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マイコプラズマ・ボビス感染農場の飼養牛2万頭余りを殺処分へ(NZ)

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 ニュージーランド第一次産業省(MPI)は3月26日、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma Bovis)の感染が確認された28の農場のうち、殺処分を行っていない22農場の飼養牛約2万2000頭について、殺処分を行うと発表した。
 MPIは、殺処分について、2017年10月の段階で感染が確認されていた農場の感染牛4000頭余りは、12月までに完了したが、それ以降は、感染経路が特定されるまで一時的に停止していた。MPIは、2018年2月以降に全農場で実施した生乳検査の結果、発見されたマイコプラズマ・ボビスは全て同じ遺伝子型であったことから、一連の感染拡大と、感染畜の移動は、密接に関係している可能性が高いとして(初発牛への感染経路については、まだ解明されていない)、感染農場における全頭の殺処分が、牛肉・酪農産業の将来的な信頼回復のための最善策であるとしている。
 例年、生乳生産年度の終了する5月末に、シェアミルカーの契約更改に伴う大規模な家畜移動が発生することから、それまでにマイコプラズマ・ボビスの根絶を図りたいという意向もあるとみられる。
 MPIが発表した試算によると、殺処分の費用は3500万NZドル(28億円:1NZドル=79円)、農家への補償額は6000万NZドル(47億円)に上り、財源はMPIと業界団体が拠出する。現地報道によると、農家にとっては、単に飼養牛を失うだけではなく、何年もかけて築き上げた遺伝資源をも失うことにもなるため、経営の再建には時間を要するとしている。
 NZ全体で搾乳牛はおよそ500万頭、肉用牛はおよそ350万頭が飼養されており、毎年およそ240万頭がと畜されている。今回の殺処分頭数は、全飼養頭数の0.3%程度であるが、これほど大規模な殺処分はNZでは初となる。
 なお、殺処分された牛は、通常の牛と区別なく牛肉として出荷されるが、MPIは、マイコプラズマ・ボビス感染牛の肉を人間が口にしても、安全上の問題は一切ないことを強調している。
 
 ニュージーランドでは、2017年7月25日に、マイコプラズマ・ボビスの乳用牛への国内初の感染が南島で確認された。初期に感染が確認された南島の農場では、感染牛の殺処分が実施されたが、感染は北島にも拡大し、2月以降、全農場で生乳検査を実施することとしていた。
 関連情報は、以下のURLを参照されたい。
【竹谷 亮佑 平成30年3月29日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532