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〜砂糖などの甘味料を例に〜―前編―

食品表示の今後の新たな役割
〜砂糖などの甘味料を例に〜―前編―

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最終更新日:2026年5月12日

食品表示の今後の新たな役割
〜砂糖などの甘味料を例に〜―前編―

2026年5月

一般財団法人 消費科学センター 代表理事
(公立大学法人 宮城大学 名誉教授)
池戸 重信

【要約】

 本稿は、食品表示法施行から10年を契機に、食品表示の役割を再検討するものである。

 食品表示は、単なる商品情報ではなく、食の安全性を確保し、消費者が自主的・合理的な選択を行うための重要な指標の一つであり、健全な食生活の実現に資するものである。また、消費者基本法や食料・農業・農村基本法とも密接に関係し、特に後者では、消費者が環境や持続可能性を考慮し食品を選択する役割が示されている。

 しかし現状は、食品の小型化や情報量の増加により、消費者にはわかりにくいとの声もある。このため、近年はデジタルツールの活用を含め、「表示」から「情報」への転換が議論されている。食品表示の理解には、その本質である1)視認性、2)表示ルールの理解、そして、3)関連情報の理解−が重要である。前編では、特に消費者の関心が高い関連情報について、砂糖などの甘味料を例に述べる。

はじめに 食品表示の役割

 食品表示法(平成25年法律第70号)は、2015年4月1日から施行されて昨年(2025年)で丸10年が経った。同法は、それまでの食品衛生法、日本農林規格等に関する法律(JAS法)、健康増進法の食品表示に関する部分を一元化したものであるが、第1条(目的)において、食品表示は、「食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し重要な役割を果たしていること」が明記されている。また、同法は、消費者の権利の尊重およびその自立の支援により健全な生活環境の確保を図るという消費者基本法の基本理念と密接に関連している。すなわち、食品表示から得られる情報を活用することで「健全な食生活」につなげるとともに、消費者と食品の提供事業者との信頼の絆を築く上で重要な位置付けにある。

 一方、2024年6月の食料・農業・農村基本法の改正により、1999年の制定から四半世紀ぶりに、新たな基本理念として「食料安全保障の確保」が条文に規定された。

 また、同法には消費者の役割が規定されるとともに、食料消費の改善などに資するため、国が「健全な食生活に関する指針」を策定することが規定されている。

 食品表示は、同法に基づくこれらの施策にも大きく関与するものである。

 そのため、食品表示は、本来「分かりやすい」ものでなければならない。しかし、現実は、単身や二人世帯の増加に伴い食品の小型化および表示可能面積の縮小化が進展していることなどにより、事業者が適正な運用に苦労する一方で、消費者にとっても、1)文字が小さく、情報量が多すぎること、2)底面に記されていること−などにより「分かりづらい」状況になっている。このことは、食品表示法制定に先立って設置された「食品表示一元化検討会」(2011年9月〜12年8月に計12回開催)以降、15年以上にわたっての課題とされ、検討が続けられてきた(図1)。



 

 ところで、食品表示に関する実質的なルールは、食品表示法に基づく食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)で規定されているが、同基準が制定されて10年が経過した現在、消費者ニーズの変化や製品開発の進展などに伴い、流通する加工食品が多様化するとともに、食材・食品流通のボーダレス化の進展により、規格・基準の国際整合の議論が進められている。

 こうした状況を踏まえ、今後の食品表示が目指していく方向性について、中長期的な羅針盤となるような食品表示制度の大枠の議論を行うことを目的として、23年10月、消費者庁に食品表示懇談会が設置された。

 同懇談会における検討課題として、「合理的でシンプルかつ分かりやすい食品表示制度の在り方」があり、食品表示へのデジタルツールの活用について、国際基準(コーデックス規格)との整合性も踏まえながら検討することを目的として、24年10月に「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」を設置し検討された結果、その取りまとめが25年12月の食品表示懇談会に報告された。

 このデジタルツールの活用については、コーデックス食品表示部会においてもガイドラインが策定されたように、情報提供の国際的な方向性を示すものである。

 また、25年に公表された第5期消費者基本計画および新たな食料・農業・農村基本計画においても、「デジタル技術の飛躍」や「持続的可能性に配慮した消費者への啓発」、「大人の食育」などの柱が示されており、デジタルツールの活用という新たな食品表示制度への移行は、これらの施策とリンクして展開されると思われる。

 いずれにしても、「表示」から「情報」への視点の転換が求められているこの機会に、改めて情報伝達ツールとしての「表示」の本来の役割や、「表示」も含めた情報提供の今後のあり方について考えてみることは意義があると思われる。

1 食品表示制度に係る課題

 2024年6月に食料・農業・農村基本法が改正され、既述したように基本理念として「食料安全保障の確保」が追加された(図2)。「食料安全保障」は「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」と規定されている(第2条第1項)。

 具体的には、「食料安全保障」の確保のために、国内の農業生産の増大、安定的な輸入・備蓄、農業生産の基盤など食料の供給能力の確保などの食料施策を展開することとなっている。

 改正食料・農業・農村基本法においては、こうした国および地方公共団体の責務などとともに、消費者の役割として、「食料、農業及び農村に関する理解を深める」というこれまでの条文に、「食料の消費に際し、環境への負荷の低減に資する物その他の食料の持続的な供給に資する物の選択に努めることによって、食料の持続的な供給に寄与」するという新たな規定が加わった。

 すなわち、消費者に対し、食料、農業、農村に関する理解を深めるとともに、環境負荷低減に資する物などの食料の持続的な供給に資する物の選択に努めることで、消費生活の向上に積極的な役割を果たすことが求められている。

 当然ではあるが、消費者がこうした役割を的確に果たすためには、関連の知識と理解を深めることが必要で、そのため同法において、国が「食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資するため、健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及及び情報の提供」(第18条第2項)など必要な施策を講ずることが規定されている。

 ここで言う「消費に関する情報」には食品表示も含まれるが、後述するデジタルツールも活用方法によっては「知識の普及」にも寄与するものと判断される。
 
1

2 健全な食生活の実現と食品表示の役割

 前記のように、食料消費の改善(健全な食生活の実現)などのため、食料・農業・農村基本法においては、1)健全な食生活に関する指針の策定、2)食料の消費に関する知識の普及および3)情報の提供−を必要な施策の柱と規定している。この規定に基づき2000年3月、当時の文部省、厚生省および農林水産省が連携してわが国における「食生活指針」が策定され、「食生活指針の推進について」が閣議決定されて同指針の国民への理解と実践を促進するとともに、政府として一定の事項について重点的な推進を図ることとされた。

 なお、1)の食生活指針は、国際的にも、先進国、発展途上国を問わず、その国の健康政策や食料政策などにおいて重要な位置付けのものとして策定され、普及・定着に努められてきている。そのスタイル、書きぶりに関して共通して言えることは、消費者が実践するためのものであることから、

 ◆簡潔で、覚えやすく、わかりやすい表現
 ◆科学的根拠に基づく
 ◆項目数も数項目〜10項目

となっている。

 また、国際的コンセンサスとして、FAO/WHO合同専門家会議報告(1996)において、

 ◆栄養素ベースから食物ベースで表現
 ◆主要な国家政策(例:保健、農業、教育、環境)を特定し、それらを適切に反映
 ◆社会経済的な実現性や文化的適切さを確認し、食に関するポジティブな姿勢、
  食生活の楽しさに配慮すること

が示されている。

 日本の食生活指針には、従来、農林水産省版と厚生省版の二つが存在した。前者は、1980年の農政審議会の答申を受け、83年に任意の組織である「食生活懇談会」から「私達の望ましい食生活−日本型食生活のあり方を求めて」と題して提言されたものであり、後者は、厚生省が85年に「健康づくりのための食生活指針」として示したものである。

 その後、わが国における食生活においては、健康・栄養についての適正な情報の不足、食習慣の乱れ、食料の海外依存、食べ残しや食品の廃棄の増加などにより、栄養バランスの偏り、生活習慣病の増加、食料自給率の低下、食料資源の浪費などの問題が生じてきた。

 こうした状況を踏まえ、食料・農業・農村基本法に基づき新たな一本化された食生活指針が策定され、かつ、その推進につき閣議決定されたことは意義あるものと言える。

 なお、同指針は2016年6月に一部改定され、現在は図3のようになっている。これによると、同基本法に基づく「健全な食生活に関する指針」の「健全な」とは、「健康・栄養」に特化しているものではなく、次に示すように、より広範囲なカテゴリーとなっている。
 



 例えば、「1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを」は「食習慣」に、「食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を」は「環境」に、「日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を」は「食文化」に、「家庭や学校、地域で、食品の安全性を含めた「食」に関する知識や理解を深め、望ましい習慣を身につけましょう」は「安全」に関する内容となっている。

 一方、消費者の食生活に必要な食料は、食料自給率に密接に関係する。すなわち、重量ベースの品目別食料自給率は、分子を国内生産量、分母を国内消費仕向量(1年間で国内市場に出回った食料の量)として計算されることから、理想的な分母は、健全な食生活に基づく量として計算されることが望まれる。

 また、食品表示については、「栄養」(栄養成分表示)はもとより、「環境」や「安全」(期限表示)、「食文化」(地理的表示、原料原産地表示)など、当該指針の理解や実践に関して重要な役割を担っている。
 

食生活指針に係る閣議決定の内容について

 図3の10項目の食生活指針のフレーズは、個々の消費者の食生活において実践されることで効果を発揮するものであるが、そのために次の各分野における取り組みの推進について閣議決定がなされている。

 (1) 食生活改善分野における推進
 生活習慣病の増加や食生活の多様化が進む現状を踏まえ、健康づくりや生活の質の向上のために、国民一人一人が食生活の改善に取組を総合的に推進する。

 ア 適正な栄養・食生活に関する知識の普及
 イ 健康で主体的な食習慣の形成を目指した働きかけ
 ウ 地域や、各ライフステージの特徴に応じた栄養教育の展開
 エ 栄養成分表示の普及をはじめとした食環境の整備

 (2) 教育分野における推進
 国民一人一人とりわけ成長過程にある子どもたちが食生活の正しい理解と望ましい習慣を身につけられるよう、教員、学校栄養職員などを中心に家庭とも連携し、学校の教育活動を通じて発達段階に応じた食生活に関する指導を推進する。

 (3) 食品産業分野における推進
  国民生活の変化などを背景とした食の外部化が進展しており、食品産業が国民の食生活に果たす役割が増大していることから、消費者の適切な選択に資するため、食品産業関係者を中心とする次の取組を総合的に推進する。

 ア 地域の産物、旬の素材を利用した料理や食品の提供
 イ 減塩、低脂肪の料理や食品の提供
 ウ 容器などを工夫して量の選択ができるような料理や食品の提供
 エ エネルギー、栄養素などの情報の提供
 オ 様々な人達が楽しく安心して交流できる場づくりや体験・見学などの機会の提供の推進

 (4) 農林漁業分野における推進
 消費者や実需者のニーズに即した食料供給を一層推進するとともに、消費者の食及び農林漁業に対する理解を深めるため、農林漁業の体験や見学などの場の提供に関して農林漁業関係者を中心とする取組を総合的に推進する。

 これらの各分野において、情報提供ツールとしての食品表示が重要な役割を果たしていることはいうまでもない。

 なお、閣議決定文には、食生活指針などの普及・定着および消費者の食生活改善への取り組みを促すため、民間団体などの自主的な活動とも連携して、国民的な運動を展開することが示されている。

 また、これらの推進方針は、2005年6月に制定された「食育基本法」における七つの基本理念の規定などに引き継がれているとともに、12年8月に制定された「消費者教育の推進に関する法律(消費者教育推進法)」の「消費者教育は、消費生活に関する知識を修得し、これを適切な行動に結び付けることができる実践的な能力が育まれることを旨とする」という基本理念にも密接に連動するものである(後編で説明)。
 

3 食品表示の本質

 前記のように、食品表示は、単に消費する「食品」に関する情報の伝達媒体だけではなく、その本質は、消費者の「健全な食生活の実現」に向けて重要な役割を担っているものであり、また、わが国の食料・農業・農村に関する政策にも密接に関連している。

 「指月(し げつ)の譬(たとえ)」(「月」を知らない者に「指」で示して教える場合、教えられた者が「指」にばかり注目し、その指が指し示す「月」(本質)を見失うことがないようにという戒め)に例えれば、消費者にとって「健全な食生活」が「月」で、「食品表示」はあくまでも「指」であるが、こうした位置付けの食品表示だからこそ、当然のことながら、「分かりやすい」ことが求められる。

  「分かりやすい」表示に一義的に求められるものは、

 (1)文字の大きさやコントラスト、情報量などが適切で、「見やすく」、「瞬間的に理解できる」という高い「視認性」を有すること

 (2)食品表示に関する「ルール」およびそれに使用される「用語」の意味などについて正しく理解できるようになっていること

が求められるが、併せて

 (3)対象食品に関する「特性」や「食生活との関わり」、特に食料自給率、わが国における生産・製造など分野(農業、食品産業など)の取り組み状況といった「関連情報」についても、正しく理解できるようになっていること

である。

  特に(3)の「関連情報」の正しい理解については、食品表示そのものからは読み取りにくいものの、消費者の関心は非常に高い。従って、教育や普及・啓発の機会を通じて理解を深めることが重要である。(1)および(2)に加えて(3)を一体的に実現することで、食品表示の役割と目的をより的確に理解できるようになる。

  上記のことにつき、次項では、歴史的にも長い食経験を有し、日常の食生活において必要不可欠な食材である砂糖をはじめとする甘味料を例に、以下の「関連情報」について具体的に体的に解説する。

 ◆甘味料のうち砂糖の改正食料・農業・農村基本法における位置付け
 ◆甘味料のうち砂糖をめぐる歴史的背景
 ◆甘味料の種類・用途・国内需給動向および原料輸入元国など

 このことで、食品表示を含めた消費生活に必要な知識と理解を一層深めることを期待するものである。

4 甘味料に関する関連情報

(1)改正食料・農業・農村基本法における砂糖の位置付け

 2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法において、国民一人一人の「食料安全保障」を柱として位置付けているが、甘味料のうち砂糖に関しては、同法に基づく基本計画において

 ア 国民の摂取カロリーの約8%を占める重要な品目であり、食料自給率にも大きく貢献しており、その安定供給の確保が重要となっている(図4)

 イ そのためには、国内の甘味資源作物生産や国内産糖製造事業者を支えていくことが重要であり、国内の甘味資源作物生産の状況や砂糖をめぐる国内外の情勢を踏まえ、引き続き、持続可能な制度のあり方の検討を行っていくこと

が示されている。
 
2

(2)砂糖をめぐる歴史的背景

 わが国では、食品に使用される甘味料として、代表的な砂糖のほか異性化糖、加糖調製品、高甘味度甘味料がある(図5)。

 砂糖は、わが国の需要量(消費量)の中で最も多く、最も古くから世界で食されていた。紀元400〜500年には中国(唐)で製造が始まり、日本には8世紀の奈良時代に唐から伝わったとされている。17世紀後半には西日本を中心に砂糖の製造が始まり、明治維新後には北海道にてん菜糖工場が建設されて本格的な生産が開始されている。砂糖は主にサトウキビやてん菜から作られる。国内では、サトウキビは沖縄県、鹿児島県の南西諸島の台風常襲地帯で代替性の利かない基幹作物として栽培され、海外からは豪州、タイなどから精製糖工場への原料糖として輸入されている(図6、7)。また、てん菜は、北海道畑作地帯の輪作作物の一つとして栽培されている。国内のサトウキビやてん菜の生産、国内産糖製造事業の維持は、農業振興や地域振興のみならず、食料安全保障、国家防衛や離島振興という面からも非常に重要であることから、砂糖の価格安定と安定供給の確保のため、糖価調整法(砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律)が設けられている。

(3)甘味料の種類・用途・国内需給動向および原料輸入先国など

 砂糖は、単糖であるブドウ糖と果糖が一つずつ分子レベルで結合したショ糖を主成分とした甘味料であり、化学合成により製造されるものではなく、上述のように自然由来の炭水化物(サトウキビ、てん菜)から精製されたものである。

 用途としては、菓子類が3割、清涼飲料水が2割で、そのほかパン類、家庭用などとなっている。









 

 わが国の甘味料の需要量の中で二番目に多い「異性化糖」は、ブドウ糖と果糖が混合した液状のもので、甘さ(甘味度)は温度帯によって異なるものの、砂糖とほぼ同等である。日本では、主に海外から輸入したとうもろこしを原料とするでん粉(コーンスターチ)から製造しているが(図8)、一部、国内産のかんしょやばれいしょを原料としたでん紛を用いての製造もある。かんしょは南九州の台風常襲地帯で他の作物に不向きなシラス台地における代替性の利かない基幹作物として、ばれいしょは北海道畑作地帯の輪作体系を維持する重要な作物として栽培されている。

 また、異性化糖は、特殊な用途向けに少量輸入されている。

 用途先としては、清涼飲料が5割を占め、そのほか酒類、調味料、乳製品など幅広く利用されており、ほとんどが砂糖の用途と重なり合っている。
 
3
 甘味の消費量の三番目である「加糖調製品」は、砂糖にココアやミルク、あんこなど他の食品素材を混合した食品加工用原料のことを指すが、主にソルビトール調製品、ミルク調製品、加糖あん、ココア調製品などがある(図9)。

 わが国で使用される加糖調製品は、タイ、韓国、シンガポール、中国など海外から輸入されている(図10〜13)。

 主な用途は、菓子類、清涼飲料、パン類など砂糖を含む製品の原料向けである。

 なお、加糖調製品の中で最も輸入量の多いソルビトール調製品は、糖アルコールであるソルビトール(食品添加物)と砂糖を混合したもので、幅広い用途に使用されている。配合率(混合率)は、関税上の分類においてショ糖含有率が50%以上85%未満を維持できるぎりぎりの水準で調製されており、低い関税率が適用されている。
 











 
4
 「高甘味度甘味料」については、これまで取り上げた砂糖、異性化糖、加糖調製品などの糖質系甘味料(炭水化物〈糖質〉に由来し、一般にエネルギー〈カロリー〉を有する甘味料の総称)とは異なる非糖質系甘味料(糖質を主成分とせず、一般に低カロリーまたはゼロカロリーで強い甘味を有する甘味料の総称)である。以前は「人工甘味料」、「合成甘味料」と呼ばれていたが、「人工的に加工されたものは有害で、自然由来のものは安全」という誤った認識を消費者に与えやすいということから、食品表示基準の改正により、現在は「人工」や「合成」を冠した食品表示はされていない。

 高甘味度甘味料は、砂糖よりもはるかに少ない使用量で強い甘さを感じられる甘味料の総称で、さまざまな種類があり、その製造工程もそれぞれ異なるが、一部の天然由来のものを除いて化学合成により製造されている。いずれも砂糖の数百倍の甘さ(甘味度)を持つ。代表的なものとして、アセスルファムカリウム(甘味度は砂糖の約200倍)、アスパルテーム(同約200倍)、スクラロース(同約600倍)などがある。わが国で使用されるそのほとんどが、主として中国から輸入されている(図14〜16)。

 用途としては、ゼロカロリーか、甘味度が非常に高いため、使用量が少なくなることから、低カロリー甘味料として、清涼飲料、氷菓、キャンディ、チューインガムなどに使用されている。






 
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 以上の(1)〜(3)が、砂糖をはじめとする甘味料に関連する情報である。

 今後の食品表示は、単に法令のルールに基づくだけではなく、消費者には関連情報への理解を促す「情報基盤」として再設計される必要があり、そのためには、デジタル技術の活用と消費者教育の一体的な推進が不可欠と考えられる。

 なお「後編」では、引き続き事例として、甘味料に関する現時点での食品表示ルールを説明するとともに、「分かりやすい食品表示」のための方策として、現在、国際整合性のもとで検討されているデジタルツールの活用の方向性を示すこととする。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8678