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5. 日本の主要輸入先国の動向(2023年6月時点予測)

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最終更新日:2023年7月10日

5. 日本の主要輸入先国の動向(2023年6月時点予測)

2023年7月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先は、豪州およびタイであり、2022年の主要輸入先ごとの割合を見ると、豪州が90.7%(前年比4.1ポイント増)、タイが9.3%(同4.1ポイント減)と、両国が大勢を占めている(財務省「貿易統計」)。



2023/24年度の輸出量は、砂糖の増産を背景にかなり大きく増加する見込み
 2023/24年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.7%増)とわずかな増加が見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、クイーンズランド州南部などで乾燥した気候が続いたことで、3145万トン(同3.5%減)と、前年度からはやや減少が予想される。

 砂糖生産量は、441万トン(同4.3%増)とやや増加すると予想される。輸出量は、世界的な経済回復により同国の主要輸出先である韓国、インドネシアおよび日本などの砂糖消費需要によってけん引されることに加え、世界的な砂糖の供給懸念による豪州産砂糖の需要の高まりから、340万トン(同15.6%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。

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2022/23年度の砂糖生産量は前年度比増、輸出量も800万トン前半と前年度を上回る見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、競合するキャッサバの生産に転換した農家の一部回帰などから、162万ヘクタール(前年度比6.0%増)とかなりの程度増加すると見込まれる(表7)。23/24年度は、エルニーニョなどによる乾燥気候を考慮し、より乾燥に強いキャッサバに転換する農家が増加しているとされる。サトウキビ生産量は、昨年の雨期の長雨により東北地域の低地帯で洪水が発生したものの、被害に見舞われなかった他の地域で収量が増加し、9388万トン(同3.0%増)と依然として高水準となると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビの生産量の増加に伴い1157万トン(同7.6%増)とかなりの程度増加し、21/22年度に引き続き1000万トン超えが見込まれる。輸出量は、砂糖の増産を背景に、833万トン(同3.0%増)と、前回予測から下方修正されたものの、依然として倍増した前年度を上回ると見込まれる。
 
タイ政府、エタノール由来のバイオプラスチック製造を推進
 タイ政府報道官は6月13日、環境負荷軽減の促進に向け、バイオプラスチック製造にエタノールの使用を承認したと発表した。この決定は、バイオプラスチックの原料であるバイオエチレンについての税制優遇措置や、バイオプラスチック産業におけるエタノールの利用を促進するためのガイドラインの設定などにより、業界を支援するものである。

 同国産のエタノールは、法律で使途が燃料と酒類に限定され、主にガソリンとの混合燃料にその多くが使用されてきた。しかし、電気自動車の普及による混合燃料の消費減少が見込まれる中で、同国が推進する地球環境保護目標や政府のBCG経済モデル(注)に合致する提案として、エタノールの他産業での活用が具体化したものである。

 従来のプラスチックは、石油化学由来のエチレンを原料としており、その製造過程で大量のCO2を発生させるが、バイオエタノールを原料とすることで、CO2の大幅な削減が可能であるとし、また、生分解性材料の創出を促進するものとしても期待されている。

 同政府報道官によると、現在同国のエタノール生産能力は年間31億2300万リットルである一方、その需要は15億8300万リットルであるとし、同国のエタノール生産能力は十分にあり、BCG経済モデルを通じたバイオプラスチック製造の拡大は、エタノール産業の持続可能な発展を促進するものとしている。
 
(注)BCG経済モデルとは、同国の経済施策の一つで、「バイオ(Bio)経済」「循環(Circular)経済」および「グリーン(Green)経済」の概念を統合したもの。生物資源の活用、資源の再利用とリサイクル、社会経済と環境のバランスによる持続可能な開発などを主眼とし、次の4産業が注力分野として掲げられている。(1)農業・食品(2)医療・健康(3)エネルギー、素材およびバイオ化学(4)観光・クリエイティブ経済

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