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4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2021年9月時点予測)

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最終更新日:2021年10月11日

4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2021年9月時点予測)

2021年10月

ブラジル
2021/22年度の砂糖生産量はかなり大きく、輸出量は大幅に減少する見込み  
 2021/2022年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、869万ヘクタール(前年度比0.2%減)と横ばいで推移すると見込まれる(表2)。サトウキビ生産量は、中南部地域において乾燥気候が継続している上、7月頃に霜害も発生したことにより、5億6900万トン(同13.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖生産量は、原料の減産を受けて3788万トン(同15.1%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。輸出量も、砂糖の減産や、コロナ禍における物流の混乱を背景とした海上運賃の上昇を受けて、インドネシアやアフリカ諸国などでブラジル産の粗糖需要が低下していることから、2690万トン(同21.0%減)と大幅に減少すると見込まれる。
表2
(参考)ブラジル
インド
2021/22年度の砂糖生産量はやや増加し、輸出量は前年度並みの見込み  
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、500万ヘクタール(前年度比2.3%増)とわずかに増加すると見込まれる(表3)。主産地の降雨量は平年並みまたは平均を上回っており、生育状況は順調であることから、サトウキビ生産量は4億2317万トン(同5.3%増)、砂糖生産量は3450万トン(同3.2%増)とともにやや増加すると見込まれる。輸出量は、砂糖の国際価格が堅調な状況下において806万トン(同0.3%増)と前年度並みで推移すると見込まれる。

2020/21年度の砂糖輸出量、輸出目標を上回る700万トンに達する  
 インド消費者問題・食糧・公共配給省は8月19日、2020/21年度の砂糖輸出量について、8月16日時点で累計700万トン分の砂糖の輸出契約が締結され、同年度の輸出目標である600万トンを上回ったと発表した。このうち600万トン超の砂糖がすでに製糖工場から出荷され、550万トン超が同国から輸出されたとしている。すでに来年度に向けて先渡し契約(注1)を締結している製糖企業も見られており、同省は「砂糖の輸出によって、国内の需給バランスや価格の安定化がもたらされている」と肯定的な見解を述べた。  

 7月以降、ブラジル産サトウキビの減産予測を受けて粗糖の国際価格は上昇しており、インド産への需要も高い状況にある。このため、同省は国内の製糖工場に対し、輸出向け粗糖(注2)の増産計画の策定や、高水準で推移する国際価格を念頭に、速やかな先渡し契約の締結を勧告するとともに、砂糖輸出を行う製糖工場に対し、国内市場向け砂糖の販売割当枠を拡大するといった形で増産へのインセンティブを与えると発表した。

(注1)将来における特定の期間内に、指定された価格によって売買を行う契約。
(注2)同国では一般的に、国内市場向けに白糖、輸出向けに粗糖が生産されている。
表3
中国
2021/22年度の砂糖生産量はやや減少し、輸入量は大幅に減少する見込み   
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、116万ヘクタール(前年度比0.6%増)とわずかな増加が見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地である広西チワン族自治区や雲南省の天候が良好であるため、7475万トン(同1.6%増)とわずかに増加すると見込まれる。一方、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシへ転作する農家の増加により(注)、17万ヘクタール(同27.1%減)と大幅に減少し、てん菜生産量も、883万トン(同28.7%減)と1000万トンを下回ると見込まれる。  

 砂糖生産量は、てん菜糖生産量の減少を受けて1094万トン(同5.1%減)とやや減少すると見込まれる。輸入量は、前年度の輸入によって積み増しされた国内の余剰在庫が政府によって放出される可能性があり、これは輸入糖の需要を低下させることから、563万トン(同23.4%減)と大幅に減少すると見込まれる。

(注)同国では、アフリカ豚熱からの回復による豚飼養頭数の増加を受けて、飼料用トウモロコシなどの需要が高まりを見せている。詳細は、2021年6月17日付海外情報「中国農業展望報告(2021−2030)を発表(飼料編)(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002967.html)を参照されたい。

2020/21年度の砂糖輸入量、前年同期の約2倍で推移  
 中国海関総署は8月19日、2021年7月の砂糖輸入量が前月比2.4%増の43万トンであったと発表した(図4)。これは、前年同月の輸入数量から12万トンの増加(前年同月比38.7%増)となる。昨年末以降の推移を月別に見ると、2021年に入り減少傾向にあった中、3月から5月は20万トン以下で推移していたが、6月以降は40万トン台まで回復している。また、2020/21年度の7月までの累計では、496万トンと前年同期(255万トン)の約2倍に達し、年度開始後10カ月間の砂糖輸入量としては過去最高を記録した。増加した要因としては、2020年5月21日に砂糖のセーフガード措置が失効し、関税割当枠外の砂糖に対する追加関税が撤廃されたことで、国内需要の増加に伴い、輸入が本格化したことなどが挙げられる(注)。一方、上述の通り、同国内の在庫は放出の可能性がうたわれ余剰感がある中で、今後これらがどのような動きとなるか注目される。

(注)関税割当枠外の砂糖に対する追加関税の撤廃については、2020年6月12日付海外情報「関税割当枠外の砂糖への追加関税を撤廃(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002725.html)を参照されたい。
 
表4・(参考)中国
EU
2021/22年度の輸出量は、大幅に増加する見込み  
 2021/22年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、減少傾向の継続が予測される中、146万ヘクタール(前年度比1.1%減)とわずかな減少が見込まれる(表5)。てん菜生産量は、干ばつの影響を受けた過去2年に比べ、今期は生育期間の降雨量が多かったことを受けて、1億817万トン(同10.0%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。砂糖生産量は、てん菜の増産を受けて1703万トン(同12.5%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。輸出量は、砂糖生産量の増加に伴い、140万トン(同17.7%増)と大幅に増加すると見込まれる。
表5・(参考)EU
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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