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でん粉専用品種「コナフブキ」の話2

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2009年7月]

【でん粉のあれこれ】

Web ジャガイモ博物館 浅間 和夫

高でん粉品種「コナフブキ」の選抜

 「コナフブキ」の選抜・育成は道東の旧北海道立根釧農業試験場馬鈴しょ科(平成10年北見農業試験場に移転)で10年かけて行われ、北海道の優良品種となったのは昭和56年でした。名前はコナ(でん粉)が北国の吹雪のように多いことを表しています。
 塊茎の形は偏球、皮色は淡黄褐で、特に変わったところはありませんが、目(くぼみ)にごく淡い紅があり何となく女性的です。あまり知られていませんが、Yウイルス(注)に対して免疫性であるという長所があります。最大の特徴はでん粉含有率(ライマン価)が高いことで、それまでの品種「紅丸」より3割増しの21%ほどになります。栽培にかける手間ひまは同じでも、得られるでん粉に大差があり、塊茎中の水分が少ないので、今様に言うなら工場までの運搬コストや工場操業コストも低くて済むエコ品種と言えます。
 一般的に言えば、品種に求められる特性として、塊茎のサイズが手頃で、その塊茎が収穫しやすいように茎の近くにまとまって着き、各種病害虫に強く、輪作体系の維持(ばれいしょ収穫後に秋まき小麦をまくことなど)と、塊茎凍結前にでん粉工場の操業を終えられるよう、熟期が早めであることなどが求められます。通常、これらをクリアするかどうかを10年ほどかけて見定め、劣るものを淘汰しています。
 選抜初年の秋に特に力を入れて行ったのが、塩水選でした。
 これは比重選とも呼ばれます。やり方は、比重1.115(ライマン価21.4%に相当)の塩水にばれいしょ塊茎を入れ、浮いた塊茎を淘汰し、底に沈んだでん粉の多い塊茎だけを2年目へと残すものです。この塩水選で、3万個から2,250個に絞りました。
 この塩水選は、塊茎の色(紅か黄か)や形(球か長卵か)で選別するような単純作業ですが比較的信頼性が高い検査方法です。人で言えば髪の色、血液型で淘汰するような間違いの少ないものであり、赤ちゃん時代に宇宙飛行士を選ぶようなものとは違います。
 黒髪で血液O型同士の夫婦にブロンドでA型の女の赤ちゃんを期待できないように、高ライマン価ばれいしょ品種の育成には高ライマン価の親が絶対に必要です。しかも狭義のばれいしょソラヌム・ツベロスム(学名:Solanum tuberosum L.)は高ライマン価品種という特性を持ち合わせていないので、人間に例えるとチンパンジーやゴリラに相当するばれいしょの近縁種からこの特性を導入する必要がありました。
 このほか、メキシコのとうもろこし畑の雑草ソラヌム・デミッスム(ばれいしょの野生種の1種、学名:Solanum demissum Lindl.)も必要でした。この近縁種は、ケネディやレーガン大統領の曾祖父達が飢餓から逃れるためアイルランドからアメリカへと渡る原因となったばれいしょのカビ(疫病)に強いのです。このように、ばれいしょにおいては種間交雑が進んでおります。「コナフブキ」の場合の親作りには、旧北海道農業試験場(現農研機構北海道農業研究センター)の故入倉幸雄博士らが長年の研究で貢献されました。
 現在の「コナフブキ」の用途の中には育成時には想定していなかったものあります。例えば、知床に近い清里町で本格ばれいしよ焼酎「北緯44度」、「浪漫倶楽部」の原料として使われたり、また塊茎をおろした時の肉の褐変が少ないため、「お好み焼き」の材料として隠れた人気が出たりしています。


図1 コナフブキの塊茎

(注) Yウイルス:アブラムシによって媒介され、全国に広く分布しています。ばれいしょが罹病すると葉に褐色斑点や凹凸などができて減収し、たばこに感染すると葉が黄化・落葉し大きな被害を与えます。




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