砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 調査報告 > 市場調査 > 食品メーカーにおける甘味料の利用形態

食品メーカーにおける甘味料の利用形態

印刷ページ

最終更新日:2023年1月10日

食品メーカーにおける甘味料の利用形態 〜令和3年度甘味料およびでん粉の仕入動向等調査の概要(1)〜

2023年1月

調査情報部

【要約】

 甘味料の仕入量は総じて安定しているが、仕入価格については、仕入先の価格改定や市場相場の変動などにより「上昇」と回答する企業が前年度調査と比較して増加した。今後の仕入れ見込みについては、すべての品目で「横ばい」が過半を占めたが、ブドウ糖や水あめ、ソルビトールでは増加傾向がうかがえた。

はじめに

 食品の製造には砂糖や加糖調製品、異性化糖の他にも黒糖やでん粉由来の糖、糖アルコールなどさまざまな甘味料が用いられている。その用途は、チョコレート、キャンデー、グミなどの菓子類の他、清涼飲料、乳飲料・乳製品、水産練り製品、調味料類など多岐にわたる。

 黒糖は、菓子類向けの用途が多く、主に黒糖独自の風味をつけるために利用されている。ブドウ糖、水あめ、結晶果糖は、でん粉由来の甘味料で、主な用途は菓子類であるが、甘味を添加する目的の他にもつや出しや口当たりの調整など、機能面から用いられることも多い。また砂糖と比較して安価であることからさまざまな食品に利用されている。結晶果糖は、低温であるほど甘みが強まることに加え、低温下でも結晶化しにくい特性があることから、アイスクリームなどの冷菓や清涼飲料などの製造で用いられることが多い。ソルビトールは、糖アルコール類の一つで、タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しないことや消化・吸収されにくいなどの性質を持つことから加工食品や低カロリー甘味料としても使用されている。

 当機構では、実需者の甘味料に対するニーズを把握し、甘味料の需給動向の判断に資す基礎的な情報を収集するため、食品製造事業者を対象としたアンケート調査を毎年実施している。

 本稿では、令和3年度を対象に実施した「甘味料およびでん粉の仕入動向等調査」のうち、黒糖、でん粉由来の甘味料(ブドウ糖、水あめ、結晶果糖)および糖アルコール(ソルビトール)の調査結果について報告する。なお、同調査の天然でん粉および化工でん粉の調査結果については2023年3月号に、また砂糖、異性化糖および加糖調製品等の「用途別消費動向に関する調査」結果については、2月号に報告予定である。

1.調査の方法

(1)調査期間
令和4年9〜11月

(2)調査対象
甘味料を使用する食品製造事業者

(3)調査項目
令和3年度(4月〜翌3月)の黒糖、ブドウ糖、水あめ、結晶果糖およびソルビトールの用途、仕入状況などに関する事項

(4)調査方法
郵送などによる調査票の発送および回収を実施

(5)回収状況
配布企業数    294社
回収企業数    97社
調査票回収率  33.0%

(6)集計区分


(7)集計結果についての留意事項
ア.図中の「n」は有効回答数を表す。
イ.端数処理の関係により、図中の内訳の合計が100%にならないことがある。
ウ.「不明・無回答」は比較対象から除外する。
エ.本調査の黒糖は、国産(鹿児島県産および沖縄県産)を対象とした。
オ.ソルビトールは食品の他、化粧品などの日用品や医療品などの用途で幅広く使用されているが、本調査は食品製造企業のみを対象に集計を行ったことに留意されたい。

(8)調査企業の概要
甘味料の全体および種類別の企業資本金額と業種の構成比は、図1から図4の通り。

2.集計結果

(1)用途

ア.黒糖
 黒糖の用途を見ると、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が14件と最も多く、次いで「和生菓子・洋生菓子」が12件となっており、この2種類での使用が主となっている(図5)。この他には、「キャンデー類・グミ・チューインガム」が7件、「パン類(菓子パンを含む)」「プリン・ゼリー類」がともに4件となっている。

 その他に分類される用途には、豆菓子、黒みつ、ようかんなどが挙げられた。



イ.でん粉由来の甘味料(ブドウ糖、水あめ、結晶果糖)
 でん粉由来の甘味料の用途を見ると、菓子が72件で最も多く、次いで飲料が34件となっている(図6)。

 種類別の用途を見ると、ブドウ糖、水あめともに菓子への使用は多く、主に「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」や「キャンデー類・グミ・チューインガム」で使用されているが、水あめにおいては「アイスクリーム類」「和生菓子・洋生菓子」などでの使用も比較的多くなっている。結晶果糖は「その他の清涼飲料」「アイスクリーム類」「はっ酵乳・乳酸菌飲料」で主に使用されている。その他の用途として、ブドウ糖では、エナジードリンク、酵母培養、発酵調味料など、水あめでは、コーンフレーク、豆乳、乳性飲料、ホイップクリームなど、結晶果糖はコーンフレーク、豆乳、粉末飲料などが挙げられている。



ウ.ソルビトール
 ソルビトールの用途を見ると、菓子が19件と最も多く、次いで加工食品・冷凍食品が7件となっている(図7)。菓子の中では「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」と「和生菓子・洋生菓子」が多く、加工食品では「水産練り製品」での使用が多くなっている。その他の用途として、チーズ、即席麺、介護食や粉ミルクなどが挙げられている。
 

 

(2)使用する商品の数

ア.黒糖
 黒糖を使用する商品の数を見ると、「5点以下」が4割程で最も多く、次いで「11〜20点」が1割となっている(図8)。件数が少ないため参考程度ではあるが、黒糖の商品点数を資本金別にみると、資本金が多いほど、商品点数が多い傾向にある(図9)。






イ.でん粉由来の甘味料(ブドウ糖、水あめ、結晶果糖)
 でん粉由来の甘味料を使用する商品の数を種類別にみると、ブドウ糖は「5点以下」が4割で最多となっており、他の点数帯はいずれも1割前後となっている(図10)。水あめにおいても「5点以下」が最も多いが3割に満たず、次いで「21〜40点」、「6〜10点」が1割台となっている。結晶果糖は「5点以下」が4割半で最多、次いで「6〜10点」と「11〜20点」が2割前後となっており、商品の数は比較的少ない傾向にある。

 でん粉由来の甘味料の商品点数を資本金別でみると、資本金3億円を境にやや差が見られる(図11)。3億円未満の企業では、「5点以下」が3割半〜4割と他の点数帯に比べて多い。対して3億円以上の企業では「5点以下」の割合はおよそ2割台に留まり、41点以上の回答が多くなっている。








ウ.ソルビトール
 ソルビトールは「5点以下」と「21〜40点」が22%で同率、「6〜10点」も19%と拮抗して多くなっており、この三つの点数帯で6割を占めている(図12)。また、41点以上の割合も1割程みられ商品点数がやや多くなっている。

 件数が少ないため参考程度ではあるが、資本金別の商品点数では、でん粉由来の甘味料同様に3億円を境にやや差がみられる(図13)。3億円未満の企業では「5点以下」の割合は3割程と比較的大きい。一方3億円以上の企業は「21〜40点」や「41〜60点」の割合が大きくなっている。ただ「101点以上」と回答した企業は5000万円未満の企業でしかみられなかった。


 

 

(3)使用する理由

ア.黒糖
 黒糖を使用する理由としては、「商品に風味を加えるため」が29件と最も多く、次いで「甘味料そのものの味、風味が良いため」が15件、「商品の付加価値を高めるため」が7件となっている(図14)。

 その他の理由としては、「商品の主原料のため」などが挙げられている。




イ.でん粉由来の甘味料(ブドウ糖、水あめ、結晶果糖)

 でん粉由来の甘味料を使用する理由は、「商品に風味を加えるため」が36件と最も多い。次いで「甘味料そのものの味、風味が良いため」が30件、「口当たりを良くするため」が17件で続いている(図15)。

 種類別にみると、ブドウ糖と結晶果糖は全体上位二つが主な理由となっているのに対し、水あめはこれらに加え「口当たりを良くするため」「色つやを良くするため」「他の甘味料との併用による甘さ調整のため」「離水を防ぐため」なども挙げられている。

 その他の理由として、ブドウ糖では「発酵を促進するため」「揚げ色をつけるため」など、水あめでは「固形分の調整のため」「生地のつなぎとするため」など、結晶果糖は「理想香味を実現するため」が挙げられている。





ウ.ソルビトール
 ソルビトールを使用する理由としては、「商品に風味を加えるため」が8件と最も多い。次いで「甘味料そのものの味、風味が良いため」「離水を防ぐため」「商品を日持ちさせるため」がいずれも7件となっている(図16)。

 その他の理由には、「柔らかくするため」「保湿のため」「加熱した際の褐変を低減するため」などが挙げられている。

 

(4)仕入量の動向

ア.黒糖
(ア)直近1年間の仕入量
 黒糖の令和3年度の仕入量を見ると、「5トン未満」がおよそ半数を占めている(図17)。次いで「5トン以上-20トン未満」が1割程となっている。80トン以上と回答があったのはパン類、和生菓子・洋生菓子、菓子類などに使用している企業からであった。



(イ)前年度と比較した仕入量の動向
 令和2年度と比較した3年度の仕入量の動向は、「横ばい」が4割半程で最多となっているものの、「大幅に増加」「やや増加」もそれぞれ2割程みられ、増加傾向にあることがうかがえる(図18)。

 増加の要因は、「需要の増加により商品の出荷数量が増えたため」「新商品を開発したため」の二つが挙げられている。一方、「やや減少」も1割程みられ、要因としては「需要の減少により商品の出荷数量が減ったため」が挙げられた。



(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が5割強で最多となっているが、増加する見込みや減少する見込みもそれぞれ2割みられ、仕入量の変動が見込まれる(図19)。

 増加の要因は、「需要の増加により出荷数量が増えるため」が大半であり、その他に「新商品を開発するため」といった回答も見られた。主に、和生菓子・洋生菓子、スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類に使用している企業からの回答であった。

 減少の要因は、「需要の減少により商品の出荷数量が減るため」「商品の生産を中止するため」などの回答が見られた。主に、スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類、キャンデー類・グミ・チューインガム、和生菓子・洋生菓子に使用している企業からの回答であった。




イ.でん粉由来の甘味料(ブドウ糖、水あめ、結晶果糖)
(ア)直近1年間の仕入量
 令和3年度の仕入量を種類別にみると、ブドウ糖は、7割強が「500トン未満」となり、大半を占めている(図20)。水あめにおいても、6割程が「500トン未満」で最多となっており、次いで多い「500トン以上1000トン未満」は1割半に留まっている。使用量が多く6000トン以上と回答があったのは、ブドウ糖でははっ酵乳・乳酸菌飲料、水あめでは菓子類、乳飲料、ジャム類に使用している企業からであった。

 結晶果糖は、調査単位が異なり「5トン以上30トン未満」が28%で最多となっているが、「1トン以上5トン未満」「60トン以上90トン未満」「90トン以上」がいずれも17%で、分散している。「90トン以上」と回答があったのはジャム類、はっ酵乳・乳酸菌飲料、清涼飲料などに使用している企業であった。




(イ)前年度と比較した仕入量の動向
 令和2年度と比較した3年度の仕入量の動向は、ブドウ糖、水あめともに「横ばい」が半数程で最多となっている(図21)。ただ、どちらの甘味料も増加と減少の割合がそれぞれ2割を超えており、仕入量の変動がみられる。結晶果糖は「横ばい」が39%で最多となっているものの、「やや減少」と「大幅に減少」を合わせると同数となる。減少と回答があったのは主にはっ酵乳・乳酸菌飲料、その他の清涼飲料などに使用している企業からであった。

 変動した要因として「需要の増減による商品の出荷数量の変動」や「新商品の開発」「商品の生産中止」などが挙げられている。




(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、ブドウ糖、水あめともに「横ばい」が5割台で最も多くなっている(図22)。ただ「やや増加する」と回答している割合も3割程あり、増加傾向がうかがえる。増加する見込みの理由としては、「需要の増加により商品の出荷数量が増えるため」が大半を占めており、「新商品を開発するため」との回答もあった。反対に一部にみられた減少する見込みと回答した企業の理由では、「需要の減少により商品の出荷数量が減るため」「商品の生産を中止するため」が挙げられている。一方、結晶果糖は「横ばい」が6割台で最も多いが、「やや減少する」と「大幅に減少する」を合わせると3割程と比較的多くなっている。減少の要因としては「需要の減少により商品の出荷数量が減るため」が主に挙げられ、はっ酵乳・乳酸菌飲料などに使用する企業からの回答であった。




ウ.ソルビトール
(ア)直近1年間の仕入量
 令和3年度の仕入量を見ると、「5トン以上30トン未満」が4割で多くを占め、次いで多い「90トン以上」「1トン以上5トン未満」は2割に満たず、仕入量はやや集中している(図23)。

 「90トン以上」と回答があったのは、和生菓子・洋生菓子、キャンデー類、冷凍食品、パン類、漬物に使用している企業であった。



(イ)前年度と比較した仕入量の動向
 令和2年度と比較した3年度の仕入量の動向は、5割半が「横ばい」となっている(図24)。前年度調査と比較すると横ばいが1割程度増加し、代わりに減少と回答した割合が低下した。

 増加の要因は「需要の増加により商品の出荷数量が増えたため」が最も多く挙げられ、主に和生菓子・洋生菓子などに使用する企業からの回答であった。

 減少の要因は、「需要の減少により商品の出荷数量が減ったため」が最も多く挙げられ、主にパン類、水産関連製品などに使用している企業からの回答であった。



(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が6割台で最も多いが、「大幅に増加する」と「やや増加する」を合わせると2割以上となり、前年度調査を上回った。増加の要因としては「需要の増加により商品の出荷数量が増えるため」となっており、主にビスケット類、キャンデー類・グミ・チューインガムなどに使用している企業が回答していた(図25)。

(5)仕入価格の動向

ア.黒糖
(ア)直近の仕入価格
 1キログラム当たりの仕入価格(令和4年3月時点)をみると、「300円以上400円未満」が28%で最も多く、次いで「500円以上」が14%となっている(図26)。経年で比較してもあまり大きな変動はみられなかった(図27)。

     




(イ)前年度と比較した仕入価格
 令和2年度と比較した3年度の仕入価格の動向は、「横ばい」が4割半で最多となっているものの、「大幅に上昇」と「やや上昇」を合わせると4割弱となり、価格上昇がうかがえる(図28)。前年度調査では「横ばい」が約8割だったことから、「横ばい」の割合が半減し、代わりに上昇したとする回答の割合が大幅に増えている。

 価格上昇の要因としては、「仕入先の価格改定」が大半を占め、一部に「市場相場の変動によるもの」が挙げられている。



イ.でん粉由来の甘味料(ブドウ糖、水あめ、結晶果糖)
(ア)直近の仕入価格
 1キログラム当たりの仕入価格(令和4年3月時点)を見ると、ブドウ糖は「170円以上」と「150円以上170円未満」が25%程度で拮抗している。次いで「130円以上150円未満」が16%となっている(図29)。水あめは「140円以上」が36%で最多、次いで「90円未満」「130円以上140円未満」が同率12%となっている。結晶果糖は「200円以上250円未満」が50%で最も多く、次いで「200円未満」が17%となっている。経年でみると「200円以上250円未満」の割合が、直近3カ年で最も多くなっている(図30)。

 日本経済新聞社が公表する「主要相場」(以下「日経相場」という)によると、令和4年11月の糖化製品市中相場のブドウ糖の月平均市中価格は、1キログラム当たり198〜200円、水あめが同139〜141円であることから、いずれもおよそ半数が日経相場を下回る仕入価格であった。






(イ)前年度と比較した仕入価格
 令和2年度と比較した3年度の仕入価格の動向は、ブドウ糖、水あめともに「やや上昇」がおよそ5割、「大幅に上昇」と合わせると6〜7割となり仕入価格の上昇がうかがえる(図31)。結晶果糖は、「横ばい」が44%で最多となっているが、「大幅に上昇」と「やや上昇」を合わせると44%と同率となり、前年度調査と比べても上昇したとの回答が1割程度増えており上昇傾向がみられる。

 上昇した要因として「仕入先の価格改定によるもの」「市場相場の変動によるもの」「為替の変動によるもの」が挙げられている。



ウ.ソルビトール
(ア)直近の仕入価格
 1キログラム当たりの仕入価格(令和4年3月時点)を見ると、「200円以上」が31%で最多、次いで「150円以上200円未満」が19%となっている(図32)。経年でみると、高価格帯に推移しており、今年度では150円以上とする企業が初めて半数に上った(図33)。

   



(イ)前年度と比較した仕入価格
 令和2年度と比べた3年度の仕入価格の動向は、下落したとする回答は見られず、前年度調査では「横ばい」が8割以上となっていたが、今年度は「横ばい」が3割弱となり、代わりに上昇したと回答した企業が5割強に上るなど、価格上昇が顕著になっている(図34)。

 上昇した要因については、「仕入先の価格改定によるもの」が大半を占めたほか、「市場相場の変動によるもの」が挙げられた。

 

 

(6)品質・調達面に関する評価

ア.黒糖
 黒糖に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面、調達面ともに「満足」「やや満足」を合わせると6割に達し、満足度はおおむね高い(図35、36)。

 特に調達面においては、前年度調査では一部に「数量が安定しない」などの不満がみられたが、今年度調査では全くみられず、「満足」とする回答が多くなっている。






イ.でん粉由来の甘味料
 でん粉由来の甘味料に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面はともに「満足」が4〜6割となっている(図37)。結晶果糖では、品質面では不満とする回答はみられなかった。

 調達面では、ブドウ糖と水あめにおいては、「満足」が約5割となっている(図38)。しかしブドウ糖では、一部で供給が需要に追い付かない点や価格の上昇などを理由に「不満」とする回答が見られた。結晶果糖は「満足」が3割台と高くはないが、「不満」とする回答が見られず、おおむね肯定的に捉えられている。







ウ.ソルビトール
 ソルビトールに対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面では不満とする回答はみられず、「満足」がおよそ6割となっている(図39)。

 調達面では、「仕入価格の上昇」のため不満とする回答もわずかに見られたが、「満足」と「やや満足」を合わせると6割以上に上り、満足度が高いことがうかがえる(図40)。

 

 

(7)その他

 今回、現在使用している甘味料を砂糖に置き換える可能性について調査を行った。黒糖については、「商品や甘味料の特性上、砂糖での代替はできない」とする回答が半数以上見られ、「代替可能」とする回答は得られなかった(図41)。このことから、黒糖本来の味や風味が商品への付加価値として重視されていることが推察される。

 でん粉由来の甘味料は、ブドウ糖、水あめ、結晶果糖ともに「商品や甘味料の特性上、砂糖での代替はできない」とする回答が約7割を占めたものの、ブドウ糖、水あめでは「砂糖の価格が下がれば代替可能」「砂糖の調達面が安定すれば代替可能」とする回答も一部見られた。結晶果糖では「代替可能」とする回答は得られなかった(図42)。

 ソルビトールを砂糖に置き換える可能性について調査を行ったところ、ソルビトールでは「商品や甘味料の特性上、砂糖での代替はできない」とする回答が6割強となったものの、「砂糖の価格が下がれば代替可能」とする回答も1割弱見られた(図43)。

 

 

 

おわりに

 仕入量の実績については、おおむね横ばいであったものの需要の増加・減少も一定数みられ、経済活動の回復に伴う増加、巣ごもり需要からの反動による減少などの影響がみられた。また今後の見込みについては、実績と同様におおむね横ばい傾向であるが、特にブドウ糖や水あめ、ソルビトールで増加傾向が見られた。

 一方で仕入れ価格については「上昇」とする回答割合が前年度調査から増加し、仕入先の価格改定、相場変動などによる価格の上昇を要因とする回答が多く見られた。

 また、現在使用している甘味料を砂糖に置き換える可能性についてアンケートしたところ、「商品や甘味料の特性上、砂糖での代替はできない」との回答が大半を占めたものの、一部で「砂糖の価格が下がれば代替可能」とする回答も見られた。

 今年度調査においても前年度調査に引き続き新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による需給への影響が見られ、需要の増減に加えて世界的な物価高騰や円安による原材料価格の上昇についてもその影響が垣間見えた。今後も甘味料の需給動向について、引き続き注目していきたい。

 最後にお忙しい中、本調査にご協力いただいた企業の皆さまに、改めて厚く御礼申し上げます。

【参考文献】
・脇谷和彦、菊池美智子(2007)「砂糖以外の甘味料について」『砂糖類情報』(2007年7月号)独立行政法人農畜産業振興機構
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272