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2.国際価格の動向

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最終更新日:2023年6月9日

ニューヨーク粗糖先物相場の動き(4/3〜5/12)

〜引き続き世界的な供給ひっ迫の見通しから、26セント後半まで上昇〜

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 2023年4月のニューヨーク粗糖先物相場(5(がつ)(ぎり))の推移を見ると、3日は、原油高も相まって引き続き上昇し、1ポンド当たり22.40セント(注1)と高値をつけた。5日は、インド製糖協会(ISMA)が2022/23年度の10月から翌3月中旬の同国の砂糖生産量を下方修正(前年度比1.1%減から3.3%減)したことから、同22.95セントと急騰し、6日は、砂糖の減産見通しを理由に輸出枠拡大の可能性は低いとするインド政府の発言が引き金となり、同23.61セントとさらに価格を押し上げる結果となった。10日は、ドル高(注2)によりロングポジションの利益確定のための売りが進んだことから、同23.56セントと値を下げたが、11日には再び上昇し、同24.37セントをつけた。12日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が同国の22/23年度の砂糖生産量を前年度比5.2%増と発表したことから、同24.05セントと下落した。13日以降は、続く世界的な供給のひっ迫の見通しが下支えとなり上昇し、18日は、同24.54セントをつけた。19日は、原油安(注3)の流れを受け、同24.37セントと値を下げた。20日は、ISMAがインドの22/23年度の砂糖生産量を前回報告からさらに下方修正(前年度比5.4%減)したことから、同25.25セントと値を上げた。21日は、収穫期のブラジルで乾燥気候が予測されたことが好材料となり、同24.83セントと下落した。その後は、5月限の納会を前にしたショートポジションをカバーするための買い戻し(注4)が入ったことなどから急騰し、25日は26セント台を突破し、同26.65セントをつけた。26日は、原油安により、同26.51セントと下落したものの、27日以降は、再び5月限の利益確定のための買い戻しやインド政府が砂糖の輸出枠拡大の可能性を改めて否定したことなどから、28日は、同26.99セントと11年ぶりの高値を記録して納会した。

 7月限に代わった5月1日は、5月限の流れを引きずり、同25.54セントをつけた。2日は、ブラジル国家食糧供給公社が同国の22/23年度の砂糖生産量が前年度比4.7%増となり、過去2番目となる見込みと報告したことから、同25.14セントと値を落とした。3日以降は、レアル高や国際砂糖機関が22/23年度の余剰在庫量を下方修正したことなどから上昇し、5日は、同26.32セントと高値をつけたものの、8日は、ドル高により、同26.09セントと値を下げた。9日以降は、原油高やドル安などにより上昇し、10日は、同26.66セントと高値をつけた。11日は、UNICAがブラジルのサトウキビの順調な収穫を受け、4月までの砂糖生産量が前年同期比43.7%増と報告したことから、同26.02セントと下落した。12日は、米国海洋大気庁が8−10月期のエルニーニョ現象の発生可能性を75%から94%に引き上げたことから、主産地での天候被害を懸念し、同26.22セントと値を上げた。
 
(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)売買差益を狙い、将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。

 
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