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鹿児島 うんまかもん(おいしいもの)

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2009年11月]

【でん粉のあれこれ】

鹿児島女子短期大学
 名誉教授 福司山 エツ子


 さつまいもは九州では江戸時代初期に鹿児島に伝来し、鹿児島ならではのいもの食事文化が形成されてきました。現在、鹿児島のさつまいもを使った料理としては、豚汁やいもサラダなど各地域の食文化や洋食との折衷文化が全国的に定着しているほか、さつまいもの天ぷら、さつまいもの和風味噌煮などの伝承文化も継承されてきました。

 でん粉は、これを含む作物の生育場所によって地下でん粉と地上でん粉に分けられます。地下でん粉はジャガイモ、さつまいも、くず、キャッサバ(タピオカ)などの根茎のでん粉で、水分70〜80%の細胞内で育つものです。地上でん粉は米、小麦、とうもろこしなどの種実でん粉で、地下のものよりはるかに少ない水分の中で育ったものです。

 さつまいもでん粉は、コーンスターチなどの地上でん粉に比べ、粘度が高く、長時間の加熱にも安定しているという特長があり、この特性を利用した郷土料理も数多く見られます。

 今回は、親子で誰でも簡単に作りやすく、美味しい「さつまいもでん粉」料理を紹介しますので、お試しください。


1.落花生(ピーナッツ)豆腐

 落花生はピーナツ、南京豆ともいわれる一年生のマメ科の植物です。鹿児島県では鹿屋や奄美地方で多く生産されています。落花生は、栄養的にはたんぱく質、脂肪、ビタミンB1・B2を多く含んだ優れた食品です。落花生の料理方法はいろいろありますが、この「落花生豆腐」はさつまいもでん粉を使った代表的なものであり、精進料理や各種行事のときなど、現在でもよく作られています。


【材料】


【使用する容器】

 流し箱 800ミリリットル


【作り方】

1.ピーナツは水につけておく。
2.薄皮を取ったピーナツと出し汁を加えミキサーにかけ、よくつぶし、ふきんでこす。
3.鍋にいもでん粉を入れ、2を少しずつ加えて溶かし、中火にかけて、焦がさないように木じゃくしで絶えず、混ぜながらとろとろの状態になるくらいまで煮詰める。
4.3を水でぬらした流し箱に手早く流し入れ、上部を平らにして冷やし固める。
5.鍋にAの材料を入れ煮詰めてたれを作る。



2.だご汁(さつまいもといもでん粉の汁物)

 さつまいもは前田利右衛門が琉球から約300年前に鹿児島に持ち帰ったと言われており、その後、主として薩摩の国から各地に移植したので、鹿児島は「からいも」「とういも」という呼ぶ人が多いです。昔はさつまいもは年貢米に追われる農民たちの命をつなぐ大切な食料でありました。昔からからいも3俵とからいもでん粉1俵を交換してもらい、団子汁など作っていました。「かねんだんご汁」「でん粉だんご汁」「からいもんだんごすい」「きっちんだんご汁」などと地方によって呼び名は異なりますが、素朴な料理です。現在では低カロリーでビタミンC豊富な健康食として、いろいろ工夫された料理が多いです。


【材料(4人分)】


【作り方】

① 団子を作る。さつまいもはゆでて皮をむき、細かくつぶす。Aと混ぜ合わせ、耳たぶくらいの柔らかさになるまで練る。
② できた生地を3等分にして、それぞれ直径3〜4センチ位の棒状にし、好みの量を厚さ7ミリほどの輪切りにする。
  ※生地が残ったら、冷凍庫に保存。使う時は常温に少しおくと切りやすい。
③ にんじんは2〜3ミリの厚さの短冊切り、白菜は一口大に切る。にらは4〜5センチの長さに切る。
④ 鍋にだし汁と塩、醤油を入れて中火にかける。にんじんを入れ、柔らかくなったら団子を入れる。団子が浮いてきたら、白菜とにらを入れ、1分ほど加熱したら完成。



3.いもんせん(焼きでん粉)の黒蜜かけ

 昔は各家庭でいもでん粉を作っていました。でん粉と水を加えて溶き、油で透明になるまで焼いたものを「いもんせん」と呼んでいます。

 近年になって本土でも作るようになりましたが、もともとは種子島独特の料理であったといわれています。デザートだけでなくお煮しめにこんにゃくの代わりに入れています。この焼きでんぷんにビタミンA・Cなどを多く含むにらを使い、甘辛く味付けしたものが甘辛煮であります。


【材料(4人分)】


【作り方】

① 黒蜜を作る。Bを鍋に入れて木じゃくしで混ぜながら加熱し、とろみがついたら火をとめる。
② ボールにAを入れ、よくかき混ぜる。
③ フライパンを熱してサラダ油を入れる。中火にして②を流し込み、むらにならないよう木じゃくしで手早くかき混ぜる。
④ 生地が固まってきたら、手のひらに水をつけて生地の上をパンパンと軽くたたく。ふたをして数分焼いたら裏返し、透明になるまで焼く。
⑤ 熱いうちに切って皿に盛り、黒蜜をかける。

 *からし醤油や酢醤油でもよい。



4.いもようかん(かからんだんご)

 5月5日の節句団子の一つであり、かからん葉に包むが、かからん葉に濃いあずき色の団子を包んで、蒸す素朴な祝い菓子です。今回は、かからん葉を使用しないでようかん風に仕上げました。「かからん葉」という呼び名は鹿児島の方言で、学名サルトリイバラと呼ばれイバラ科の植物の葉です。


【材料】


【作り方】

① 鍋にでん粉と水を入れて温める。
② ①にあんを加え、練る。
③ 粗熱をとって流し型に入れ、固まってから切る。
④ いもグラニュールをまぶす。



(参考)各品種でん粉6%、10%落花生豆腐の官能評価