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4. 日本の主要輸入先国の動向(2022年11月時点予測)

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最終更新日:2022年12月9日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2022年11月時点予測)

2022年12月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2021年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比0.03ポイント増)、タイが13.4%(同2.9ポイント増)と、これら2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。



2022/23年度の砂糖輸出量は、大幅に減少する見込み
 2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比2.3%増)とわずかに増加すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、3月と7月に主産地クイーンズランド州で洪水をもたらした降雨が収量には良い影響を与え、前年より良好な生育が予想されることから、3100万トン(同2.9%増)とわずかに増加すると予想される。

 砂糖生産量は、ラニーニャ現象による悪天候の影響で収穫作業が進まず、多くの製糖工場で処理作業が前年同期と比較して遅れており、また、CCS(注)が低下したことから、407万トン(同1.3%減)とわずかに減少すると見込まれる。また、輸出量は、前年度は期末在庫の調整などを背景に輸出が拡大したものの、今年度は近時と同等の輸出量に落ち着くものとの予測から、305万トン(同17.6%減)と大幅に減少すると予想される。

(注) 可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合。

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欧州の製糖業界、EUと豪州の自由貿易協定(FTA)交渉に関するコメントを発表
 欧州砂糖製造者協会(CEFS)はホームページを通じ、EUと豪州のFTA交渉(注1)におけるEUの砂糖の輸入について、EUでの砂糖事情や豪州との物理的距離、また、EUの砂糖産業の保護などの観点から、この度のFTA内容に異議を唱えている(注2)

 具体的な理由として、まず、EU域内での砂糖生産と消費事情を掲げ、豪州とはWTO協定に基づいた年間1万トンの関税割当がすでに設けられEU市場に参入している中で、近時の生産コストの高騰にもかかわらず、シーズン末には十分な期末在庫量が確保されているとしている。

 また、EUと豪州には物理的な距離があるため、輸送コストのみならず物流に係る温室効果ガス(GHG)の発生は無視できない状況にあるとした。特にGHGの発生は、持続可能性を柱としたEUの砂糖産業の考えに到底合致するものではないとしている。

 さらには、EU域内の産業としての重要性にも言及している。砂糖産業はEU全域の農村地域に住む数十万世帯の生活を支えてきた農業と工業のハイブリッド産業であり、このような地域では、報酬の高い産業は少なく、簡単に他の産業に代替できる状況にないとし、豪州からの砂糖の輸入は、農村地域の持続可能性を脅かすものであるとしている。また、てん菜糖の生産は資本集約度や高度な専門性から、衰退後の再興の難しさも不安要因に掲げている。

(注1)EUは本年6月にも、ニュージーランドとのFTAで大筋合意に達しているなど、 オセアニア地域におけるFTA締結が続いている。詳細については、2022年7月11日付海外情報「EUとニュージーランド、FTAで大筋合意 (その1:EU側の措置と反応)(EU)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003300.htmlを参照されたい。
(注2)詳細については、2022年12月2日付海外情報「欧州の製糖業界、EUと豪州の自由貿易協定交渉に対し砂糖輸入に関する懸念を発表」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003404.htmlを参照されたい。


2022/23年度の砂糖生産量は大幅に、輸出量はやや増加する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年が豊作であったことや、競合するキャッサバに比べて収益が高い状況にあるといった理由から、168万ヘクタール(前年度比12.8%増)とかなり大きく増加すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、東北地域の低地帯で洪水が発生したものの、洪水の被害がなかった他の地域で収量の増加がみられ、1億1000万トン(同19.5%増)と大幅に増加すると見込まれる。

    

 砂糖生産量は、グリーンハーベスト(注)の普及を背景とした(しょう)(とう)部や葉などの混入が歩留まりを低下させるものの、1277万トン(同19.4%増)と大幅な増加が見込まれる。輸出量は、大幅な増産を受けて852万トン(同5.6%増)と倍増した前年度からやや増加が見込まれる。

(注)サトウキビを燃やさず、そのまま収穫する方法。従来、同国ではサトウキビを燃やした後に収穫するのが一般的であったが、大気汚染を引き起こすとの批判が国内で高まったため、近年はグリーンハーベストが推進されている。

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