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3 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2023年10月時点予測)

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最終更新日:2023年11月10日

3 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2023年10月時点予測)

2023年11月




2023/24年度の砂糖輸出量は、増産と国際需要の高まりから大幅に増加する見込み
 
2023/24年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、一部の農家でより収益性の高い大豆やトウモロコシなどへの切り替えが進んだことから、842万ヘクタール(前年度比0.7%減)とわずかに減少すると見込まれる(表2)。サトウキビ生産量は、主産地の中南部地域で好天に恵まれ収穫に良好な条件が続いたことなどから、6億8000万トン(同12.1%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビの増産を受けて、収穫作業や工場での操業が加速しているほか、輸出関連施設の全面的稼働を背景に、4701万トン(同18.4%増)と大幅に増加すると見込まれる。今後、好天が続けば12月中旬まで工場の圧搾作業が延長される見込みであるが、ブラジル国立気象研究所によると10月は平年を上回る降雨が予想されている。輸出量は、エルニーニョ現象による世界的な天候不順への懸念や国際市場での輸入需要の高まりが期待されることから、3559万トン(同22.8%増)と大幅に増加すると見込まれる。



 
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2023/24年度の砂糖輸出量は、減産と国内需要の確保により大幅に減少する見込み
 
2023/24年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、555万ヘクタール(前年度比0.3%減)と前年度からほぼ横ばいで推移すると見込まれる(表3)。サトウキビ生産量は、過去5年間でモンスーン期の降雨が最も少なかったことや、カルナータカ州とマハラシュトラ州の一部などの南西部で乾燥した天候がサトウキビの生育にマイナスの影響を与えたことから、4億5515万トン(同1.9%減)とわずかに減少すると見込まれる。

 砂糖生産量は、インド北部ではサトウキビが順調に生育しているものの、他の主産地でのサトウキビの減産が見込まれることから、3233万トン(同8.5%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。輸出量は、砂糖の減産見込みやエタノールへの仕向け量の増加のほか、国内市場価格を安定維持するとの観点から、政府関係者による同年度の砂糖輸出を否定する発言が現地で報じられていることなどから、272万トン(同68.0%減)と大幅な減少が見込まれる。



 
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2023/24年度の砂糖生産量はかなりの程度、輸入量はかなり大きく増加する見込み
 
2023/24年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、116万へクタール(前年度比0.3%減)とほぼ横ばいで推移すると見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、年初に広西チワン族自治区で続いた乾燥が生育の懸念材料となっていたものの、8月から9月にかけて降雨に恵まれたことから、7008万トン(同11.9%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。一方で、てん菜の収穫面積は、新疆ウイグル自治区で寒さによるてん菜の部分的な不作が生じたことなどから、18万ヘクタール(同9.5%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。てん菜生産量は、収穫面積の減少に加え、内モンゴル自治区で乾燥した天候が懸念される中、895万トン(同2.3%増)とわずかに増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビの生産回復を背景に、1053万トン(同8.6%増)とかなりの程度増加し、21/22年度の水準にまで回復すると見込まれる。輸入量は、世界的な砂糖価格の上昇などを背景に在庫の取り崩しが進んだことから、664万トン(同13.1%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。

 同国政府は9月27日、2016年以来6年ぶりとなる砂糖備蓄の国内市場への放出を実施しており、12万6700トンの砂糖が売り渡され、今後も追加の放出が行われる可能性がある。


広西チワン族自治区、サトウキビ()(じょうの拡大と機械化の導入を推進
 
9月24日付け現地報道によると、中国最大のサトウキビ生産地である広西チワン族自治区では、2023/24年度のサトウキビ作付面積は1124万ムー(注1)(75万ヘクタール、前年度比0.4%増)とわずかに増加、サトウキビ生産量は4700万トン(同14.1%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。これによる、サトウキビの増産と前年度の砂糖生産量(527万トン)から予想される砂糖生産量は、約600万トンと見込まれる。

 同自治区では、今年からサトウキビの生産保護区を新たに設け、ユーカリ植林地からの転換を図る「〇(木へんに安)退蔗〇(しんにょうに井)(直訳:ユーカリ後退、サトウキビ前進)」を実施している。8月末の時点で、73万2300ムー(4万8820ヘクタール)のユーカリや果樹などの圃場が減少し、新たに60万6600ムー(4万440ヘクタール)のサトウキビ圃場が拡張された。

 また現在、同自治区では、サトウキビ圃場での一連の作業(圃場での収穫、葉と不純物の除去、製糖工場での圧搾など)において段階的な機械の導入を試験的に進めている。特に収穫や葉の分別は煩雑で負担が大きいことから、すでに栽培と収穫での機械化率は7割程度とされており、作業効率の向上に貢献している。さらに同自治区では、全地域の製糖企業で戦略的再編と積極的な生産能力の統合を推進し、地域産業の拡大を図っている。その中で、現在約5割の製糖工場で自動包装やパレタイジング(注2)設備、分散制御システムなどが導入されている。

(注1)1ムーは約0.0667ヘクタール。
(注2)荷物をパレット(荷物を荷役・輸送・保管のために載せる台)に積み上げること。パレタイズともいう。



 
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2023/24年度の砂糖生産量は回復し、輸出量は増産などを背景に大幅に増加する見込み
 
2023/24年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、EU最大のてん菜主産地であるフランスで減少が見込まれるものの、トウモロコシや小麦と比較しててん菜の収益性が高いことや、春先の降雨による播種(は しゅ)の遅れを補うほどの好天に恵まれたことなどから、ポーランドやスペインで作付面積の増加が見込まれ、144万ヘクタール(前年度比3.2%増)とやや増加すると見込まれる(表5)。てん菜生産量は、この数カ月間北西ヨーロッパ地域の大部分で良好な降雨と日照に恵まれ、作柄の見通しが改善されたことから、1億465万トン(同5.8%増)とやや増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、萎黄(い おう)(注)の影響が限定的との見通しやバイオエタノールへのてん菜利用の減少予測などから、1658万トン(同5.8%増)とやや増加すると見込まれる。輸入量は、てん菜の増産が期待されることから、295万トン(同6.4%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。また、輸出量は、216万トン(同2.3倍)と18/19年度の水準まで回復が見込まれる。

(注)萎黄病はアブラムシによって媒介される植物ウイルス病。


ドイツの砂糖生産量の見通し
 各国・地域のてん菜・サトウキビ生産者団体をまとめる国際組織であるWorld Association of Beet and Cane Growers(WABCG)が発行する10月のニュースレターで、EUでも有数のてん菜生産地域であるドイツ西部のラインラント地域のてん菜生産者団体による2023/24年度の同地域のてん菜生産状況報告を報じている。これによると、同国西部では春先に降雨が続いたことから、てん菜の播種は4月初旬に開始されたが、度重なる降雨により作業は停滞し、5月中旬にまで6週間ずれ込んだ。播種後、天候は一変し、5月中旬から7月中旬にかけては雨がほとんど降らず、気温は35度を超えることもあり、多くのてん菜生産者は夏期の干ばつを心配した。しかし、7月中旬以降は、雨がちで日照時間の少ない天候が9月まで続き、9月に入ると日照時間は持ち直したとされている。

 7月中旬から8月末までの適度な降雨と気温により、てん菜の成長は良好であったものの、糖度については、高温によるストレスや日照時間の不足などによりほとんど上昇せず、出荷時の平均糖度は、例年の平均(注)を下回る16.5%と予測している。一方で単収は1ヘクタール当たり約80トンと良好な見通しであり、全体では平均的な糖収量を達成するため、播種の遅れをてん菜の生育期間の延長で補うべく、製糖企業との合意により収穫を遅らせる予定であるとされている。収穫を遅らせることで、晴天の日が多く、夜間の気温が徐々に下がる9月の天候が、てん菜の糖度増加に良い影響を与えることが期待され、同地域の収穫は2024年1月初旬まで続くと予想されている。

 また同国の製糖協会であるWirtschaftliche Vereinigung Zucker(WVZ)は10月4日、同年度の砂糖生産量の見通しを発表した。これによると、てん菜の栽培面積は36万5000ヘクタール、1ヘクタール当たりの単収は79.2トンとされた。これらよりWVZは、同年度のてん菜生産量を約2900万トン、砂糖生産量を約440万トンと予測している。

(注)欧州砂糖製造者協会(CEFS)の発行する「CEFS STATISTICS 2021/22」によると、過去5カ年度(17/18〜21/22年度)における出荷時のてん菜の平均糖度は17%である。



 
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