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米国における飼料穀物および高タンパク飼料原料の需給動向(2)

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大豆

需給動向

  • 2014/15年度の大豆生産量は、好天に恵まれたことから前年度比18%増の39億6900万ブッシェル(1億800万トン)と大幅に増加した。2015/16年度も前年を下回るものの、豊作が見込まれている(図1)。 
  • 2015/16年度の大豆作付面積は、8430万エーカー(3372万ヘクタール)となった。今後も増加傾向で推移し、2020/21年度には8850万エーカー(3540万ヘクタール)が見込まれる。
大豆図1
  • 生産量は増加しているものの、南米産との競合により輸出量が減少していることから、大豆期末在庫量は高水準となる見込みであり、生産者販売価格はさらなる下落が見込まれる(図2)。
大豆図2
  • インフォーマ・エコノミクス社では、2014/15年度の国内大豆消費量について、豚を中心に飼料需要が増加していたことから、USDAの予測(18億4500万ブッシェル)よりも多い、18億6000万ブッシェル(5059万トン)を見込んでいる(表1)。
大豆表1
  •  2015/16年度新穀の輸出成約数量(8月6日時点)は、南米産の好調な輸出に押され、前年度の半分ほどに減少している(図3)。
大豆図3

生育状況

(1)作付期〜発芽期までの経過

 2015/16年度の大豆の作付進捗状況は、5月中旬まで平年を上回って推移していたものの、特にミズーリ州やカンザス州で降雨が続いたことによる進捗率の悪化により全米平均は引き下げられ、6月以降は平年値をわずかに下回った。また、発芽率についても同様の傾向となり、6月に入り平年を下回るようになった。特に、ミズーリ州などでは植付け時期の遅れから発芽期にも降雨の影響が長引き、7月12日時点の発芽率は平年比24ポイント低く、発芽は大幅に遅れていた(図4)。
大豆図4
(2)現在の生育状況

 大豆の着莢期は8月にピークを迎えるため、この時期は大豆の生産量を左右する最も大切な時期だと言われている。そこで、8月30日時点の生育状況を見ると、主要生産18州の「非常に良い」または「良い」の割合は63ポイントとなり、前年同期を9ポイント下回っている(表2)。州別には、ケンタッキー州(前年同期比14ポイント増)やミネソタ州(同11ポイント増)が豊作であった前年を大きく上回っているのに対し、ミズーリ州(同42ポイント減)やルイジアナ州(同32ポイント減)などでは、降雨により著しく下回っており、トウモロコシと同様にコーンベルト西部の生育が良く、東部が悪い傾向にある(図5)。ミズーリ州などでは、大豆の播種〜発芽時期に降雨に見舞われたことから、トウモロコシ以上に降雨の影響を受けたとみられる。
大豆表2
大豆図5
 8月28日に調査したアイオワ州デモイン近郊のほ場では、実入りの良いものが多く観察された。USDAの生育状況調査(8月30日現在)では、同州の生育状況は「非常に良い」または「良い」の割合が、前年同期よりも3ポイント高い76%となっており、今回の調査ではその順調な生育を確認することができた。
写真1 アイオワ州デモイン北部
写真1 アイオワ州デモイン北部
写真2 アイオワ州デモイン西部
写真2 アイオワ州デモイン西部
(3)生産量の見通し
 USDAが9月11日に示した見通しでは、2015/16年の大豆の単収は、1エーカー当たり47.1ブッシェル(1ヘクタール当たり3.2トン)とされており、これは前年度に次ぎ過去2番目に高い水準である。また、収穫面積は、前年度を上回る8350万エーカー(3340万ヘクタール)が見込まれ、生産量は39億3500万ブッシェル(1億703万トン)となる見通しであり、米国のインフォ―マ・エコノミクス社の予想とも大きく違わない。実際に生産量がこの予測値を達成することとなれば、前年度に次いで過去2番目に多い生産量となる。これにより、2015/16年度の期末在庫量は、前年度の約2倍の4500万ブッシェル(122万トン)となり、在庫率(期末在庫/総消費量)は12.1%と潤沢と言える水準に積み上がる見込みである。また、輸出で競合する南米も生産が好調であり、世界的にも供給量が豊富であることから、平均生産者販売価格は1ブッシェル当たり8.4〜9.9米ドル(1キログラム当たり38〜44円)で推移するものとみられている。
【渡邊 陽介 平成27年9月16日発】
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