成分がグルタミン酸であることを発見し、この独特の味を「うま味」と名付けました。
〜「うま味調味料」の発明〜

 池田博士は「滋養のある粗食を美味しくすることで日本人の栄養補給に貢献したい」との強い志から、うま味成分を、料理をおいしくする便利な調味料にすることを目指して開発を進め、1908年7月25日にグルタミン酸を主成分とする調味料製造法の特許を取得しました。池田博士はこの功績が認められ、経済産業省特許庁により「日本の十大発明家」の一人に選ばれています
(特許庁ホームページhttps://www.jpo.go.jp/introduction/rekishi/10hatsumeika.html)。
この特許取得にちなみ、7月25日は「うま味調味料の日」となっています。
 
 <うま味調味料の製品はこちら> 

(3)うま味の成分と相乗効果 

〜うま味の成分〜

  うま味成分には主に、グルタミン酸とイノシン酸、グアニル酸の三つがありますが、これらは天然の食材などに豊富に含まれていることをご存知ですか?グルタミン酸はアミノ酸の一つで、昆布や野菜、チーズなどの発酵食品やみそや(しょう)()に代表される発酵調味料などに多く含まれ、イノシン酸とグアニル酸は核酸の一種で、イノシン酸は肉や魚に、グアニル酸は干したきのこに多く含まれています(図2)。
〜うま味の相乗効果〜

 うま味成分は、単独よりも、グルタミン酸と核酸系のうま味成分(イノシン酸またはグアニル酸)を組み合わせることによって、うま味が飛躍的に強く感じられることが科学的に証明されています。これを「うま味の相乗効果」といいます。

 和食ではグルタミン酸が多い昆布とイノシン酸が多いかつお節を組み合わせてだしをとりますが、世界の料理に目を向けてみると、さまざまな国でうま味成分を多く含む食材を組み合わせておいしいスープがとられていることが分かります。うま味の相乗効果は、科学的に解明されるずっと前から世界の料理に活かされてきたと言えるでしょう(図3)。
 
 

2.うま味調味料の原料と製造方法

 うま味調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムは、さとうきびなどの農作物を原料に、発酵法でつくられています。発酵法とは、微生物の働きを利用し、人間にとって有益なものを作り出す技術のこと。大豆から醤油やみそ、米から酒、牛乳からチーズがつくられるように、うま味調味料も発酵の力でつくられています(図4)。
 

3.世界中で認められているうま味調味料の安全性

 グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料の主成分)は、食品衛生法により食品添加物の調味料に分類され、定められた安全性試験を全てクリアしています。また日本国内だけでなく、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives〈JECFA〉)や米国食品医薬品局(FDA)などの国際的な機関からも安全であると認められており(イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムについても同様に認められています)、JECFAはグルタミン酸ナトリウムの1日の摂取許容量(ADI)を制限しておらず、乳幼児にも安全であると述べています。

4.料理がおいしくなるうま味調味料の活用術

(1)素材の持ち味を引き立てる

 料理の仕上げにうま味を加える使い方はよく知られていると思いますが、あまり知られていないのが、食材の下ごしらえや調理中に加える使い方ではないでしょうか。実は調理に使用すると、野菜の甘味や食材の持ち味を引き立てたり、野菜の苦味や魚の生臭みを和らげたりすることができ、料理がおいしくなるのです(図5)。
 
<おすすめレシピはこちら>

 
 

(2)うま味でおいしく減塩

 うま味調味料は特別な風味を持たないため、和・洋・中どんな料理とも相性が良く、食材の持ち味を引き立て、食材のうま味成分との相乗効果によってうま味を増し、おいしい減塩に役立てていただくことができます。すまし汁での評価で約30%減塩しても味の好ましさは変わらないという結果が得られるなど、さまざまな料理が、うま味調味料の活用によって、おいしく減塩できることが分かっています(図6)。

<減塩レシピを含む、うま味調味料を活用したレシピはこちら>

 


 
 

(3)使用方法や使用量について

 うま味調味料は、食材の下ごしらえや、調理中、料理の仕上げ、卓上で加えるなど、いろいろなタイミングでご使用いただけます。使用量については、塩や砂糖などの他の調味料と同様に、たくさん使えば使うほど料理がよりおいしくなるというわけではありません。まずは少量(1ふり)から試して、料理やお好みによって調整してみてください。

5.日本うま味調味料協会の活動について

 日本うま味調味料協会は1948年(昭和23年)に設立された団体です(現在の会員企業は、味の素株式会社・三菱商事ライフサイエンス株式会社・ヤマサ醤油株式会社・株式会社新進の4社)。うま味に関する研究の推進および、うま味調味料の正しい理解の浸透と有用性認知の向上を目的とした幅広い広報活動を展開しており、有用な情報の発信に努めています。毎日の、健康的なおいしさあふれる食卓に、うま味調味料がお役に立てるよう、今後も活動を継続し尽力してまいります。

(日本うま味調味料協会ホームページ)
https://www.umamikyo.gr.jp/society/
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272