
ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 3 世界の砂糖需給に影響する各国の動向(2025年8月時点予測)
最終更新日:2025年9月10日
2025/26年度のサトウキビ生産量はやや、砂糖生産量はわずかな減少を見込む
2025/26年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、1月〜3月の降水量が平均を下回ったことや圃場の更新により、872万ヘクタール(前年度比1.4%減)とわずかな減少が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、前年度の火災の影響のほか、年初からの干ばつ傾向に加え、6月と7月に中南部で局所的に発生した霜害などにより、単収が前年度を下回るとの見通しから、6億4300万トン(同5.3%減)とやや減少が見込まれている。
砂糖生産量は、サトウキビの減産およびサトウキビの歩留まり指標となるATR(注)の減少が見込まれる中、引き続き製糖企業によるサトウキビの砂糖仕向けの割合は高い状態にあるものの、4633万トン(同1.8%減)とわずかな減少が見込まれている。世界の砂糖相場が下落傾向にある中、同国では8月1日よりガソリンへのエタノール30%の混合(E30)が義務付けられており、今後のエタノール生産の動向が注目される。砂糖輸出量は、3553万トン(同2.0%減)とわずかな減少が見込まれているが、引き続き国際市場でのブラジル産砂糖に対する堅調な需要が見込まれている。
(注)1トン当たりの平均回収糖分。ポルトガル語でAçúcar Total Recuperável(総回収可能糖量)の略。
2024/25年度の砂糖生産量および輸出量は大幅に減少する見込み
2024/25年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、主産地での競合作物への転作などから524万ヘクタール(前年度比5.4%減)とやや減少が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、干ばつと一部地域で発生した赤腐病(red rot)(注)の影響により、3億8985万トン(同12.1%減)とかなり大きく減少が見込まれている。
砂糖生産量は、サトウキビの減産とエタノールへの転用により、2813万トン(同18.9%減)と大幅に減少し、17/18年度以降最低となることが見込まれている。現地報道によると、インドではこれまでガソリンへのエタノール20%の混合(E20)を30年までに達成する目標が掲げられてきたが、目標より5年早くE20を達成したことが報じられた。砂糖輸出量は、砂糖の減産や輸出制限の継続により、358万トン(同18.3%減)と2年連続で大幅な減少が見込まれている。同国政府は25年1月、国内余剰在庫の解消などを目的に100万トンの砂糖輸出を許可したが、現地報道によると、7月中旬までに100万トンの輸出割当量のうち、約70万トンがアフリカやアジア地域に輸出された。
(注)真菌の感染によって引き起こされ、茎の内部の腐敗や褐変により、サトウキビの単収や砂糖の回収率に深刻な影響を及ぼすとされる。
2024/25年度の砂糖輸入量は大幅な減少見込み
2024/25年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、118万ヘクタール(前年度比7.8%増)とかなりの程度増加が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、主産地である広西チワン族自治区の高温干ばつ傾向により、7354万トン(同0.6%増)とわずかな増加が見込まれている。
てん菜の収穫面積は、生産者が需要や価格の優位性により、大豆やトウモロコシなどの競合作物から転換したことで、22万ヘクタール(同29.3%増)と大幅な増加が見込まれている。てん菜生産量は、収穫面積の増加と良好な生育状況により、1346万トン(同43.5%増)と大幅な増加が見込まれている。
砂糖生産量は、てん菜の増産を背景に1207万トン(同12.0%増)とかなり大きな増加が見込まれている。砂糖輸入量は、引き続き国内の需給ギャップを埋めるために一定の輸入が予想されているものの、国内の生産見通しが改善していることから、604万トン(同19.2%減)と大幅な減少が見込まれている。
2024/25年度の砂糖生産量はかなりの程度増加、輸入量は大幅な減少見込み
2024/25年度(10月〜翌9月)のてん菜収穫面積は、播種期間中にEUの砂糖価格が記録的な高水準となったことにより、生産量上位国であるドイツ、フランス、ポーランドを中心に各国で増加が見込まれることから、157万ヘクタール(前年度比8.4%増)とかなりの程度増加が見込まれている(表)。てん菜生産量は、作付面積の増加と収穫後期の好天により、1億1646万トン(同6.0%増)とかなりの程度増加が見込まれている。
砂糖生産量は、てん菜の増産を背景に1731万トン(同6.1%増)とかなりの程度増加が見込まれている。砂糖輸入量は、域内での増産とウクライナからの砂糖輸入に制限が設けられる見込みであることなどから、126万トン(同42.0%減)と大幅な減少が見込まれている。