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海外需給【飼料/中国】畜産の情報 2024年4月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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24年1月の国産トウモロコシ価格、需要増から高値安定での推移を予想
 中国農業農村部は2月18日、「農産物需給動向分析月報(2024年1月)」を公表した。この中で、24年1月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに上昇した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、供給面では2月の春節前の現金化を図るべく農家の出荷が増えたことで、市場供給量は潤沢であったとされている。一方、需要面では豚肉価格の低迷により飼料需要の落ち込みが続くことで、取引業者の購入量は限られるとされている。このため、需給は緩和傾向にあるが、生産地での適切な貯蔵管理や春節明けの加工企業の本格稼働などから需給が均衡に向かうことで、今後、価格は安定した推移が見込まれている。
 輸入トウモロコシ価格を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、24年1月が1キログラム当たり2.14元(45円:1元=21.18円(注1))となった。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.50元(53円)となったことで、輸入と国産との価格差は先月の同0.30元(6円)から同0.36元(8円)に広がった。
 

 
国産大豆価格、潤沢な供給により弱含みで推移と予想
 2024年1月の国産大豆価格は、前月からわずかに下落した(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面では春節を控えた中で主産地からの潤沢な供給が伝えられている。一方、需要面では春節を控えて川下の動きが引き続き緩慢な状況にあるとされている。このため、需給は緩和傾向にあり、また、主産地の在庫水準は高いながらも春節後の需要回復予想から、今後、価格は弱含みながらも安定した推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、24年1月が1キログラム当たり4.78元(101円、前年同月比12.3%安)と前年同月をかなり大きく下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.66元(120円、同6.6%安)とかなりの程度下回った。また、同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同4.76元(101円)となったことで、輸入と国産との価格差は先月の同0.86元(18円)から同0.90元(19円)に広がった。
 国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べて高い水準で推移している。24年(1〜12月)の輸入量は9940万トン(前年比11.4%増)、輸入額は同0.5%減の597億5500万米ドル(9兆630億円:1米ドル=151.67円(注1))と報告されている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年2月末TTS相場。
 

 
2024年中央1号文書を発表、農村の全面的振興を推進
 中国共産党中央委員会と中国国務院は2024年2月3日、「2024年中央1号文書」を発表した。この中央1号文書は、その年の最初に発出される最も重要な政策とされ、04年以降、21年連続して「三農(農業、農村、農民)」の問題に対処したものとなる。
 今年の中央1号文書では六つの項目(注2)が示されており、昨年に続き穀物や重要な農畜産物に焦点を当て、生産の安定と供給の確保を明確に指示している。
 今回の発表に際し中国国務院は、最初の項目である「国家の食糧安全保障の確保」に関し、「穀物の貯蔵」と「単収の向上」がカギとしている。中国全体を見ると、穀物需給は均衡とは言えない状況であることから、主産地での管理と消費地への輸送を確立させるための定温倉庫や流通の整備、優良種子の開発などを促すものとみられる。また、農民への穀物栽培を促すものとして、現行のトウモロコシや大豆栽培などに対する補助金の継続に加え、所得補償としての保険(トウモロコシや大豆生産など)の適用範囲の拡大など、包括的な取り組みを行うことが必要としている。
 
(注2)「国家の食糧安全保障の確保」「大規模な再貧困化発生防止の確保」「農村産業発展レベルの向上」「農村建設レベルの向上」「農村ガバナンスレベルの向上」「『三農』の取り組みに対する党の全面的指導の強化」。
 
(調査情報部 横田 徹)