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さつまいも、ばれいしょの輸入植物検疫

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最終更新日:2011年11月9日

さつまいも、ばれいしょの輸入植物検疫

2011年11月

農林水産省横浜植物防疫所業務部 部長 小野 仁

はじめに

 植物や農産物に有害な動植物(病害虫)は、植物の貿易や移動に伴って輸入先・移動先の新天地において、天敵がいない、気温や降水量などの環境条件が合う、有効な防除法の開発に時間がかかるなどの理由から、時に大発生し、深刻な農業生産への被害をもたらすことがあります。 こうした植物や農産物の病害虫のまん延や侵入を防止するため、世界各国は植物検疫を実施しています。

 本稿では、我が国で生食用、加工用とともにでん粉原料用に栽培されているさつまいも、ばれいしょについての輸入検疫体制、我が国が侵入を警戒している主要な病害虫について触れたいと思います。 

1.植物検疫の始まり

 世界で本格的な植物検疫が始められるきっかけとなったのは、アメリカからフランスへのブドウ害虫の侵入でした。

 1859年ころ、フランスがブドウの病害に抵抗性のある品種を育成するため、アメリカから多種類のブドウの苗を輸入した際にブドウフィロキセラという害虫も一緒に持ち込んでしまいました。フランスのブドウはこの害虫に抵抗性が弱かったため、壊滅的な被害を被りました。

 また、我が国では、貿易が活発となった明治以降、植物の輸出入に伴い、リンゴワタムシ、ヤノネカイガラムシといったこれまで未発生の害虫が侵入し、各地のリンゴやかんきつ類に被害を与えたほか、逆に我が国から輸出されたハナショウブに付着していたといわれるマメコガネがアメリカでダイズなどに大被害を与えた例が知られており、大正3年に植物検疫が開始されました。

2.我が国における植物検疫体制

 植物検疫は、海外から自国への病害虫の侵入を防ぐ「輸入検疫」、輸出相手国が侵入を警戒している病害虫が植物とともに輸出されることを防ぐ「輸出検疫」、国内の一部に発生している病害虫の未発生の地域へのまん延を防ぐ「国内検疫」に分けられます。

 我が国は植物検疫の国際ルールである国際植物防疫条約および植物防疫法に基づいて植物検疫を実施しています。この任務を遂行しているのは農林水産省植物防疫所です。 植物防疫所は、全国で5本所、16支所、47出張所が設置され、港や空港で検査を実施しています。

 食生活の多様化などから輸入される植物の品目数、数量は膨大なものがあります。このような状況の中、全国の港、空港で輸入植物の検査を行うことは、海外からの病害虫の侵入を防ぐ上で非常に重要な役割を果たしています。

3.輸入検疫について

 植物は、貨物、旅客手荷物、郵便物で輸入されます。また、植物は指定された港、空港以外では輸入できません。植物が輸入されると、植物防疫官は、それが輸入された港、空港または郵便局で、輸入禁止品であるかどうか、病害虫の付着があるかどうかについて検査します。検査の結果、輸入禁止品の場合は輸入することはできません。輸入禁止品ではなく、病害虫の付着がない場合には合格となり輸入することができます。
 
 
 なお、果樹類の苗木や穂木、ばれいしょ、さつまいも、球根類およびさとうきびについては港や空港などでの検査だけでは発見が困難なウイルス病などに汚染されている可能性があることから、隔離された場所で一定期間栽培してその間にウイルス病などに侵されているかどうかの検査(この検査を「隔離検疫」と言います)が行われます。

4.侵入を警戒しているさつまいも、ばれいしょの主な病害虫と輸入植物検疫について

 我が国が侵入を警戒しているさつまいも、ばれいしょの主な病害虫は次のとおりです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 これらの病害虫が発生している国・地域からのさつまいも、ばれいしょなど寄主植物の茎葉や塊根・塊茎など地下部の輸入は禁止されています。ただし、これら輸入禁止品であっても試験研究の目的などであらかじめ農林水産大臣の許可を得て輸入する場合や、ポテトチップ加工用米国産ばれいしょであって農林水産大臣が定める特別な基準を満たしているものについては輸入することができます。

 一方、前述の病害虫が発生していない国・地域からの輸入については、必要な事項(栽培地検査や輸出検査の実施など)が記載された輸出国政府発行の植物検疫証明書が添付されていれば、輸入することはできますが、輸入時の検査の後、隔離検疫が必要となります(ただし、栽培用にできないよう芽を完全に除去したものは隔離検疫の必要はありません)。

 なお、国・地域にかかわらず、乾燥いもやマイナス17.8℃以下で凍結されたものについては輸入検査を受け合格すれば輸入することができます。

 さつまいもについては乾燥いも、凍結いも、ペレットの状態で、また、ばれいしょについては凍結いもや前述のポテトチップ加工用としての輸入がほとんどです(表参照)。
 
 

おわりに

 植物防疫所では、これまでの技術の蓄積や科学技術の進歩を踏まえ、病害虫の検査方法、検出方法および防除方法の開発、改善に努めています。今後も新たな病害虫が侵入することがないよう万全な輸入検疫を行っていくこととしております。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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