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3 国際価格の動向

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最終更新日:2024年1月10日

3 国際価格の動向

2024年1月

ニューヨーク粗糖先物相場の動き(11/1〜12/11)
〜ブラジルの増産見込みから供給不足の懸念が和らぎ、5カ月半ぶりに22セント台に急落〜


 


 2023年11月のニューヨーク粗糖先物相場(3月限(がつ ぎり))の推移を見ると、1日以降は、タイの砂糖輸出規制の懸念から緩やかに上昇し、6日は1ポンド当たり27.95セント(注1)と12年ぶりの高値を更新した(図)。7日以降は、原油価格の低迷(注2)がロングポジション(注3)の清算のきっかけとなり、8日は同27.21セントと下落した。9日は、ブラジルでの港湾混雑により、同27.78セントに上昇した。10日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が砂糖増産を報告したことから、同27.29セントと下落したが、13日は、前週の高値に迫る、同27.71セントまで上昇した。14日以降は、国際砂糖機関(ISO)が23/24年度の世界の砂糖生産量を前回予測から上方修正したことで供給不足懸念が和らぐ一方、3カ月半ぶりのレアル高(注4)が押し上げ材料となり、価格は横ばいで推移した。20日は、欧州の長雨による圃場(ほ じょう)の冠水で、てん菜の収穫が遅延していることから、同27.56セントと上昇し、21日は、同27.75セントとさらに上昇した。22日以降は、レアル安や原油安により下落し、27日は、ドル安から一時上昇するも、UNICAが砂糖の増産見込みを発表したことから、28日は、同26.99セントと値を下げた。29日以降は、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が23/24年度の砂糖生産量を上方修正したことから砂糖供給の不足懸念が緩和され、30日は、同26.04セントと下落した。

 12月に入ってもブラジルの増産見込みは砂糖相場に大きく影響を与え、1日は、同25.09セントと26セントを割り込み下落した。4日は、ショートポジションをカバーするための買い戻し(注5)から一時上昇し、同25.81セントまで回復したものの、5日以降は、供給不足の懸念が緩んだことから売りが先行し、6日は、同23.00セントと急落した。7日以降は、ドル安やインドの減産見通しなどからわずかに上昇したものの、ブラジルの増産が相場に与えるインパクトは大きく、11日は、同22.47セントと5カ月半ぶりの安値をつけた。


(注1)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
(注2)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要は減少し、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが減る。その結果、それら原料作物から生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えると想定され、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)将来の値上がりを期待して買いの持ち高を取っている状態。
(注4)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注5)将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産(ショートポジション)を、決済のために買い戻すこと。
 

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