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食品メーカーにおける人工甘味料・化工でん粉の利用形態

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最終更新日:2017年9月11日

食品メーカーにおける人工甘味料・化工でん粉の利用形態
〜平成28年度甘味料およびでん粉の仕入動向調査の概要〜

2017年9月

調査情報部

【要約】

 人工甘味料は、飲料向けの用途が多く、カロリーを抑える目的で使用されている。化工でん粉は、幅広い用途で使われているものの、デキストリン類と加工でん粉の用途には差があった。

 仕入量について、人工甘味料は減少したとする回答が目立った一方、化工でん粉は増加したとする回答が多かった。

はじめに

 当機構は、甘味料およびでん粉の需要動向に大きな影響を与えている人工甘味料および化工でん粉の具体的なニーズや利用状況を把握するため、食品製造事業者を対象としたアンケート調査を毎年実施している。

 本稿では、平成28年度に実施した「甘味料およびでん粉の仕入動向調査」の調査結果について報告する。なお、砂糖類の調査結果については本誌2017年8月号を、天然でん粉については同2017年7月号を参照されたい。

1.調査の方法

(1)調査期間  
 平成29年2〜3月

(2)調査対象  
 甘味料またはでん粉を使用する食品製造事業者

(3)調査方法  
 郵送による調査票の発送および回収を実施

(4)回収状況

(4)回収状況

(5)集計区分

(5)集計区分

(6)集計結果についての留意事項
ア.図中の「n」は有効回答数を表す。
イ.端数処理の関係により、図中の内訳の合計が100%にならないことがある。
ウ.「不明・無回答」は比較対象から除外する。

2.調査企業の概要

 甘味料を使用する企業52社のうち、人工甘味料を使用する企業は17社(注1)、でん粉を使用する企業45社のうち、化工でん粉を使用する企業は23社(注2)であった。
 
 人工甘味料および化工でん粉を使用する企業の資本金の額と業種は以下の通り(図1図2)。

(注1)複数の人工甘味料を使用する企業があるため、1(5)の集計区分の内訳の合計と一致しない。
(注2)複数の化工でん粉を使用する企業があるため1(5)の集計区分の内訳の合計と一致しない。

図1 人工甘味料を使用する企業の資本金と業種

図1 化工でん粉を使用する企業の資本金と業種

3.集計結果

(1)人工甘味料

ア.人工甘味料の用途
 人工甘味料の用途を見ると、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が9件と最も多く、次いで「キャンディー・グミ・チューインガム」(6件)、「果実・野菜飲料」「コーヒー・ココア・紅茶飲料」(いずれも4件)の順であった(図3)。「その他」の用途は、水などに溶かして飲む粉末タイプの飲料や、無果汁の清涼飲料水などであった。
 全体的な傾向として、飲料向けの用途が多かった。

図3 人工甘味料の用途

イ.人工甘味料を使用する商品の数
 人工甘味料を使用する商品の数は、種類ごとにやや異なった(図4)。アスパルテームは、「10点以下」と「11〜50点」と「51〜100点」が同率であった。アセスルファムカリウム、スクラロースは、1企業当たり「10点以下」が最も多かった。




ウ.人工甘味料を使用する理由
 人工甘味料を使用する理由は、「商品中のカロリーを抑える」が20件と最も多く、次いで「製造原価(製造コスト)を抑える」(10件)、「他の甘味料との併用による甘さ調整」(6件)の順であった(図5)。
 種類別に見ても、おおむね同様の傾向が見られた。

 健康志向の高まりにより、飲料や菓子を中心に低カロリーのものが好まれる傾向にあるといえる。他方、製造原価を抑えることを目的とする企業も多いことから、低コスト化を実現する上での重要な原料となっていることがうかがえる。




エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量

 平成28年(1〜12月、以下同じ)の仕入量は、「200キログラム未満」が39%と最も多く、次いで「1トン以上5トン未満」(29%)、「5トン以上」(10%)の順であった(図6)。

 種類別に見ると、アスパルテームとアセスルファムカリウムは「200キログラム」が最も多く、スクラロースは「200キログラム」と「1トン以上5トン未満」が同率で多かった(図7)。






(イ)昨年と比較した仕入量の動向
 平成27年と比較した28年の仕入量の動向は、アスパルテームを除き、「横ばい」が過半を占めた(図8)。「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業は、「既存商品の需要の変動」を理由に挙げ、業種は乳製品製造業などであった。「やや減少」「大幅に減少」と回答した企業は、「商品数の削減」や「商品当たりの含有量の削減」などを理由に挙げ、業種は製菓業、飲料業などであった。

 全体として、減少したとする回答が目立ち、その要因が商品の生産の中止・商品設計の見直しによるものであることから、人工甘味料を使用した商品の市場は厳しい競合環境下にあることがうかがえる。


 
(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、いずれの種類も「横ばい」が過半を占めた(図9)。「やや増加する見込み」と回答した企業は、「他の甘味料から切り替える」を理由として挙げ、乳製品製造業であった。「やや減少する見込み」「大幅に減少する見込み」と回答した企業は、「生産の中止」や「商品数の削減」を理由に挙げ、調味料製造業、飲料業であった。




オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成29年1月時点)は、「3000円未満」が26%と最も多く、次いで「1万円以上2万円未満」(23%)、「3000円以上5000円未満」「5000円以上1万円未満」(いずれも10%)の順であった(図10)。

 種類別に見ると、アスパルテーム、アセスルファムカリウムは「3000円未満」が最も多かった。スクラロースは「1万円以上2万円未満」が最も多いものの、価格の幅が広く、中には「4万円以上」で仕入れている企業があった(図11)。







(イ)昨年と比較した仕入価格
 平成27年と比べた28年の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が大半を占め、おおむね安定的に推移していると言える(図12)。「やや下落」と回答した企業は、その要因として「為替の変動」や「商品の価格改定」を理由に挙げ、業種は製菓業、乳製品製造業、飲料業であった。

カ.人工甘味料に対する評価
 人工甘味料に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、「満足」が過半を占めた(図13)。
 調達面についても、「満足」が過半を占めた(図14)。





 

(2)化工でん粉

ア.化工でん粉の用途
 化工でん粉の用途を見ると、「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」が6件と最も多く、次いで「水産練り製品」「ソース・たれ・つゆ類」(いずれも4件)、「パン」(3件)の順であった(図15)。

 種類別に見ると、デキストリン類は「パン」が最も多く、加工でん粉では「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」と「水産練り製品」が同数で多かった。




イ.化工でん粉を使用する商品の数
 化工でん粉を使用する商品の数は、1企業当たり「11〜50点」が最も多かった(図16)。



ウ.化工でん粉を使用する理由
 化工でん粉を使用する理由は、「商品の付加価値を高める」と「品質が安定している」が同数の5件と多く、次いで「かさ増しする」(4件)、の順であった(図17)。

 種類別に見ると、デキストリン類は「かさ増しする」が最も多く、加工でん粉は「商品の付加価値を高める」が最も多かった。

 物理的に加水分解して得られるデキストリン類は、でん粉の分解度合いによって、甘さ、粘性、カロリー、溶解度などの性質が変わることから、この性質を利用して幅広い用途に使われている。加工でん粉は、「品質が安定している」「天然でん粉の欠点を補う」を理由に挙げる企業もあることから、食品の品質を保持する目的で使用される傾向が強いと言える。

エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量

 平成28年の仕入量は、「100トン未満」が37%と最も多く、次いで「100トン以上300トン未満」「1100トン以上」(いずれも19%)の順であった(図18)。

 種類別に見ると、デキストリンは、「100トン未満」が38%と最も多く、「100トン以上300トン未満」と合わせると過半を占めた。加工でん粉は、「100トン未満」と「1100トン以上」が同率の36%と多く、仕入量が多いグループと少ないグループとに二分された(図19)。







(イ)昨年と比較した仕入量の動向
 平成27年と比較した28年の仕入量の動向は、いずれの種類も「横ばい」が過半を占めた(図20)。「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業は、その要因として「既存商品の需要の変動」を理由に挙げ、業種は製菓業、製粉業、乳製品製造業であった。

 種類別に見ると、加工でん粉は、「大幅に増加」と「やや増加」を合わせると3分の1を占めた。中食市場の伸長や訪日外国人の増加などによる加工食品向け需要の増加などが背景にあるとみられる。




(ウ)今後の仕入量の見込み
 今後の仕入量の見込みは、いずれの種類も「横ばい」が大半を占めた(図21)。「やや増加する見込み」と回答した企業は、その要因として「商品数を増やす」を理由に挙げ、業種は製菓業および製粉業であった。「やや減少する見込み」と回答した企業は、その要因として「商品の生産を中止する」を理由に挙げ、業種は製パン業であった。


 
オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格

 1キログラム当たりの仕入価格(平成29年1月時点)は、「120円以上160円未満」が19%と最も多く、次いで「280円以上」(15%)の順であった(図22)。

 種類別に見ると、デキストリン類は「120円以上160円未満」が最も多く、加工でん粉はそれぞれの価格帯にほぼ均等に分布していた(図23)。







(イ)昨年と比較した仕入価格
 平成27年と比べた28年の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が大半を占め、おおむね安定的に推移していると言える(図24)。「やや増加する見込み」と回答した企業は、「原料作物の市場相場の変動」を理由に挙げ、業種は油脂製造業であった。「やや減少する見込み」と回答した企業は、「為替の変動」「商品の価格改定」を理由に挙げ、業種は製パン業、乳製品製造業であった。

 平成28年はコーンスターチ用のトウモロコシの輸入価格が大幅に下落した年であったことを踏まえると、仕入価格が低下した企業はコーンスターチを原料とするデキストリン類を使用しているとみられる。


 
カ.化工でん粉に対する評価
 化工でん粉に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、いずれの種類も「満足」が最も多く、「やや満足」と合わせると過半を占めた(図25)。

 調達面については、いずれの種類も「満足」が最も多く、「やや満足」と合わせると過半を占めた(図26)。






 

おわりに

 仕入量について、人工甘味料は減少したとする回答が目立った一方、化工でん粉は増加したとする回答が多かった。前者の要因として、健康志向の高まりにより、競合する商品が市場に多数ひしめき合っていることから、回答を得た企業の商品については厳しい競争にさらされていることがうかがえる。人工甘味料が使われている商品が比較的多い飲料市場では、近年、茶系飲料やフレーバーウォーターの人気・関心が高まっており、競合環境は今後ますます厳しくなるものと思われる。

 他方、後者の要因として、中食需要やインバウンド需要の伸びなどに支えられているものと考えられる。化工でん粉の需要は、今後、(1)東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、さらに訪日外国人客数の増加が見込まれること(2)高齢化が進み、単身世帯が増加すること−などから、堅調に推移すると考えられる。

 最後にお忙しい中、本調査にご協力いただいた企業の皆さまに、改めて厚く御礼申し上げます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03‐3583‐9272