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3.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年2月時点予測)

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最終更新日:2022年3月10日

3.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年2月時点予測)

2022年3月

ブラジル
2021/22年度の砂糖生産量はかなり大きく減少し、輸出量も大幅に減少する見込み  
 LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)による2022年2月時点の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、868万ヘクタール(前年度比0.3%増)と横ばいで推移すると見込まれる(表2)。サトウキビ生産量は、中南部地域において乾燥気候が継続した上、7月などに霜害も発生したことにより5億8250万トン(同11.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖生産量は、サトウキビの減産を受けて3808万トン(粗糖換算〈以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算〉、同14.6%減)と、依然としてかなり大きく減少すると見込まれる。輸出量も同様に、砂糖の減産や、コロナ禍における物流の混乱を背景とした海上運賃の高騰を受けて、インドネシアやアフリカ諸国などで同国産の粗糖需要が低下していることから、2758万トン(同19.0%減)と大幅な減少が見込まれる。

サトウキビ部門の発電能力が12ギガワットに到達  
 UNICAは2022年1月30日、サトウキビ部門の発電量が22年1月時点で1万2053メガワット(最大出力、以下同じ)に達し、同国最大の水力発電所の能力(1万1233メガワット)を上回ったと発表した。  

 UNICAによると、サトウキビ部門の発電量は水力、化石燃料、風力に次いで高く、同国の総発電量の6.6%を占めている(注)。ブラジルでは、サトウキビ部門の発電として、バガスやトラッシュ(梢頭部しょうとうぶや葉)を主燃料とする火力発電所が413カ所、バイオガスを使用する火力発電所が2カ所存在するが、発電量の約85%はサトウキビ主産地である4州で生産されている。内訳としては、サンパウロ州(6333メガワット、53%)、ミナスジェライス州(1417メガワット、12%)、ゴイアス州(1362メガワット、11%)、マトグロッソ・ド・スル州(1078メガワット、9%)の順となっている。  

 UNICAのバイオマス電力部門の責任者は、「バイオマスはブラジルのエネルギー業界にとってすでに重要なものであるが、これらをさらに活用することで、同国のバイオマス発電の割合が引き上がる可能性はまだまだある」と述べている。

(注)うち、バイオガス由来の発電能力は32メガワット。
表2
(参考)ブラジル
インド
2021/22年度の砂糖生産量と輸出量は、前月予測から上方修正
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、499万ヘクタール(前年度比2.1%増)とわずかな増加が見込まれる(表3)。主産地の降雨量は平年並みまたは平均を上回っており、生育状況は順調であることから、サトウキビ生産量は4億1850万トン(同4.1%増)とやや増加すると見込まれる。砂糖生産量は、北部で発生した10月頃の大雨の影響が当初の見込みより小さいとみられるほか、主産地のマハラシュトラ州のサトウキビの品質が予想を上回っていることを受けて前月予測から上方修正され、3440万トン(同2.2%増)とわずかな増加が見込まれる。輸出量は、粗糖の輸出が伸び悩む一方、精製糖の輸出は順調に行われている状況を受けて、前月予測から上方修正されたものの、依然として736万トン(同13.8%減)とかなり大きな減少が見込まれる。近年、インドの在庫状況が改善される中、21年12月、世界貿易機関(WTO)紛争処理委員会(パネル)が公表したインド政府の砂糖政策に関する報告書では、同国のサトウキビの最低買い取り価格や砂糖の輸出補助金がWTO協定に違反していると結論付けられた(注)。現時点において21/22年度の輸出補助金政策は実施されていないものの、同国産砂糖の輸出価格が上昇基調にある中、今後の同国産砂糖輸出の動向が注目される。

(注)詳細については、2022年1月13日付海外情報「WTO紛争解決委、インドの砂糖政策を協定違反と裁定」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003153.htmlを参照されたい。
表3
(参考)インド
中国
2021/22年度の砂糖生産量はかなりの程度減少し、輸入量は大幅に減少する見込み  
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、112万ヘクタール(前年度比3.6%減)とやや減少すると見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地である広西チワン族自治区や雲南省の天候が良好であるため、7389万トン(同0.4%増)とわずかに増加すると見込まれる。一方、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシへの転作の増加により(注)、14万ヘクタール(同37.8%減)と大幅に減少すると見込まれる。てん菜生産量も、冬季の寒波が想定以上に影響すると見込まれることで前回予測から下方修正され、739万トン(同40.3%減)と大幅な減少が見込まれる。  

 砂糖生産量は、てん菜糖生産量の減少を受けて1071万トン(同7.1%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。輸入量は、2020年に引き続き2021年も国内需要を上回る量の砂糖を輸入したことで、国内在庫の積み増しが想定されることから、641万トン(同20.7%減)と大幅に減少すると見込まれる。

(注)同国では、アフリカ豚熱からの回復による豚飼養頭数の増加を受けて、飼料用トウモロコシなどの需要が高まりを見せている。詳細は、2021年6月17日付海外情報「中国農業展望報告(2021–2030)を発表(飼料編)(中国)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002967.htmlを参照されたい。
表4
(参考)中国
EU
2021/22年度の輸出量は、かなりの程度増加する見込み   
 2021/22年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、146万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかな減少が見込まれる(表5)。てん菜生産量は、干ばつの影響を受けた前年と比べ、今期は生育期間の降雨量が多く、生育状況が順調であることから、1億1176万トン(同13.6%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。砂糖生産量は、てん菜の増産を受けて1715万トン(同13.3%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。輸出量は、生産量の増加などを踏まえ、139万トン(同9.8%増)とかなりの程度増加するものの、依然として100万トン台前半で推移すると見込まれる。

フランス、2022年播種期のネオニコチノイド系農薬の緊急使用を許可    
 2022年のてん菜の播種期はしゅきに向けて、萎黄病いおうびょうを媒介するアブラムシを防除する効果のあるネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリドおよびチアメトキサム)で処理されたてん菜種子の緊急使用を許可するフランスの政令が、2月1日付けの官報に掲載された。EUでは、ミツバチなどに与える影響が懸念されるとして同農薬の圃場ほじょう散布が制限されており、同国でも18年以降、使用が禁止されていた。しかし、20年に萎黄病が流行したことを受けて、同年末に同農薬のてん菜種子への使用を、21年から最大23年まで許可する法案が可決されていた。    

 同国のてん菜生産者組合(CGB)は、「てん菜生産者や業界全体が待ち望んでいたこの政令を歓迎する」とのコメントを発表した。一方、ミツバチやその他昆虫への影響を軽減するために、処理済てん菜種子を播種した圃場においては、翌年から3年間にわたり、栽培品目が制限されたことに対し、「生産者が当該制限を嫌悪し、他の高収益性作物に移行することで、てん菜栽培面積の減少や不十分な輪作を引き起こす可能性がある」として懸念を示した。

欧州製糖業界団体、英国政府による精製用粗糖の関税免除枠延長を懸念    
 欧州砂糖製造者協会(CEFS)の2022年1月17日付けの声明によると、英国政府は、21年1月に設定した粗糖に対する26万トンの自主的関税割当(ATQ)(注1)の期限を24年12月31日まで延長すると発表した。ATQを利用できる国の制限はなく、輸入量がATQの割当量に達した場合は、最恵国待遇(MFN)関税である100キログラム当たり28.00ポンド(4452円)(注2)が適用される。英国政府は、ATQが国内のてん菜生産者に影響を及ぼさないと分析しているものの、全英農業者組合(NFU)は、同国で許可されていない農薬や栽培技術を用いた粗糖、また、輸出国の補助を受けた粗糖が世界中から輸入されるとして、反対の姿勢を示している。    

 また、ATQの期限延長についてCEFSは、この度の延長は、EU、ACP諸国(EUの旧植民地であるアフリカ、カリブ、太平洋諸国)およびLDC諸国(後発開発途上国)の砂糖生産者のみに適用される譲歩(特恵関税)(注3)の棄損につながることから危機感を覚えるとして、NFUと同様に懸念を示した。

(注1)Autonomous tariff quotas(自主的関税割当)は、数量を限定して関税を免除するもの。詳細は下記参照(英国政府HP:https://www.gov.uk/guidance/duty-suspensions-and-tariff-quotas)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の1月末TTS相場である1ポンド=159(158.72)円を使用。
(注3)英国は、EU、ACP諸国およびLDC諸国産の粗糖および白糖を無税で輸入する措置をとっている。
表5
(参考)EU
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272