最終更新日:2025年12月5日
広報webマガジン「alic」2025年12月号
| 機構が事務局を務める野菜需給情報等交換会が去る10月3日に開催されました。当日の議論概要について、以下ご紹介します。 |
1.ブロッコリーの指定野菜追加、令和8年度予算概算要求額について
農林水産省から、近年、ブロッコリーの出荷量が増加傾向にあることを踏まえ、国民への安定供給の確保に向けて計画的な生産・出荷を確実に進めるために、ブロッコリーが令和8年度から指定野菜に追加されることとなったことや、指定野菜価格安定対策事業におけるブロッコリーの手続などの今後のスケジュールについての説明がありました。
2.令和7年度における緊急需給調整事業の実施について
当機構から、令和7年の指定野菜の卸売価格について説明しました。3月まで多くの品目で高値が続きましたが、5月以降は残量が多く後続産地との出荷が重なったことから価格が下落しました。夏場は特に果菜類が猛暑の影響で出荷数量が伸びず、品薄感から価格は高騰しました。
令和7年度は、レタス、はくさいで緊急需給調整事業を実施しました(令和7年9月末時点)。レタスは、4月から夏場にかけて生育が順調であったこと、はくさいは、4月以降、適度な温度と降雨により生育が進み、春作が増量したことなどから価格が下落し、市場隔離、産地調整を実施しました。
また、フードバンクなどを通じて、産地調整の対象となった野菜を子ども食堂、児童福祉施設、パントリー活動団体へ無償提供する取組を支援しました。
資料:農林水産省「青果物卸売市場調査」
3.需給に係る各業界の動向についての意見交換
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生産者団体から、秋冬野菜の出荷計画の概要についての説明がありました。夏の高温や干ばつの影響により発芽不良や生育停滞が見られたため、多くの品目において、必要入荷量に対して出荷計画量が少ない状態との報告がありました。
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スーパーマーケットなどの小売団体から、野菜動向は、高温、干ばつの影響により一部高値の品目もあるが、現在は全体的に落ち着いており、販売数量は底堅く推移していること、食品全体に関しては、客単価や客数は下落している一方で、仕入れ値、物流費、人件費などが高騰している状況で、競争が厳しいため小売価格に全額は転嫁できていない状況との報告がありました。物流に関しては、研究会を発足させて課題解決に向けた協議を行っていると情報共有がありました。
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流通団体から、8〜10月にかけての状況の報告がありました。7月以降は、高温、干ばつの影響により野菜価格が高値基調で推移し、8月中旬以降は、猛暑の影響が顕在化し、相場の上昇が目立ちました。8月後半は、高温、干ばつの影響により北海道のばれいしょ、たまねぎは、小玉傾向、降雨による収穫遅れなどにより入荷が少なく、9月に入るとたまねぎは今年一番の高値となり、輸入量は、前年の倍近い量となりました。野菜全般の10月の出荷量は、平年並み若しくは少ないと予想していると説明がありました。
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惣菜などを扱う食品団体からは、商品を少なくとも4、5カ月は同じ価格で販売しており、大幅に価格が変動しても小売価格に反映できずに売り損をするため、国産を推進するに当たり、日本全国年間を通して安定供給ができるような体制があれば国産野菜を扱いやすくなるという意見がありました。
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青果物の流通・加工に関わる団体からは、夏の高温でたまねぎが大幅な減収となったため、むき玉ねぎを扱うにあたり、国産のサイズが小さく対応しきれないとの報告がありました。これに対し、農林水産省からは、輸入品に頼らざるを得ない状況になっているが、主要な野菜の各産地では供給力を上げるために、高温耐性のある品種に変えたり、栽培体系をずらすなどの取組をしているという情報共有がありました。
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座長代理から、野菜の安定供給について、必要入荷量に対する入荷量が1割減少すると価格にかなり大きな影響を与えることや、収穫予想システムを用いた情報共有と行動調整が安定供給するうえで大切になってくるという意見がありました。これに対し、生産者団体からは必要入荷量と出荷計画量の開きが大きいことに対して課題感を持っており、地域に合った品目の選定などを行い産地リレーをつなげる体制を作っていること、高温耐性の品種の試験を進めていること、一時保管が可能な物流拠点を持ちながら産地と連携し、相場の乱高下を抑える仕組みづくりに取組んでいることの情報共有がありました。
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4.加工・業務用野菜のシェアが増加する中での各業界の課題・工夫についての意見交換
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ZEROCO(株)から、温度約0度・湿度100%弱の環境下で食品の温度を安定的に保つことで、生鮮食品の長期間保存や、冷凍変性を防ぐことができるZEROCOの概要について紹介がありました。
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野菜の小売り専門業者加盟団体から、たまねぎが小玉となる中で、苦労しながらも何らかの形で調達し、納めている状況との報告がありました。できる限り国産のものを使いたいので来年に向けて、高温対策などを行い、国産品の供給をお願いしたいとの意見がありました。
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消費者団体からは、野菜価格の変動に振り回されていると感じており、業界全体として安定供給、安定価格を目指してもらいたいとの意見がありました。ブロッコリーの指定野菜化については、消費者として、規格がより厳格となり、規格外品や訳あり品が手に入らなくなるのではと心配に思う部分もあるとの意見がありました。
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食育団体から、国民健康・栄養調査において国民平均の野菜摂取量が国の目標に100gくらい達していないが、達成できない背景には、消費者が野菜を買い控えしてしまうことがあり、安定供給をしていくことが国民全体の健康に関わってくるということを痛感したとの発言がありました。 |
<会議の様子>
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 総務部 (担当:総務広報課)
Tel:03-3583-8196