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2.国際価格の動向

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最終更新日:2023年9月11日

2023年9月

ニューヨーク粗糖先物相場の動き(7/3〜8/11)
〜1カ月ぶりに25セント台をつけ、供給懸念から強含み〜
 
 2023年7月のニューヨーク粗糖先物相場(10月限(がつ ぎり))の推移を見ると、7月3日は、堅調な需要の兆しがうかがえることから、1ポンド当たり23.32セント(注1)をつけた。5日は、乾燥が続くタイの天候不順を受け、同23.53セントと上昇した。6日は、レアル安(注2)により、同23.25セントと値を下げたものの、7日は、タイの天候不順とドル安により、同23.53セントと再び値を上げた。10日以降は、主産地での気象状況(ブラジルの好天やタイの天候不順など)により上下し、13日は、原油価格の上昇(注3)により、同24.01セントをつけた。さらに14日は、レアルが1週間ぶりの高値まで上昇し、相場を押し上げたことなどから、同24.32セントをつけた。17日は、原油安とブラジルの好調な収穫を背景に、同23.80セントまで反落した。18日以降は、タイでの少雨見通しから上昇し、20日は、同24.67セントをつけた。さらに、21日は原油高により、1カ月ぶりに同25セント台(同25.01セント)をつけた。24日は、ブラジルでの乾燥した天候が収穫を後押しして、同24.92セントと値を下げた。25日以降は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が7月前半の中南部の砂糖生産量を前年同期比8.9%増と発表したことから、下落が続き、26日は、同24.39セントをつけた。27日は、ロンドンを拠点とする調査会社が世界の2023/24年度の砂糖市場は約600万トンの供給不足になると発表したことなどから、同24.43セントと反発したものの、28日は、引き続きブラジルの増産などを受けて同23.92セントまで下落した。31日は、原油高により、同24.11セントまで反発した。

 8月に入ると、1日は、インドの砂糖企業が2023/24年度の砂糖生産量を前年度比3%減と見込んだことから、同国の砂糖供給の懸念が相場を上昇させ、同24.39セントをつけた。2日以降は、原油安やレアル安により下落傾向が継続し、4日は、同23.69セントをつけた。なお同日、インド政府は同国の7月末時点の砂糖在庫量を1080万トンと発表した。7日は、前週のインド政府の発表を受け、同国で十分な量の砂糖が確保され、輸出抑制の緩和が期待されながらも、ロンドンを拠点とする調査会社がタイの2023/24年度の砂糖生産量を前年度比31%減と17年ぶりの低水準に落ち込むと発表したことなどを受け、同23.74セントと上昇に転じた。8日は、中国の22/23年度の7月の砂糖輸入量が前年同期比12.4%減と直近6カ月で最大の減少幅となり、国での需要の落ち込みが重荷となったことで、同23.45セントと下落した。9日は、原油高により、同23.71セントと上昇した。10日以降は、国際砂糖機関(ISO)が23/24年度の世界の砂糖生産量を前年度比1.2%減と予測し、同年度の期末在庫量を前年度の85万2000トンの余剰から212万トンの不足に転じるとしたことから、11日は、世界的な砂糖供給不足への懸念から、同24.33セントと上昇した。
 

(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが下落すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が高まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が高まると、需給の緩和につながることから、価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も増加する。バイオエタノールの需要増加により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。

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