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米国における飼料穀物および高タンパク飼料原料の需給動向(1)

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 米国のトウモロコシ生産量は世界全体の生産量の約3〜4割を占める。また、大豆についても世界の約3割を占める世界最大の穀物生産国であり、世界の穀物需給動向に大きな影響力がある。
 今回は、8月24日、25日にミネソタ州ミネアポリスで開催された農業調査会社大手のインフォーマ・エコノミクス社主催の会議内容と併せて、穀物関連会社からの聞き取りと現地調査の結果を基に、トウモロコシおよび大豆、その他の高タンパク飼料原料の需給動向と2015/16穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシおよび大豆の生育状況について、3回に分けて報告する。

作付動向

  • 2015/16年度の作付面積は、大豆は前年度の収益性がトウモロコシを上回ったことから前年度比0.7%増加する一方で、トウモロコシは同1.9%減少した(表1)。 
  • 2014年に中国からの需要が強まったソルガムについては、前年度比22.5%増の870万エーカー(348万ヘクタール)となった。
トウモロコシ表1

トウモロコシ

需給動向

  •  インフォーマ・エコノミクス社は、飼料用輸出トウモロコシ需要のソルガムへの代替が進んだことや、安価なブラジル産トウモロコシとの競合により、米国のトウモロコシ輸出量が、米国農務省(USDA)の予測値をわずかに下回る18億2500万ブッシェルと見込んでいる(表2)。
  • 米国以外の輸出国の輸出量は、豊作を背景としたブラジル産の増加などにより増加が見込まれることから、米国産の世界の輸出に占めるシェアは38%になるとみられる。
トウモロコシ表2

生育状況

(1)作付期〜受粉期までの経過

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が毎週公表している「Crop Progress」によると、2015/16年度の作付けは、天候に恵まれ豊作となった前年度のペースを上回って進行した(図1)。一方で、作付面積は、前年をわずかに下回る8890万エーカー(3556万ヘクタール、前年度比1.9%減)となった。
トウモロコシ図1
 作付けがほぼ終了した6月以降、ミズーリ州などで記録的な降雨に見舞われたことから、「Crop Progress」におけるトウモロコシの生育状況は「非常に良い」または「良い」の割合が前年を下回って推移した(図2)。このように、トウモロコシにとって最重要とされる7月の受粉期に向けて生育への影響が懸念されたことから、シカゴ先物市場のトウモロコシ先物価格は、6月下旬以降上昇を始め、7月上旬にはおよそ半年ぶりとなる1ブッシェル当たり4米ドル台に上昇した。
トウモロコシ図2
(2)現在の生育状況

 8月30日時点の「非常に良い」または「良い」の割合の合計は、トウモロコシの主要生産18州平均で68%と、記録的な豊作となった前年同期から6ポイント低下した(表3)。図3に示したとおり今年の作況は、コーンベルトの東部と西部で大きく異なっている。生育期間中に適度な降雨に恵まれたアイオワ州やネブラスカ州などの西部の生育は良好で、「非常に良い」または「良い」の割合は、アイオワ州で前年同期比5ポイント増、ネブラスカ州で同6ポイント増と前年を上回って推移しており、前年と同様に高単収、高生産量が期待されている。一方、過度の降雨に見舞われたとされるイリノイ州やミズーリ州などの東部では、「非常に良い」または「良い」の割合が前年同期を大幅に下回っている。このことから、2015/16年度の生産量は、東部における減収が全体の足を引っ張る可能性があるとされる。
トウモロコシ表3
 8月28日に現地調査を実施したアイオワ州デモイン近郊のほ場では、トウモロコシの大きさは40段×18列前後のものが中心であり、個体間のバラつきは少なかった印象である。現地穀物関係者の話でも、今年はアイオワ州、ネブラスカ州などで生育が良いということであった。40段×20列が豊作の目安とされる中にあって、今回の調査はUSDAの生産見通しに見合う結果となった。
写真1 アイオワ州デモイン西部(1)
写真1 アイオワ州デモイン西部(1)
写真2 アイオワ州デモイン西部(2)
写真2 アイオワ州デモイン西部(2)
写真3 アイオワ州デモイン西部(3)
写真3 アイオワ州デモイン西部(3)
 また、ネブラスカ州オマハ近郊で行った調査では、トウモロコシの大きさは36〜38段×14〜18列であり、ややバラつきがあったように思えた。調査ほ場は前日から降り続いた雨によりぬかるんでいたが、普段から水はけの悪いほ場とみられ、これが生育にバラつきが出た原因と考えられる。
写真4 ネブラスカ州オマハ近郊(1)
写真4 ネブラスカ州オマハ近郊(1)
写真5 ネブラスカ州オマハ近郊(2)
写真5 ネブラスカ州オマハ近郊(2)
写真6 ネブラスカ州オマハ近郊(3)
写真6 ネブラスカ州オマハ近郊(3)
(3)生産量の見通し

 前述のとおり、インフォーマ・エコノミクス社は、今回開催した会議で単収見込みについて、1エーカー当たり168.8ブッシェルと発表しており、市場関係者の間では降雨過多を理由に単収が同160ブッシェルを切るかどうかを争点に予想されていた中で、関係者の予想を大きく上回るものであった。
 なお、USDAが9月11日に公表した「World Agriculture Supply and Demand Estimates(WASDE)」によれば、2015/16年度のトウモロコシの平均単収は、1エーカー当たり167.5ブッシェルと、8月12日公表の予測値であった同168.8ブッシェルから下方修正されたが、依然として前年度に次いで過去2番目に多い単収が見込まれている(図4)。
トウモロコシ図4
 2015/16年度のトウモロコシ生産量については、作付面積が減少しているものの、高単収が下支えして前年度比3.7%減の135億8500万ブッシェル(3億4506万トン)と、3年連続の豊作が見込まれている。
 この結果、期末在庫は15億9200万ブッシェル(4044万トン)、在庫率(期末在庫/総消費量)は11.6%の高水準が見込まれている。
【渡邊 陽介 平成27年9月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397



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