ホーム > 砂糖・でん粉の生産地から > 地方事務所だより > 令和元年度第1回さとうきび種苗対策連絡会議の開催について

令和元年度第1回さとうきび種苗対策連絡会議の開催について

印刷ページ

最終更新日:2019年11月1日

那覇事務所 佐藤 哲史

はじめに

 9月12日〜13日、沖縄県久米島町において、令和元年度第1回さとうきび種苗対策連絡会議(主催:沖縄総合事務局農林水産部生産振興課)が開催された。
 本会議は、沖縄県内におけるさとうきび原原種苗の生産・配布計画や需給見通しなどについて、関係機関が情報共有・交換を図ることを目的に毎年開催されている。
 今回は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構種苗管理センター沖縄農場(以下「種苗管理センター」という)や沖縄県農林水産部糖業農産課(以下「沖縄県糖業農産課」という)をはじめとし、久米島町、久米島製糖株式会社などが出席し、2日間にわたってさとうきび種苗対策連絡会議と現地視察を行った。

1.さとうきび種苗対策連絡会議(1日目)

 沖縄県では、病害の防止や品種の普及推進を図るため、県内各地に無病健全な種苗を配布している。具体的には、県が各市町村などからの要望に基づき種苗管理センターで育成された種苗(原原種苗)を県の設置する原種ほで増殖し、採苗ほ用の苗として市町村などに配布する。配布を受けた市町村などは、採苗ほを設置し、さらに増殖したうえで植付用の苗として生産者に配布しており、要望から3年後に生産者に届く体制となっている。
 久米島町役場で開催されたさとうきび種苗対策連絡会議では、初めに、種苗管理センターと沖縄県糖業農産課から、令和元年度夏植用さとうきび原原種苗の各市町村などからの要望数量や配布計画数量、併せて今後5年間の需給見通しなどについて報告があった。
 令和元年度夏植用さとうきびの原原種苗は、県内の33市町村などからの要望に基づき県内各地に設置された原種ほに14品種約85万本の植え付けを進めている。また、今後5年間の需給見通しでは、現在のところ、要望数量を確保できる予定としている。
 報告後の意見交換では、今夏、県内で発生した黒穂病について、株出しをせず新植することが対策のひとつとされるが、黒穂病に感染したさとうきびから苗をとって新植しても改善しないため、配布される無病健全な原原種苗から増殖した植付用の苗を使うことが有効であるとの意見があった。
 また、種苗の配布は、各市町村などの要望から生産者に届くまでに3年ほどかかるが、生産者や地域のニーズの変化に応じられるよう、生産現場に近いJA、製糖会社、要望をとりまとめる各市町村、沖縄県糖業農産課などの関係機関が緊密な連携を図り、対応していくよう再確認が行われた。
会議での意見交換
会議での意見交換

2.現地視察(2日目)

 現地視察では、久米島町内の平成31年度に春植えを行った原種ほや生産者に配布するための種苗を増殖している採苗ほをまわり、生育状況などを確認した。また、生産者が植付機を使用して配布された苗を植付けている様子なども見てまわった。
 久米島町内には平成31年度春植原種ほが100アール設置されており、6品種3万本の原原種苗を植え付けている。品種の内訳としては、2016年に沖縄県の奨励品種に登録されたRK97-14が9,000本と最も多く、次いで、Ni21とNi29が6,000本などとなっている。
 RK97-14は、生育初期から茎の伸びがよく太さもあるため多収で、早期高糖性も見込める品種として久米島町でも普及が検討されている。視察した原種ほや採苗ほでは、品種ごとに区画を分けて植え付けており、RK97-14は伸長性の良さがわかる生育状況であった。
久米島町内に設置された採苗ほ
久米島町内に設置された採苗ほ
全茎式側方プランタによる植付作業
全茎式側方プランタによる植付作業

おわりに

 さとうきびは、品種によってそれぞれ特性があり、生産体系や環境要因などにより地域によって求められるものはさまざまであるため、今後も本会議の検討を踏まえて、地域から要望される品種の適正な配布が安定した生産量を確保するうえで重要になるだろう。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:那覇事務所)
Tel:098-866-1033