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世界各国における糖類を含む清涼飲料水の消費動向および購買志向

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最終更新日:2022年11月10日

世界各国における糖類を含む清涼飲料水の消費動向および購買志向

2022年11月

調査情報部 水野 崇、峯岸 啓之

【要約】

 糖類を含む清涼飲料水では、チョコレートと同様、砂糖ほどの摂取頻度は見られず、国や年齢、健康志向の別についても回答の傾向が異なった。また、コロナ前後の消費変化については、おおむね半数が変化はないとする中で、以前より増加したとの回答が全体で減少を上回るも、今後の見通しにおいては減少が増加を上回る結果となった。砂糖以外の甘味料については国によって程度は異なるものの、意識の同一性が確認された。

はじめに

 気候変動や資源の枯渇、また、高齢化の進展など、世界規模で生じるさまざまな課題や問題を通じ、健康やSDGs(持続可能な開発目標)に対する消費者の関心はますます高まりつつある。加えて、情報網の進化や人の動きが広がっていることで、消費者の志向も変貌を遂げつつある。このような中で、消費者の砂糖に対する関心度や消費状況、砂糖を含む食品の選択思考や購買動機などを分析し、国際的な傾向を把握することは、砂糖原料生産者や製糖企業、甘味商品製造業者などにとって参考に資すると考えられる。

 そこで当機構では、砂糖の他、チョコレートおよび糖類を含む清涼飲料水の消費状況やこれらの商品に対する購買志向などについて、全世界から地理的・文化的なバランスや砂糖消費量などを勘案して選定した図1に掲げる世界8カ国の一般消費者を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施した。これまでの2回、砂糖およびチョコレートの調査結果について報告してきたが(注1)、本稿では、含糖商品の一つである清涼飲料水(注2)に関する調査結果の概要を報告する。

(注1)『砂糖類・でん粉情報』2022年9月号「世界各国における砂糖の消費動向および購買志向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002778.html)および『砂糖類・でん粉情報』2022年10月号「世界各国におけるチョコレートの消費動向および購買志向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002797.html)を参照されたい。
(注2)本稿においては、以後、糖類を含む清涼飲料水について「清涼飲料水」と表記する。また、清涼飲料水は野菜ジュース、フルーツジュースおよび乳飲料の類いは該当しないものとした。

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1 調査概要

(1)調査対象
 世界8カ国(注3)の一般消費者を対象に、男女別×世代別に調査。

(注3)日本、豪州、ブラジル、中国、フランス、インド、インドネシア、米国

(2)有効回答数(注4、注5)
 合計6400件(各国800人×8カ国)。各国については、男女それぞれ世代別(18歳〜29歳、30歳〜39歳、40歳〜49歳、50歳〜59歳および60歳以上の5カテゴリー)に各80人ずつ調査した。

(注4)対象年齢は日本の他調査対象国の多くで採用する成人年齢(18歳)以上とした。なお、事前のスクリーニング調査で、世帯用食品の購入に全く関与しない消費者および甘さをおいしいと感じないため、甘味の摂取に消極的な消費者は調査対象から除外している。
(注5)図表中のNは有効回答数。


(3)調査期間
 令和4年2〜3月

(4)調査手法(注6)
 インターネットアンケート

(注6)回答者は、男女別、世代別で均等に割り付けしていること、インターネットを利用できる環境下で生活していることなどに留意が必要。

(5)調査品目(注7)
 清涼飲料水

(注7)本調査においては、砂糖そのものとともにチョコレートと清涼飲料水を調査しており、チョコレートと清涼飲料水は砂糖を含むものとした。

 なお、本調査の回答者に係る属性および甘味商品の嗜好性については文末の参考資料を参照されたい。

2 清涼飲料水の摂取状況

(1)清涼飲料水の摂取頻度
 8カ国全体の清涼飲料水の摂取頻度を見ると、「ほぼ毎日」清涼飲料水を摂取する者の割合は2割弱で、「週に1回以上」にまで範囲を広げるとその割合は全体の6割弱であった(図2)。砂糖の摂取頻度では、4割弱が「ほぼ毎日」とし(図2:参考)、チョコレートと同様に清涼飲料水の摂取頻度は砂糖ほどではないことがうかがえる。また、1割弱が「全く使用/食しない」とし、砂糖やチョコレートと比較して高い回答割合であることが注目される。

 各国の清涼飲料水の摂取頻度を見ると、「ほぼ毎日」清涼飲料水を摂取する者の割合は、砂糖消費量世界第4位の米国(順位はLMC International「Quarterly Statistical Update, September 2022」による。詳細は、https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002787.htmlを参照されたい。以下同じ。)で3割を超え、週3〜4回まで範囲を広げると5割弱と他国よりも割合が高くなった。ただし、「週に1回以上」まで範囲を広げると、米国の他に砂糖消費量世界第3位の中国や同第1位のインド、同第6位のインドネシアでも6割強〜7割強となり、米国を上回った。特に中国では「ほぼ毎日」摂取する割合が1割弱と低い一方で、「週に1〜2回」摂取する割合は3割強と最も高く、同国内での一定の需要がうかがえる。また、「全く使用/食しない」を見ると、日本や豪州では2割弱、米国やフランスでは1割強が回答し、特に米国では比較的多く摂取する者が一定数存在するものと想定される一方で、「全く使用/食しない」とする層も一定の割合で存在することがうかがえた。

 年齢別に見ると、「ほぼ毎日」清涼飲料水を摂取するとした者の割合は、「週に1回以上」の摂取で30〜39歳がもっとも高く、次いで18〜29歳が高かった(図3)。一方で40代以降は漸減し、砂糖およびチョコレートの摂取頻度と同様に、年齢に比例してその割合が低下する傾向にあり、60歳以上の4割強が「月に1回」以下の摂食頻度、そのうち2割弱が「全く使用/食しない」とした。

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(2)健康志向の度合い別の清涼飲料水の摂取頻度
 健康志向の度合い(健康であるために行動を起こしている)別に清涼飲料水の摂取頻度を見ると、「週に1回以上」摂取する者は、健康志向の度合いが高い消費者ほど高い傾向にあり、「非常にあてはまる」とした者では2割強が「ほぼ毎日」摂取する結果となった(図4、図4:参考)。一方で、回答者数を考慮する必要はあるものの、健康志向の度合いが低い層でも「ほぼ毎日」摂取する者の割合が高くなる傾向にあり、チョコレートと同様に健康志向の度合いが異なる層での相似性が見られた。また、「どちらともいえない」層については、「全く使用/食しない」とした割合がもっとも高く、「どちらともいえない」層を境に摂取頻度が増加傾向にあることは興味深い。

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3 コロナ禍での清涼飲料水摂取量の変化

(1)新型コロナウイルス感染症流行前後の変化
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前後における清涼飲料水の摂取量の変化について世界全体で見ると、5割強が「変化はない」とし、また、3割弱は「かなり増えた・やや増えた」となり「かなり減った・やや減った」を上回った(図5)。

 国別に見ると、多くの国で3割から6割が「変化はない」としたが、日本は8割強と際立つ結果となった。また「変化はない」を除くと、日本を除く7カ国で「かなり増えた・やや増えた」が「かなり減った・やや減った」を上回った。日本では、糖分を含まないお茶などの非甘味飲料の摂取も日常的に多いことから、日本の消費者は甘味飲料と同等に非甘味飲料に対する意識も高いことがうかがえる。

 年齢別に見ても、すべての年齢層で「変化はない」がもっとも多く、年齢が上がるにつれて「変化はない」の傾向が強まるとともに、「かなり増えた・やや増えた」が低くなる傾向にあった。また、「変化はない」を除くと40代以下では「かなり増えた・やや増えた」が「かなり減った・やや減った」を上回る一方で、50代以上では下回った(図6)。
 

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(2)コロナ禍での増減理由
 「かなり増えた・やや増えた」とした者の増加理由を見ると、「在宅時間が増加し、家で食事などをする機会が増えたから」とした者は、インドを除く7カ国で最も多かった(表1)。また、「外出や行楽の機会が減った代わりに、娯楽として甘いものを摂取する機会が増えたから」とした者は、中国とインドを除く6カ国で2番目に多かった。さらに、「生活習慣の変化により、手軽に摂取できる食品に魅力を感じるようになったから」は、中国、フランスおよびインドを除く5カ国で3番目に多く、これら3項目が増加の主要因として捉えることができる(注8)

 一方、「かなり減った・やや減った」とした者の減少理由を見ると、すべての国で「以前より健康に気を使うようになったから」とした者が最も多かった。また、「生活習慣の変化により、嗜好性が変わったから」は、中国とインドネシアを除く6カ国で2番目に多かった。

 これらの結果から、チョコレートと同様に、世界的に健康志向が高まる中で、在宅時間の増加や外出機会の減少に伴い、手軽に摂取できる食品への需要の高まりや消費者の志向変化の動きを確認できた。

 一方で、コロナ禍における行動制限や制約などの環境変化は、健康意識や嗜好性などに影響を与え、その一部が摂取量の減少として表れたものと推察される。

(注8)インドでは「収入が増えたから」とした者がもっとも多い結果となったが、これは、砂糖およびチョコレートでの調査でも同様であり、調査期間(令和4年2〜3月)を鑑みると、2021年度のインドの景気回復(実質GDP成長率8.7%〈前年比15.3ポイント増〉)が背景にあるとも想定される(出所:IMF〈ジェトロ調べ〉https://www.jetro.go.jp/world/asia/in/basic_01.html)。
 

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4 清涼飲料水摂取量の今後の見通し

(1)清涼飲料水摂取量の変化
 今後の清涼飲料水摂取量がどの程度変化するかについて見ると、世界全体では、5割強が「変化はない」とする中、3割弱は「かなり減る・やや減る」とし、「かなり増える・やや増える」を上回った(図7)。

 国別で見ると、日本では図5と同様に8割強が「変化はない」とし、その割合は8カ国の中で最も高かった。また、「変化はない」が3割台であるブラジル、インドおよびインドネシアで比較すると、ブラジルやインドネシアでは「かなり減る・やや減る」が4割台を占めた一方で、インドでは「かなり増える・やや増える」が4割強と高く、国により異なる結果となった。なお、「変化はない」を除くと、インド以外の7カ国で「かなり減る・やや減る」が「かなり増える・やや増える」を上回り、清涼飲料水の需要の弱さがうかがえた。

 年齢別に見ても、「変化はない」を除くとすべての年齢層で「かなり減る・やや減る」が「かなり増える・やや増える」を上回り、図6と同様に世代間で軽微なばらつきはあるものの、年齢が高くなるにつれ「かなり増える・やや増える」の割合が低くなる傾向にあった(図8)。
 

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(2)今後の見通しにおける増減理由
 「かなり増える・やや増える」とした者の今後の増加理由を見ると、インドを除く7カ国で「おいしいから」が最も多く、次いで「手軽にエネルギーや栄養を補給できるから」が多く挙げられた(表2)。なお、インドではチョコレートの調査でも「調理に利用するため」が首位になるなど、調理に関連する回答が上位となっている点が興味深い。

 一方で、「かなり減る・やや減る」とした者の今後の減少理由を見ると、すべての国で「病気や肥満の原因になりそうだから」が最も多く、次いで日本とフランスを除く6カ国で「安全ではなさそうだから」が多かった。

 これらの結果から、今後増加するとした層では、砂糖のおいしさを適切に評価していることが再確認されたとともに、コロナ禍での増減理由と同様、手軽に摂取できる食品への一定の評価がうかがえる。一方で、今後減少する層においては、砂糖に対する健康や、安全にまつわる科学的根拠に乏しい情報や俗説を背景とした減少見通しが全体の3割に及んでいる。このため、砂糖の多様な機能や正しい摂取のあり方など、正確な知識の伝達と啓発に対するさらなる取り組みが、世界的な課題であることが改めて浮き彫りとなった。

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5 その他甘味料を使用した清涼飲料水の摂取状況と消費者の印象

 砂糖を含む甘味料(注9)には多くの種類があり、広く流通しているが、近年、消費者の低カロリー志向により、清涼飲料水を中心に「カロリーゼロ」「カロリーオフ」といった、カロリーを抑えた製品の需要が世界的に増加している。これらの製品ではその他甘味料が多く使用され、砂糖の代替利用以外に健康的機能についても評価されている(注10)

(注9) 本稿においては、以後、特に断りがない限り、砂糖以外の甘味料を「その他甘味料」と表記する。
(注10)その他甘味料には、天然物由来または合成原料由来の甘味料があり、これらには砂糖の数百倍の甘味度を有する物も存在する。砂糖に比べ少量で甘味を確保できることから、カロリー摂取の抑制が図られるほか、低う蝕性(虫歯になりにくい性質)や腸内環境(細菌バランス)の改善などの機能が認められている。詳細は『砂糖類情報』2007年7月「砂糖以外の甘味料について」(https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm)を参照されたい。


(1)その他甘味料を使用した清涼飲料水の摂取状況
 摂取状況については、6割弱が肯定的で、2割弱が「普段よく飲んでいて、今後も飲み続ける」とし、3割強が否定的であった(図9)。

 国別に見ると、砂糖の生産量および輸出量の最大国であるブラジルでは、「飲んだことがない」とした者が3割強と他7カ国と比較して高く興味深い。また、中国では8割弱が摂取に肯定的であり、砂糖の消費大国である同国内でのその他甘味料の需要の高さが注目される。日本は3割強が「分からない」と8カ国の中で最も高く、砂糖やチョコレートの調査結果と同様に、食品に対する一定の信頼を背景とした食品への関心や意識の低さがうかがえる結果となった。

 年齢別に見ると、年齢が高いほど「飲んだことがなく、飲みたいと思わない」とする割合が高く、50歳以上では4割弱が摂取に対し消極的であった(図10)。

 

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(2)その他甘味料を使用した清涼飲料水の印象(おいしさ)
 砂糖使用の清涼飲料水よりおいしいか否かについては、4割強が肯定的とし、3割強が否定的であった(図11)。

 国別に見ると、インドでは5割弱が「非常にそう思う」とし、他7カ国と比較して非常に際立つ結果となった。また、図9で8割弱が摂取に肯定的であった中国では6割強が肯定的な回答とした一方で、3割強が「飲んだことがない」としたブラジルでは、6割弱が否定的な回答とするなど、国により考え方に差が見られた。また、豪州、ブラジル、フランスおよび米国では、「全くそう思わない」とした者が1割を超え、いずれの国でも「非常にそう思う」を上回った。また、日本は、「どちらともいえない」とした割合が過半を占め、他7カ国と比較して高かった。

 年齢別に見ると、年齢が上がるにつれ肯定的な回答が減り、否定的な回答が増える傾向にあるが、50代と60代以上では逆転した(図12)。

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(3)その他甘味料を使用した清涼飲料水の印象(低カロリー)
 砂糖使用の清涼飲料水より低カロリーと思うか否かについては、7割弱が肯定的であり、図11との比較において、その他甘味料に対し、おいしさよりもカロリーの低さを評価していることがうかがえる結果となった(図13)。

 国別に見ると、ブラジルやインドでは7割以上が「非常にそう思う・かなりそう思う・そう思う」とし、他5カ国と比較して突出していた。特にインドでは、図11の通りおいしさでも高い評価を示したことから、砂糖消費量世界第1位である「インド」市場として見た場合、その他甘味料の今後のすう勢が注目される。また、日本は5割弱が低カロリーと捉える一方で、他7カ国と比較して高い4割強が「どちらともいえない」とし、日本の消費者における食品のカロリーに対する知識や理解の片鱗がうかがえる結果となった。

 年齢別に見ると、30代で肯定的な回答が多いものの、年齢的な差はあまり見られなかった(図14)。

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(4)その他甘味料を使用した清涼飲料水の印象(天然物由来のその他甘味料は安全である)
 天然物由来のその他甘味料の安全性については、7割弱が肯定的に捉えていた(図15)。

 国別に見ると、おいしさと低カロリーに対し評価の高いインドでは9割強が、また、ブラジルや中国でも8割程度が肯定的だった。一方で、チョコレートの調査でオーガニック認証に一定の評価を示したフランスでは2割強が否定的であり、他7カ国と比較して天然物由来の甘味料に対する厳しい評価が確認された。また、日本は5割弱が「どちらともいえない」としており、食品の安全性に対する慎重な消費者の姿勢がうかがえる結果となった。

 年齢別に見ると、上述の低カロリー評価と同様に、30代で最も肯定的な回答が多かったが、結果として年齢的な差はあまり見られなかった(図16)。

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(5)その他甘味料を使用した清涼飲料水の印象(合成原料由来のその他甘味料は安全である)
 合成原料由来のその他甘味料の安全性については、図15や図16の結果とは異なり、肯定的に捉える回答は全体の4割強にとどまった(図17)。

 国別に見ると、天然物由来に対し評価の高いインドでは7割弱、同様に中国では5割強が肯定的であり、天然物由来と比較して減少したが同様の傾向を示した。両国においては、図9、図11、図13および図15を通して見ると、その他甘味料を砂糖の代替とすることに抵抗感が比較的少なく、生活へ溶け込んでいるものと推察される。一方で、ブラジルでは肯定的な回答が3割強にとどまり、4割強が否定的に捉える結果となった。また、フランスでも4割強が否定的であり、その1割強が「全くそう思わない」とし、天然物由来との明確な差異が確認された。日本は5割強が「どちらともいえない」とし、図15と同様の傾向から、原料の由来にかかわらずその他甘味料の安全性に対して慎重であることが分かった。

 年齢別に見ると、年齢が高いほど肯定的な回答が減り、否定的な回答が増える傾向にあるが、50代と60代以上では回答が逆転した(図18)。
 

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おわりに

 本報告では世界各国の糖類を含む清涼飲料水の消費動向などを取り上げたが、前号のチョコレートと同様に砂糖ほど多くの摂取頻度は見られなかったものの、国や年齢、健康志向別に回答の傾向が異なることが分かった。

 COVID-19の流行を経て清涼飲料水の摂取量が増加したとする国も見られたが、今後の見通しとして摂取量はおおむね変わらない傾向にあり、チョコレートと同様に減少するとした回答が増加するを上回る結果となった。その他甘味料を使用した清涼飲料水の摂取状況では、全体として肯定的な意見も多い一方で、否定的な回答も見られた。また、各国で差があり、図9のとおり、世界最大の砂糖生産国であるブラジルでは、3割強に摂取経験がない一方、砂糖の消費大国である中国では8割弱が摂取について肯定的となった。その他甘味料を使用した清涼飲料水の印象(おいしさ、低カロリー)では、全体として、砂糖より低カロリーであると認識するものの、おいしさについては否定的な回答もあり、国によっても意見が異なった。その他甘味料の安全性については、天然物由来では7割弱が肯定的に捉えている一方で、合成原料由来では肯定的な意見が4割強まで減少した。砂糖と比較して低カロリーであることにその他甘味料の需要はあるものの、おいしさや安全性については慎重な意見もあることから、その他甘味料の動向は、今後砂糖の需給を見通す際に、引き続き留意すべき事項であると考える。

 これまで3稿にわたり、アンケート調査の結果を通して世界各国における砂糖に関する消費動向および購買志向を見てきた。 今日、砂糖消費の世界的な増加傾向に歯止めがかかると見込まれる中、砂糖や甘味商品の摂取の見通しは、アンケート全体を通して大半は変化がないとされるも、その傾向や程度は国や年齢などにより異なり、一部の国では増加が見込まれることが確認できた。また、砂糖をはじめ甘味商品に対する評価は全般的に高く、消費者における一定のニーズの存在は確認できたものの、安全性などの側面を中心に、正しい情報や知識について、日本を含めた世界的な啓発活動の重要性を再確認することができた。併せて、今般、世界的に消費者の健康意識やSDGsへの関心が高まり、COVID-19の流行を経て、消費者の生活や志向の変化に注目が集まる中、変化の状況や程度などについて調査・分析をすることの重要性も、今回の調査を通じ確認することができた。今後もこのような調査を通じ、消費者が求める砂糖や砂糖を含む商品への在り方や価値観などの多様化の具体的な姿を的確に把握することは、砂糖関連企業・団体などにおいて、ますます重要となることが考えられる。当機構においても、世界における砂糖の需給動向を把握するに当たり、今後も引き続き、砂糖を含めた甘味料事情を巡る情勢について併せて調査していきたい。

 (参考1)回答者の属性

 本調査の回答者に係る属性は以下の通り。

 なお、8カ国全体の平均的な属性を見ると、世帯構成では18歳以下の子供がいる世帯が5割弱であり(参考−図1)、就業状況では会社勤務が4割弱、無職が1割強である(参考−図2)。回答者の5割弱が世帯用食品の購入に10割の関与を有している(参考−図3)。世帯月収は5万円以上50万円未満の層が6割弱であり(参考−図4)、居住地域は都市部が7割弱を占める(参考−図5)。8割強が一定程度健康への関心を持ち(参考−図6)、6割強が一日当たり1時間以上、体を動かし(参考−図7)、8割弱が週に1回以上運動する(参考−図8)。食事や食品を購入する際の優先項目は栄養、味、価格および安全の4項目で7割強を占める(参考−図9)。

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 (参考2)回答者の甘味商品の嗜好性

 甘味商品の嗜好性の高さについて国別に見ると、甘いものが好きで、甘さをおいしいと感じると回答をした消費者の割合はすべての国で8割を超えた(参考−図10)。特にインドでは、約5割が「甘いものが非常に好きで、甘さが強いものほどおいしい」と回答し、8カ国の中で最も高い割合となった。日本は「甘いものがかなり好きで、甘いものはたいていおいしい」の回答数が最も多く、全体の約4割を占めた。

 年齢別に見ると、30代の消費者が甘味商品を最も好み、40代以降は徐々に甘いものに対し控えめな回答をする割合が増加する傾向にあった(参考−図11)。また、日常的な運動量(立つ、歩くなど)が多い消費者や、運動の実施頻度が高い消費者ほど、甘味商品を好む傾向がみられ、運動量の多寡や運動に取り組む姿勢と甘味消費との間には、正の相関があると考えられる(参考−図12、13)。

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272