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食品添加物表示制度に関する検討会について

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最終更新日:2020年7月10日

食品添加物表示制度に関する検討会について

2020年7月

消費者庁 食品表示企画課 課長補佐  (たかはし  )(とおる)

 

【要約】

 平成31年4月から令和2年2月までの全9回にわたり、消費者庁において「食品添加物表示制度に関する検討会」を開催し、消費者の食品添加物の表示の利活用の実態や、海外における食品添加物の表示制度等も踏まえ、食品添加物表示制度の在り方について議論を行い、報告書を取りまとめた。

 消費者庁では、報告書の方針を踏まえ、消費者が表示から正しく情報を読み取り自主的かつ合理的な食品の選択ができる制度の構築を行うとともに、制度の周知・普及を進めることとしている。

はじめに

 食品添加物表示制度の在り方については、「食品表示一元化検討会報告書」(平成24年8月9日公表)において、食品表示の一元化の機会に検討すべき項目とは別に検討すべき事項として位置付けられた。また、消費者基本計画(平成27年3月24日閣議決定)においては、個別課題として実態を踏まえた検討を行う事項と整理された。

 そのため、消費者庁において、平成31年4月に、消費者、事業者および学識経験者などから構成される「食品添加物表示制度に関する検討会」(以下「検討会」という)を開催し、令和2年2月まで全9回にわたって検討を行った。同検討会の検討結果を取りまとめた報告書について以下に述べる。

1.現行の食品添加物表示制度

 食品添加物に関する現行の表示制度は、食品表示法に基づき定められる食品表示基準第3条第1項において、使用した食品添加物については、物質名で表示することが規定されているが、複数の組合せで効果を発揮する食品添加物や、食品中にも常在する成分である食品添加物は、一括名での表示が可能とされている(図1)。また、物質名の表示は、一般に広く使用されている名称(簡略名)や物質の化学構造などから類別した名称(類別名)を有する食品添加物にあっては、その名称をもって代えることが可能とされている。

 さらに、同項において甘味料、着色料、保存料などの八つの用途で使用した食品添加物については、物質名のほか用途名の併記を行うこととされている。

 なお、栄養強化目的で使用した食品添加物については一部の食品を除き表示を要しないとされている。
 

2.今後の食品添加物表示制度の方向性について

(1)検討会の検討経過

 検討会では、海外の添加物表示制度、消費者意向調査結果などのデータ、消費者団体等関係者および事業者団体等関係者ヒアリングの結果を踏まえ、現状の制度の検証とともに、以下について議論が行われた。

○ 一括名表示、簡略名・類別名表示および用途名表示の在り方
○ 「無添加」、「不使用」の表示の在り方
○ 栄養強化目的で使用した食品添加物の表示
○ 食品添加物表示の普及、啓発、消費者教育について

(2)今後の食品添加物表示制度の方向性

ア 一括名表示、簡略名・類別名表示および用途名表示の在り方

 一括名表示、簡略名・類別名表示および用途名表示は、これまで30年以上用いられてきたことから、消費者にとってなじみがあり、一定の役割を果たしてきたが、使用した個々の添加物が分からない場合がある。同様に、用途名の表示に関しても、用途名を併記させている添加物は8用途に限られているため、使用した添加物の用途が分からない場合がある。

 これらについて、消費者団体等関係者からは現状の表示制度を肯定する意見と省略せずにすべて表示すべきとする意見に分かれ、事業者団体等関係者ヒアリングでは、おおむね現状の制度を肯定しつつも、使用用途を知りたい消費者の意向や表示の国際整合性に関する意見も挙がった。

 そこで、検討会では、添加物およびその表示制度について食品表示の国際基準であるコーデックス規格(以下「コーデックス」という)との違いを整理した上で、コーデックスに基づく表示例を作成した(図2、表)。この表示例を用いて現状の制度と比較して検討した結果、(1)一括名表示、簡略名・類別名の表示については、文字数の大幅な増加による表示可能面積と見やすさ・分かりやすさのバランスを考慮する必要があること(2)食品添加物の国際番号システムによる番号(INS番号)で置き換えることができないものが存在することなど(3)用途名の表示についてはコーデックスの機能分類(用途名)が、わが国の表示制度には存在しないなじみのない分類もあること(4)複数の機能を持つ添加物の用途名は事業者による差異が生じやすく、消費者が用途について誤認する恐れもあること−などから、現状維持が適当とした上で、使用した個々の添加物について、容器包装への表示義務とは別に、事業者は消費者への情報提供に努めることとされた。
 
 
イ 「無添加」、「不使用」の表示の在り方

(ア) 「無添加」、「不使用」等の表示


 食品表示基準上、添加物が不使用である旨の表示に関する特段の規定はなく、現状では、食品関連事業者が任意で「無添加」、「不使用」などの表示を行っている。消費者意向調査結果では、例えば「○○不使用」という表示について、○○のみならず全く添加物を使用していないという印象を持つ消費者が存在することも分かった(図3)。

 ヒアリングでは、消費者団体等関係者、事業者団体等関係者共に、「無添加」などの表示は不要、規制が必要との意見が挙がった。

 検討の中では、食品表示基準第9条で規定する表示禁止事項の解釈を示す食品表示基準Q&Aが網羅的でないことなどが指摘された。また、各業界で策定する公正競争規約にばらつきもあり、「無添加」などの表示について何らかの方策を講じる必要性があることが委員の総意とされた。

 この点、「無添加」などの表示の法的禁止については、食品添加物を使用せずに食品を製造する事業者の存在および監視指導の実行可能性の観点から、一律に禁止することは妥当でないと考えられた。他方、食品表示基準Q&Aの改正については、その性格からして網羅的なものとなり得ず、「無添加」などの表示による一部の消費者の誤認をなくすために、より明確かつ効果的な方策が求められたことから、検討会としては、食品表示基準第9条で規定する表示禁止事項のメルクマールとなるガイドラインを新たに策定することが提案された。なお、ガイドラインの策定などを通じて、既存の公正競争規約の改正などが促されることによって、誤認を生じさせる恐れのある「無添加」などの表示が行われなくなることが期待される。
 
(イ) 「人工」、「合成」の用語

 消費者意向調査結果では、添加物に関して「人工」、「合成」といった文言があると避けるという消費者が存在することが分かった。事業者団体等関係者ヒアリングでは、「化学調味料」のように、食品表示法上その定義が不明確な用語の表示は、添加物に対する消費者の理解に影響するとの意見もあり、検討会では、消費者の誤認防止などの観点から、食品表示基準にある「合成」および「人工」を冠した食品添加物表示の規定については、委員の総意として削除することが適当であるとされた。

 なお、「化学調味料」のような法令上にない用語の使用についても上記ガイドライン策定段階で検討されることが望ましいとされた。

ウ 栄養強化目的で使用した食品添加物の表示

 栄養強化目的で使用した食品添加物については、昭和63年当時、諸外国において食品添加物として扱っていない状況などを踏まえ、調製粉乳等、栄養に配慮が必要な食品以外ではその表示を要しないとされていた。一方で、JAS法では、食品に応じた規格を設け、栄養強化目的であっても使用した食品添加物は表示することとされており、両法において栄養強化目的で使用した食品添加物の表示の考え方に違いがあった。この双方の制度を食品表示基準にそのまま取り入れた結果、表示義務がある食品とない食品が存在し、消費者にとって分かりにくい状況となっている。また、国際的に見ても、コーデックスやEU、豪州などにおいては、栄養強化目的の物質を食品添加物としていないものの、使用した物質は全て表示させている。このため、栄養強化目的で使用した食品添加物は「表示を要しない」という規定を見直し、原則全ての加工食品に栄養強化目的で使用した食品添加物を表示させる方向で検討することが適当とした上で、現在の表示状況、消費者の意向、事業者への影響の実態などについて調査を実施するとともに、消費者委員会食品表示部会における「表示の全体像」に関する議論も踏まえ、最終的な結論を得ることが適当であるとされた。

エ 食品添加物表示の普及、啓発、消費者教育について

 検討の結果、より効果的、効率的に食品添加物表示制度に関する普及・啓発等を行っていくために、行政、消費者団体、事業者団体などがそれぞれの強みを生かして連携し、対象とする世代に応じたアプローチ、例えば、食育を通じた取り組み、学生のみならず学生に教える立場の栄養教諭や栄養士などの専門職を対象とした取り組みの実施に努めることとされた。

 また、検討会における検討事項は食品添加物の表示に関するものではあるが、その表示の普及のほか、食品添加物の安全性や使用目的などについて併せて普及、啓発を行うことが、食品表示の理解を深めるために適当とされた。

3.分かりやすい食品添加物表示制度の構築に向けて

 現在、消費者庁では今回取りまとめられた報告書の方針を踏まえ、食品添加物の表示および食品添加物の役割などの普及啓発に向けた検討、「人工」および「合成」の文言削除に関する食品表示基準改正に向けた検討、ならびに「無添加」などの表示に関するガイドライン策定に向けた必要な検討を始めている。

 上記の内容を着実に進め、消費者が表示から正しく情報を読み取り自主的かつ合理的な食品の選択ができる制度の構築を行うとともに、消費者の制度変更に対する理解の浸透および食品関連事業者が円滑に表示変更に取り組めるよう、十分な準備期間を設けた上で、制度の周知・普及を進めることとしている。

 (参考)食品添加物表示制度に関する検討会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_003/
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272