
ホーム > でん粉 > 調査報告 > 食品メーカーにおけるでん粉の利用形態〜令和6年度甘味料およびでん粉の仕入動向等調査の概要(2)〜
最終更新日:2025年8月12日
(1)調査期間
令和6年12月〜令和7年2月
(2)調査対象
でん粉を使用する食品製造事業者
(3)調査項目
ア 用途および使用する理由
イ 仕入量および仕入価格の動向
ウ 原料確保状況に対する評価
(4)調査対象期間
令和6年10月現在(ただし、年間を対象とした項目については令和5年10月から翌年9月までの1年間)
(5)調査方法
郵送またはメールによる調査票の発送および回収を実施
(6)回収状況
配布企業数 370社
回収企業数 97社(表2)
調査票回収率 26.2%
(7)集計区分
(8)集計結果についての留意事項
ア 図中の「n」は有効な調査票の数を表す。
イ 端数処理の関係により、図中の内訳の合計が100%にならないことがある。
ウ 「不明・無回答」は比較対象から除外する。
エ 図に示す調査結果は、凡例と同様の選択肢による回答を得たものである。
(9)調査企業の概要
令和6年度調査で回答のあった97社の業種別構成比は、図4の通り。「菓子、パン」が35社(36%)と最も多く、次いで「畜産・水産食料品」が23社(24%)、「調味料、糖類、油脂」が11社(11%)となっている。
ア 天然でん粉の用途
菓子・冷菓」が40件で最も多く、次いで「水産練り製品・ハム・ソーセージ類」が19件、「冷凍食品」が14件で続いている(図5)。
なお、「その他」に分類されている用途としては、レストラン商品(チーズフォンデュへの添加など)が挙げられた。
イ 化工でん粉の用途
菓子・冷菓」との回答が25件と他の回答に比べかなり多かった。次いで「調味料・調味食品」が9件、「乳製品」が8件となっている(図6)。
その他の用途としては、「リキュールの副原料として使用」が挙げられた。
ア 天然でん粉を使用する理由
「食感付与」との回答が61件と他の回答に比べかなり多かった。次いで「とろみの付与・粘度調整」が25件、「主原料であるため」が24件で続いている(図7)。「その他」の理由としては、「大福製造時の打ち粉として使用」、「風味改善のため」、「他のでん粉の代替で使用」などが挙げられた。
イ 化工でん粉を使用する理由
「食感付与」が47件と最も多く、次いで「とろみの付与・粘度調整」が29件、「加工適性の向上」が24件で続いている(図8)。
その他の理由としては、「リキュールの副原料として使用」などが挙げられた。
ア 前年度と比較した仕入量の動向(図9)
(ア)ばれいしょでん粉
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて22%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて46%となり、前年度と比較して減少傾向が顕著であった。
増加したと回答した社は11社で、理由としては、11社すべてが「需要増」との回答であった。
一方、減少したと回答した社は23社で、主な理由としては、「必要量を供給してもらえなかったため」が挙げられた。
(イ)かんしょでん粉
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて30%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて40%となり、前年度と比較して減少傾向が見られた。
増加したと回答した社は6社で、理由としては、6社すべてが「需要増」との回答であった。
一方、減少したと回答した社は8社で、主な理由としては「必要量を供給してもらえなかったため」が挙げられた。
(ウ)コーンスターチ
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて22%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて35%となり、前年度と比較して減少傾向が見られた。
増加したと回答した社は10社、減少したと回答した社は16社で、主な理由としては「需要増」、「需要減」がそれぞれ挙げられた。
(エ)タピオカでん粉
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて53%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて35%となり、天然でん粉の中では唯一、前年度と比較して増加傾向が強かった。
増加と回答した社は9社、減少したと回答した社は6社で、主な理由としては「需要増」、「需要減」がそれぞれ挙げられた。増加の理由として、「新商品を開発したため」「1商品当たりの含有量を増やしたため」「他のでん粉からの切り替え」との回答もあった。
イ 今後の仕入量の見込み(図10)
(ア)ばれいしょでん粉
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が62%と最も多くなっており、「やや増加」は12%に留まっている。一方、「やや減少」が22%、「大幅に減少」が4%と、合わせて26%が今後減少を見込んでいるのがうかがえる。
なお、増加見込みと回答した社は6社で、主な理由としては「需要増」が挙げられた。一方、減少見込みと回答した社は13社で、主な理由としては「必要量を供給してもらえなかったため」が挙げられた。
(イ)かんしょでん粉
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が55%と最も多くなっており、「やや増加」は15%に留まっている。一方、「やや減少」が15%、「大幅に減少」の15%と合わせて30%が今後減少を見込んでいるのがうかがえる。
なお、増加見込みと回答した社は3社で、主な理由としては「需要増」が挙げられた。一方、減少見込みと回答した社は6社で、主な理由としては、「必要量を供給してもらえなかったため」が挙げられた。
(ウ)コーンスターチ
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が76%と最も多くなっており、回答数の8割近くを占めている。「やや増加」の13%に対し、「やや減少」は7%と他の天然でん粉に比べると、減少を見込む回答が少ないことから、底堅い需要がうかがえる。
なお、増加見込みと回答した社は6社、減少見込みと回答した社は3社で、変動の理由としては「需要増」、「需要減」がそれぞれ挙げられた。
(エ)タピオカでん粉
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が65%と最も多かった。「大幅に増加」が6%、「やや増加」の12%と合わせて18%が増加見込みとなっている。一方、「やや減少」は12%となっている。
なお、増加見込みと回答した社は3社で、主な理由としては「他のでん粉からの切り替え」が挙げられた。一方、減少見込みと回答した社は2社で、理由は「需要減」が挙げられた。
ア 前年度と比較した仕入量の動向(図11)
(ア)デキストリン類
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて24%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて53%となり、前年度と比較して減少傾向が強かった。
増加と回答した社は5社、減少と回答した社は11社で、変動の理由としては「需要増」、「需要減」がそれぞれ挙げられた。
(イ)加工でん粉
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて30%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて41%となり、前年度と比較して減少傾向が見られた。
増加と回答した社は15社で、理由としては「需要増」が最も多く、「新商品を開発したため」および「他のでん粉から切り替えたため」との回答もあった。
一方、減少と回答した社は21社で、理由としては「需要減」が最も多く、「1商品当たりの含有量を減らしたため」、「国産ばれいしょでん粉への置換え」との理由であった。
(ウ)物理処理でん粉
仕入量の増減について、「大幅に増加」、「やや増加」が合わせて36%、「やや減少」「大幅に減少」が合わせて36%となった。
増加と回答した社は4社、減少と回答した社は4社で、理由としてはそれぞれ「需要増」、「需要減」との回答が挙げられた。
イ 今後の仕入量の見込み(図12)
(ア)デキストリン類
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が71%と最も多くなっており、「やや増加」は5%に留まっている。一方、「やや減少」が19%と今後減少を見込んでいるのがうかがえる。
なお、増加見込みと回答した社は1社、減少見込みと回答した社は4社で、理由としてはそれぞれ「需要増」、「需要減」との回答が挙げられた。
(イ)加工でん粉
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が67%と最も多くなっており、「やや増加」は16%であった。一方、「やや減少」の12%、「大幅に減少」の2%を合わせた14%は減少を見込んでいる。
なお、増加見込みと回答した社は8社で、主な理由としては、「需要増」のほか、「他のでん粉から切り替えたため」が挙げられた。一方、減少見込みと回答した社は7社で、主な理由としては、「需要減」の他「商品の生産を中止したため」が挙げられた。
(ウ)物理処理でん粉
今後の仕入量の見込みは、「横ばい」が55%と最も多く、次いで「やや増加」27%、「やや減少」は9%であった。
なお、増加見込みと回答した社は3社、減少見込みと回答した社は1社で、それぞれ理由は「需要増」、「需要減」が挙げられた。
ア 天然でん粉
ばれいしょでん粉の1キログラム当たりの仕入価格(令和6年10月時点)を見ると、「200円以上240円未満」及び「240円以上」がいずれも28%で最も多くなっている(図13)。
かんしょでん粉は「120円以上160円未満」及び「240円以上」がいずれも25%で最多となっている。
コーンスターチは「120円以上160円未満」が29%で最も多くなっている。
タピオカでん粉は「240円以上」が35%で最も多くなっている。
なお、経年で比較すると、いずれの天然でん粉も価格は上昇傾向で推移している。かんしょでん粉、コーンスターチおよびタピオカでん粉では数年前から「80円未満」の価格帯は皆無となっており、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉およびタピオカでん粉では「240円以上」が多くなっている。
一方でコーンスターチは、2024年度は前年度に比べ低価格帯の割合が高くなっている(図14)。
令和5年度と比較した6年度の仕入価格について、変動した理由について、いずれの天然でん粉も「仕入先の価格改定による」が最も多くなっており、かんしょでん粉では「原料作物の生産量の変動によるもの」、コーンスターチでは「原料作物の市場相場の変動によるもの」との回答が多かった。
イ 化工でん粉
デキストリン類の1キログラム当たりの仕入価格(令和6年10月時点)を見ると、「200円以上240円未満」が24%で最も多くなっている(図15)。
加工でん粉は「280円以上500円未満」が27%で最も多くなっている。
物理処理でん粉は「500円以上」が27%で最も多くなっている。
なお、経年で比較すると、デキストリン類および加工でん粉ともに5年度までは価格が上昇傾向で推移していたが、6年度は前年度に比べ280円未満の価格帯の割合が高くなり、一段落ち着いた状況がうかがえる(図16)。
ア 天然でん粉
天然でん粉に対する原料確保の評価を「満足」
「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねた。いずれも「普通」が最も多くなっており、「満足」「やや満足」を合わせても1割未満〜2割程度とかなり低い結果となった(図17)。
かんしょでん粉では「やや不満」「不満」併せて55%と半数以上に達しており、ばれいしょでん粉でも46%と半数近くを占めている。その理由としては、「供給量の減少や価格高騰」が大半となっている。一方、コーンスターチについては相対的に見るとやや満足度合いが高い結果となった。
イ 化工でん粉
化工でん粉に対する原料確保の評価を「満足」
「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねた。いずれも「普通」が最も多くなっており、「満足」「やや満足」を併せても3割に満たない結果となった(図18)。
種類別に見ると、デキストリン類では「やや不満」が10%、加工でん粉では6%あり、その理由としては、「価格高騰」、「輸入元が変わり銘柄が安定しない」などが挙げられた。