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4. 日本の主要輸入先国の動向(2020年10月時点予測)

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最終更新日:2020年11月10日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2020年10月時点予測)

2020年11月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州、タイ、南アフリカ、フィリピンで、2019年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が81.4%(前年比10.2ポイント増)、タイが18.6%(同9.5ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。

 以上により、この2カ国の動向については毎月報告し、フィリピンおよび南アフリカの動向についてはそれぞれ半年に1回の頻度で報告する(フィリピンは4月号および9月号、南アフリカは10月号および3月号を予定)。

豪州

2020/21年度、砂糖生産量はわずかに増加する見込み
 2020/21年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、記録的な干ばつに見舞われた2019年ほど極端な天候にはならないとの前提の下、3091万トン(同2.9%増)とわずかに増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、前年度の減産からの反動が押し上げ要因となり、434万トン(同1.3%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸出が消費量の落ち込みをある程度補うと予測されるものの、輸出量は336万トン(同9.3%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。

ラニーニャ現象が発生、サトウキビの収穫に影響か
 豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)は9月30日、2020/21年度のサトウキビ生産量3091万トン(予測値)のうち3分の2が収穫されたものの、ラニーニャ現象の発生により、残り3分の1の収穫に影響が生じる可能性があるとして、今後の気象予報を注視していると述べた。豪州気象局(BOM)は9月29日に、すべての指標がラニーニャ現象の発生を示すレベルに達したと発表し、同現象は少なくとも2021年1月まで継続するとみている。同国ではラニーニャ現象が発生すると北部・中部・東部で降雨量が増えるため、収穫期の終盤に大雨となった場合、サトウキビの収穫作業の停滞が懸念される。一方、ASMCは、春の降雨は、2021/22年度のサトウキビの生育を促進させる慈雨となる可能性もあるとしている。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2020/21年度の輸出量は、大幅に減少する見込み
 2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、今期作の作付け時点で、キャッサバなどのサトウキビとの代替性のある作物の収益性がサトウキビよりも高かったことから、代替作物がより多く作付けされたことにより139万ヘクタール(前年度比14.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる(表7)。干ばつの影響を受けて、サトウキビ生産量は6750万トン(同9.9%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。

 サトウキビ生産の落ち込みにより、砂糖生産量は794万トン(同9.8%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は481万トン(同40.5%減)と大幅に減少すると見込まれる。

ベトナム政府、タイ産糖を対象としたアンチダンピング調査の実施を発表
 ベトナム商工省(MOIT)は9月21日、タイ産糖(注)に対するアンチダンピング調査を開始することを決定した。これは、同国の砂糖業界が8月20日、タイ産糖などの輸入量の急増を受けて、「海外産糖の急増が引き金となって、国内産糖の生産量が減少する恐れがある」として、同省に対して調査を要請していたものである。同省によると、2020年1月1日に東南アジア諸国連合(ASEAN)物品貿易協定(ATIGA)によって砂糖の関税割当枠が撤廃されたが、その後8カ月間の累計砂糖輸入量は、前年同期比で約6倍の約95万トンと大幅に増加し、うちタイ産は約86万トン(同約6倍)と全体の約9割を占めたとしている。

(注)調査対象となる砂糖は、HSコード1701.13、1701.14、1701.99に分類される製品である。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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