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4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年9月時点予測)

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最終更新日:2022年10月11日

4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年9月時点予測)

2022年10月

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2022/23年度の砂糖生産量と輸出量は、やや増加する見込み
 2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、大規模な植え替えが計画されている中で、前年度の不作による苗不足から848万ヘクタール(前年度比2.3%減)とわずかに減少すると見込まれる(表2)。一方でサトウキビ生産量は、主産地である中南部地域が平年より乾燥したものの、その他の地域ではサトウキビの生育に適度な降雨などの良好な条件が続いたことから6億トン(同4.0%増)とやや増加すると見込まれる。砂糖生産量は、降雨などの影響で収穫作業に遅れが生じ、7月に続き、8月もブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)による減産見込みが発表されたものの、7月には相次ぐガソリンの卸売価格引き下げを受けて、相対的にバイオエタノール需要が減少し、砂糖仕向けの増加が見込まれることから3879万トン(同3.1%増)とやや増加すると見込まれる。輸出量は砂糖の増産を背景に2812万トン(同3.8%増)とやや増加すると見込まれる。

8月前半の砂糖生産量が前年同期比12%減と発表
 UNICAは8月24日、ブラジルの主産地である中南部地域の生産状況などを発表した。これによると、同地域の製糖工場における8月前半のサトウキビ処理量は3862万トン(前年同期比13.7%減)、砂糖生産量は263万トン(同12.1%減)、エタノール生産量は20億リットル(同10.2%減)となった。

 UNICAによると、8月上旬の処理量の減少は、同地域内でもサトウキビ生産量が盛んなサンパウロ州、パラナ州、マット・グロッソ・ド・スル州で、悪天候により収穫作業に影響が及んだことによるものという。

 2022年4月から8月16日までの累計では、サトウキビ処理量は3億2210万トン(同8.0%減)、砂糖生産量は1862万トン(同12.8%減)、エタノール生産量は156億8000万リットル(同4.8%減)となった。

 また、今期のサトウキビ1トン当たりの回収糖分(TRS)は135.75キログラム(同2.0%減)と、前年同期からわずかに減少した。
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2022/23年度の砂糖生産量はやや、輸出量は大幅に減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、前年が豊作だったことを受け、さらなる拡大が予測され、541万ヘクタール(前年度比4.6%増)とやや増加すると見込まれる(表3)。最大生産地ウッタル・プラデーシュ州での雨量が平年を大きく下回っているものの、主産地のマハラシュトラ州やカルナータカ州で、雨季の降水量が平年を大きく上回っており、サトウキビ生産量は4億5951万トン(同3.3%増)とやや増加すると見込まれる。砂糖生産量は、3746万トン(同3.0%減)とやや減少すると見込まれ、TRSの減少による減産が見込まれる。輸出はここ数カ月で減速しており、2022/23年度の輸出政策が確定されていないものの、初期に輸出許可される枠は400万〜600万トンと予測されることから、輸出量は800万トン(同34.6%減)と大幅に減少すると見込まれる。

2022/23年度の砂糖輸出枠は2回に分けて許可する可能性
 9月1日付けの現地報道によると、2022/23年度に向けて砂糖輸出枠を2回に分けて許可する予定だと、政府や業界関係者が語った。同国政府は、当期の段階で400万〜500万トンの輸出枠を許可し、残りの輸出枠は後日、許可する可能性が高いとされ、10月から始まる翌年度の砂糖輸出量は700万〜800万トンに達すると見込まれている。

 同国では、近年の物価水準の高騰を抑制するため、21/22年度の砂糖輸出量を1120万トンに制限(注)しており、国際相場は高騰したものの、国内価格の安定化を図っていた。

 サトウキビの豊作が見込まれる今年度2回目の輸出枠の規模は、砂糖生産量と国内価格によって変動するとみられる。砂糖の国内価格を維持するためには余剰在庫の輸出が必要だが、過度の輸出は国内価格を上昇させる可能性がある。このため、政府は生産者と消費者双方の利益の微妙なバランスを維持しなければならず、難しい対応を迫られる。

(注)当初の1000万トンの制限を1120万トンまで上限を拡大した。詳細は、2022年8月19日付け海外情報「砂糖輸出制限を緩和し、120万トンの追加輸出を許可(インド)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003336.html)を参照されたい。
 
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2022/23年度の砂糖生産量はわずかに増加し、輸入量はかなりの程度減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、112万ヘクタール(前年度同)と前年度並みと見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地の広西チワン族自治区の一部を除き熱波の影響を受けていないため、7176万トン(前年度比0.5%減)とわずかな減少にとどまると予想される。一方で、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシ価格の高騰を背景に政府が3月に穀物の増産を呼びかけたことから、トウモロコシへの転作が増加し、13万ヘクタール(同10.0%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。てん菜生産量は、てん菜の生育は順調であるものの、収穫面積の減少により674万トン(同4.7%減)とやや減少する見通しである。

 砂糖生産量は、サトウキビ主産地の広西チワン族自治区や雲南(うんなん)省の降水量が平年よりかなり多く、順調に生育していることから、1053万トン(同1.9%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸入量は、2020年に引き続き21年も国内生産の不足分を上回る量が輸入され、国内在庫が積み増しされたことから、619万トン(同7.9%減)とかなりの程度減少すると予想される。
 
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2022/23年度の輸出量は、大幅に減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、一部のてん菜圃場で価格の高騰しているトウモロコシなどの穀物が作付けされたことから、139万ヘクタール(前年度比4.1%減)とやや減少すると見込まれる(表5)。てん菜生産量は、7月から8月にかけて記録的な熱波や干ばつの影響を受けたほか、肥料価格の高騰と散布量の減少から収量が平年を下回る可能性があるため、1億138万トン(同8.3%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。砂糖生産量は、てん菜の減産見込みを受けて1607万トン(同6.8%減)とかなりの程度減少すると予想される。輸出量は、域内消費量の増加も見込まれる中で、砂糖の減産などを背景に99万トン(同22.4%減)と大幅に減少すると予想される。
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