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5. 日本の主要輸入先国の動向(2022年9月時点予測)

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最終更新日:2022年10月11日

5. 日本の主要輸入先国の動向(2022年9月時点予測)

2022年10月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2021年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比0.03ポイント増)、タイが13.4%(同2.9ポイント増)と、これら2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
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2022/23年度の砂糖輸出量は、かなり大きく減少する見込み
 2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、34万ヘクタール(前年度同)と前年度並みと見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、3月と7月に主産地のクイーンズランド州で洪水をもたらした降雨が収量に良い影響を与え、前年より良好な生育が予想されることから、3250万トン(前年度比7.9%増)とかなりの程度増加すると予想される。

 砂糖生産量は、悪天候の影響で収穫作業が進まず、多くの製糖工場で処理作業が前年同期と比較して遅れているものの、サトウキビの増産を受けて、428万トン(同3.9%増)とやや増加が見込まれる。なお、輸出量は、327万トン(同11.7%減)とかなり大きく減少すると予想される。

3年連続でラニーニャ現象の予測
 豪州気象局は8月16日に、ラニーニャ現象(注)が約7割の確率で発生すると予測し、予測レベルを注意から警戒に引き上げた。同国では2年連続でラニーニャ現象が発生しており、3カ月予報では、豪州本土の東側の大部分で9月から11月の雨量が平年を上回ると予測している。

 この報道を受けて、ニューサウスウェールズ州北部の一部のサトウキビ農家では、作付けを急いでいる。同州のサトウキビ生産者によると、水没による収穫機械などの損失が重なり、多くのサトウキビ生産者が財政的に厳しい状況に置かれているという。

 2020年以降、オーストラリア東部では全般的に平年より湿った状態が続いている。また、河川の水量はかなり多い状態にあり、降雨量の増加見通しは、豪州東部の大部分に洪水のリスクをもたらすものであり、現地ではラニーニャ現象の発生が懸念されている。

(注)太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象のこと。逆に、同じ海域で海面水温が平年より高い状態が続く現象はエルニーニョ現象と呼ばれる。ラニーニャ現象発生時は、オーストラリア東海岸は雨が多く降り、気温が低くなる傾向がある。
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2022/23年度の砂糖生産量と輸出量は、大幅に増加する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年が豊作であったことや、競合するキャッサバに比べて収益が高い状況にあるといった理由から、168万ヘクタール(前年度比12.8%増)とかなり大きく増加すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、北部の一部で洪水が発生しているものの、作柄に影響を及ぼすまでには至っておらず、他の地域でも全体的に雨量が多く、順調に生育していることから1億1000万トン(同19.5%増)と大幅に増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、グリーンハーベスト(注)の普及を背景とした(しょう)(とう)部や葉などの混入が歩留まりを低下させるものの、1277万トン(同19.3%増)と大幅な増加が見込まれる。輸出量は、砂糖の大幅な増産を受けて911万トン(同19.8%増)と倍増した前年からさらに大幅な増加が見込まれる。

(注)サトウキビを燃やさず、そのまま収穫する方法。従来、同国ではサトウキビを燃やした後に収穫するのが一般的であったが、大気汚染を引き起こすとの批判が国内で高まったため、近年はグリーンハーベストが推進されている。
 
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