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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2021年3月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2021年3月

 本稿中の為替レートは2021年1月末日TTS相場の値であり、1米ドル=105円(105.48円)、1タイバーツ=3.56円、1ユーロ=128円(127.98円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに上方修正されたものの、前年度比5.4%減

 2021年2月9日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、前月から16万トン上方修正され、11億3405万トン(前年度比1.6%増、前月並み)となった。国別に見ると、パラグアイで下方修正されたが、南アフリカで作付けが順調に進んでいることから50万トン上方修正された。米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)では、前年度の生産量を上回ることから、記録的な生産量となることが見込まれている。

 輸出量は、世界全体で1億8570万トン(前年度比8.6%増、前月比1.1%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、米国で中国向け輸出量が増える見込みであることから127万トン上方修正された。輸入量は、世界全体で1億7901万トン(同8.3%増、同1.5%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、アフリカ豚熱からの回復が進み、飼料向け需要が引き続き増加している中国で650万トン上方修正された。

 消費量は、世界全体で11億5052万トン(同1.5%増、同0.2%減)へわずかに下方修正され、生産量を1647万トン上回ることとなった。国別に見ると、中国で200万トン上方修正された。

 期末在庫は、世界全体で270万トン上方修正された結果、2億8653万トン(同5.4%減、同1.0%増)と見込まれている。国別に見ると、中国で450万トン上方修正されたが、米国で輸出量の上方修正に伴い127万トン下方修正されたほか、2019/20年度の期末在庫(推計値)が下方修正されたアルゼンチンおよびブラジルにおいても下方修正された。
 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫率、10.3%と2013/14年度以来の低水準

 2021年2月9日、USDA/WAOBは、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表3)。

 国内生産量は前回と変わらず、141億8200万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月同)と予測された。

 国内消費量も前回と変わらず、飼料など向けが前年度比4.3%減となる一方、食品・種子・その他工業向け(エタノール向けを含む)が同1.5%増となり、全体では120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同1.3%減、前月同)と予測された。

 輸出量は、中国向けの輸出量が増える見込みであることから、26億ブッシェル(6604万トン、同46.2%増、前月比2.0%増)へわずかに上方修正され、記録的な輸出量を見込んでいる。

 期末在庫は、輸出量が上方修正されたことから、15億200万ブッシェル(3815万トン、同21.7%減、同3.2%減)へやや下方修正された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.3%(同3.4ポイント減、同0.3ポイント減)へ下方修正され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した2013/14年度以来の低水準となる見通しである。

 また、生産者平均販売価格は、期末在庫のさらなる下方修正が主な要因となって、前月より0.1米ドル高い1ブッシェル当たり4.30米ドル(452円。1キログラム当たり17.8円)と予測された。

 なお、CME Groupにおける2021年1月のシカゴトウモロコシ・期近(平均値)は、前月より0.8米ドル高い1ブッシェル当たり5.15米ドル(541円。1キログラム当たり21.3円)であった(表1)。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

表3

【貿易動向:トウモロコシ】
11月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはやや増加

 2020年11月のトウモロコシ輸出量は、383万7958トン(前年同月比54.2%増、前月比3.8%増)と前年同月からは大幅に、前月からはやや増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり194.8米ドル(2万454円、同4.8%高、同6.8%高)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度上昇した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。





 
【貿易動向:コーンスターチ】
11月の輸出量は前年同月から大幅に増加するも、前月よりかなりの程度減少

 2020年11月のコーンスターチ輸出量は、1万6879トン(前年同月比68.4%増、前月比10.5%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月よりかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり534.4米ドル(5万6112円、同19.2%安、同1.8%高)と前年同月から大幅に下落したものの、前月からはわずかに上昇した。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2020年11月の製粉業者の純費用は、1ポンド(注)当たり6.18セント(6.5円、前年同月比0.5%高、前月比1.8%高)と前年同月および前月からわずかに上昇し、2019年と同水準となった。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

  

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産量、前月予測から3.1%上方修正

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2021年1月現在の予測によると、2020/21年度(10月〜翌9月)の収穫は2020年12月以降、主産地であるタイ東北部を中心に最盛期を迎えており、キャッサバの収穫面積は909万ライ(145万ヘクタール(注)、前年度比1.9%増、前月比2.6%増)、単収は1ライ当たり3.29トン(同1.2%増、同0.6%増)とそれぞれ前月予測からわずかに上方修正された。そのため、生産量は2988万トン(同3.0%増、同3.1%増)とやや上方修正された(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。


 
【価格動向】
国内価格、前年同期からはかなりの程度、前週からはわずかに上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年2月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.6バーツ(48円、前年同期比7.1%高、前週比0.7%高)と前年同期からはかなりの程度、前週からはわずかに上昇した(図3)。

図3

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月よりわずかに減少

 2020年12月のタピオカでん粉輸出量は、26万1056トン(前年同月比20.5%増、前月比2.1%減)と、前年同月から大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり475.0米ドル(4万9875円、同5.3%高、同2.7%高)と、前年同月からはやや、前月からはわずかに上昇した。

表7

図 タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向】
2020/21年度におけるキャッサバの収穫が進む

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2020年12月現在、2020/21年度(8月〜翌7月)におけるキャッサバの収穫は北部で6〜7割、南部で3〜4割程度進んでいる状況である。北部の一部では乾燥による収穫作業の遅れが生じており、また同国第1位の作付面積を誇る南部のザライ省などではキャッサバモザイク病(注)の被害を受けてキャッサバの収穫量が減少しているという。なお、12月中旬には、中央直轄5都市および58省のうち、1市20省(前月から1省増加)の合計4万3873ヘクタール(前年度比52.4%増)でキャッサバモザイク病の感染が確認されている。

(注)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイ、カンボジアでも流行している。

【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 AgroMonitorによると、2020年12月のタピオカでん粉輸出量は、30万7179トン(前年同月比22.9%増、前月比32.3%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。

表8

図 ベトナムのタピオカでん粉

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からやや増加するも、前月よりわずかに減少

 2020年11月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万5077トン(前年同月比5.5%増、前月比0.3%減)と前年同月からやや増加したものの、前月よりわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり653ユーロ(8万3584円、同13.2%安、同2.4%高)と前年同月からかなり大きく下落したものの、前月よりわずかに上昇した。

(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。

表9

図 EUのばれいしょでん粉

コラム カンボジアにおけるキャッサバの生産動向


 カンボジアにおいて、キャッサバはコメに次ぐ主要農産物であり、農家の重要な収入源の一つとなっている。国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、近年、カンボジアのキャッサバ生産量は増加傾向で推移しており、2019年の生産量は1373万トン(前年比7.3%増)であった(コラム−図)。これは世界で第7位、アジアではタイ、インドネシアに次ぐ第3位のキャッサバ生産量に当たる(コラム−表)。

 同国で生産されたキャッサバは、生芋またはキャッサバチップなどに一次加工された状態で、主にでん粉原料用として近隣国のタイやベトナムへ輸出されている(注1)。カンボジア国内でもでん粉生産は行われているが、近隣国と比較して製造設備や技術力が不十分であるとされている。

 カンボジア政府は、原料としてのキャッサバも重要な輸出品目としつつも、今後はでん粉など付加価値のあるキャッサバ製品の生産量を増やし、輸出することを目指している(注2)
 


(注1)タイはアジア最大のキャッサバ生産国であり、中国を最大の輸出先国としているが、農地に限りがあることなどから今後、作付面積を増やすことは困難とされている。そのため、カンボジアやラオスなどの近隣国からキャッサバを輸入することで、国内外のキャッサバ製品の需要の増加に応えている。
(注2)2021年1月14日、カンボジア国内でキャッサバの生産から加工までを一貫して行い、同国が国際市場におけるキャッサバ製品の供給国となることを目指す政策が発表された。詳細は、2021年2月19日付海外情報「キャッサバに関する国家政策(2020−2025)を発表(カンボジア)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002886.html)を参照されたい。

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加

 2020年12月の化工でん粉の輸出量は、9万3087トン(前年同月比29.1%増、前月比15.4%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。

表10

図 タイの化工でん粉

米国

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からかなりの程度増加するも、前月よりわずかに減少

 2020年11月の化工でん粉の輸出量は、2万3672トン(前年同月比6.2%増、前月比2.4%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月よりわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11

図 米国の化工でんぷん

中国

【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月から大幅に減少するも、前月から大幅に増加

 2020年12月の化工でん粉の輸出量は、6469トン(前年同月比16.7%減、前月比16.6%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月より大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。

表12

図 中国の化工でん粉

EU

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月からはわずかに、前月からはかなりの程度減少

 2020年11月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万8272トン(前年同月比1.0%減、前月比7.0%減)と、前年同月からはわずかに、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。

表13

図 EUのでん粉

豪州

【貿易動向】
11月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月よりかなりの程度減少

 2020年11月の化工でん粉の輸出量は、3091トン(前年同月比58.5%増、前月比10.9%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月よりかなりの程度減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。

表14

図 豪州の化工でん粉

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構  調査情報部  (担当:企画情報グループ)
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