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2. 国際価格の動向

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最終更新日:2020年5月11日

2. 国際価格の動向

2020年5月

ニューヨーク粗糖先物相場の動き(3/2〜4/15)
〜1カ月で3セント以上値下がりし、2018年9月以来の安値水準〜
図3
 ニューヨーク粗糖先物相場の2020年3月の推移を見ると(5(がつ)(ぎり))、為替市場においてブラジルの通貨レアルを売って米ドルを買う動きが先行したことや(注1)、ブラジル経済省が公表した2月の貿易統計で前年同月を上回る砂糖輸出量が示されたことなどを受け、2日は1ポンド当たり13.81セント(注2)と約2カ月ぶりに13セント台の値を付けた(図2)。サウジアラビアなどで構成される石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの産油国との間で、協調減産をめぐる交渉が6日に決裂したことを受けて原油価格が急落したことに伴い、9日は同12.61セントと13セントを割り込んだ(注3)。その後も、レアルが対米ドルで最安値を更新し、原油価格が一段と下落したことで、12日は同11.62セントと約半年ぶりの安値水準となった。13日に若干値を戻したものの、週明けの16日は再び下げに転じ同11.09セントまで値を下げた。欧米などで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が急速に拡大したことで金融・商品市場全体に不安が広がったことも相まって価格が下げ止まらず、19日は同10.59セントの値を付けた。20日以降は原油価格が下げ止まったことなどから値を戻す展開となり、25日は同11.41セントまで回復した。しかし、原油価格の下落とレアル安に連動して26日から下げに転じ、31日は同10.42セントまで値を下げた。

 4月1日はさらに下げ幅を広げ、同10.04セントと2018年9月以来の安値水準まで値を下げた。2日は反発し、同10.29セントとなった。その後は、COVID-19の拡大を防ぐため世界各地で外出制限などの厳しい措置が実施される中、事態の長期化も予想され、外食や行楽の機会が減少することで砂糖消費が伸び悩むとの見方が重荷となり、横ばいで推移している。12日に主要産油国が協調減産することに合意したが、原油価格を大きく押し上げるに至らなかったことから、13日は同10.17セントまで値を下げた。14日は同10.05セントとさらに値を下げ、15日は同10.16セントとなった。

(注1)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが安くなると、ブラジル産粗糖の価格競争力が強まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まれば、需給の緩みにつながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
(注2)1ポンドは約453.6グラム、セントは1米ドルの100分の1。
(注3)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要は低下する。バイオエタノールの需要が低下すると、その原料作物(サトウキビ、てん菜、トウモロコシ、キャッサバなど)のバイオエタノール生産への仕向けが減るため、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えることが想定される。その度合いが大きければ、需給の緩みにつながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
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