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4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年12月時点予測)

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最終更新日:2023年1月10日

4. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2022年12月時点予測)

2023年1月



2022/23年度の砂糖生産量はやや、輸出量はかなりの程度増加する見込み
 2022/23年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、前年度の不作による苗不足から852万ヘクタール(前年度比1.8%減)とわずかに減少すると見込まれる(表2)。一方でサトウキビ生産量は、中南部地域が平年より乾燥した後、9月以降は降雨が続いて収穫作業が遅れたものの、その他の地域ではサトウキビの生育に良好な条件が続いたことから6億400万トン(同4.7%増)とやや増加すると見込まれる。砂糖生産量は、7月から相次ぐガソリンの卸売価格引き下げを受けて、相対的に同国内でのバイオエタノール需要が減少したことや、サトウキビの収穫の遅延により、砂糖仕向けの増加が見込まれることから3948万トン(同4.9%増)とやや増加すると見込まれる。輸出量も砂糖への仕向け増を背景に2898万トン(同7.0%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。

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2022/23年度の砂糖生産量は横ばい、輸出量は大幅に減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、前年が豊作だったことに加えサトウキビ価格の上昇によりさらに拡大するとの予測から、546万ヘクタール(前年度比5.7%増)とやや増加すると見込まれる(表3)。主産地のマハラシュトラ州やカルナータカ州では雨季の雨量が平年を大きく上回っているものの、生育は順調でありサトウキビ生産量は4億6875万トン(同5.3%増)とやや増加すると見込まれる。一方で、砂糖生産量は、最大生産地ウッタル・プラデーシュ州では雨季の雨量が平年を下回り減産が懸念されたものの、10月以降に続いた降雨に後押しされ、3858万トン(同0.1%減)と横ばいで推移すると見込まれる。輸出量は、926万トン(同25.8%減)と大幅な減少が見込まれる。なお、同国政府は11月上旬に22/23年度の砂糖輸出枠を600万トンと発表したが、前年度と同程度の生産量が予測されており、輸出枠の追加承認が想定されるため、政府発表と見通しに差異が生じている。

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2022/23年度の砂糖生産量はやや増加し、輸入量はかなりの程度減少する見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、113万ヘクタール(前年度比1.0%増)とわずかに増加すると見込まれる(表4)。サトウキビ生産量は、主産地の広西チワン族自治区の一部で熱波の被害を受けたものの、その他の地域での被害は軽微であったことから、7185万トン(同0.4%減)とわずかな減少にとどまると予想される。一方で、同年度のてん菜の収穫面積は、トウモロコシ価格の高騰を背景に政府が3月に穀物の増産を呼びかけたことから、穀物などの他作物への転作が増加したものの、14万ヘクタール(前年度同)と見込まれる。てん菜生産量は、順調な生育により748万トン(前年度比5.9%増)とやや増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビ主産地の広西チワン族自治区で8月中旬から高温や乾燥が続いていたが、これまでの降水量が平年よりかなり多く、順調に生育していることから、1064万トン(同3.0%増)とやや増加すると見込まれる。輸入量は、2020年に引き続き21年も国内生産の不足分を上回る量が輸入され、国内在庫が積み増しされている中で、前月予測から砂糖の増産幅が拡大したことなどを受けて、669万トン(同6.2%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。

雲南省でサトウキビの新品種を発表
 11月18日に雲南省農業科学院サトウキビ研究所は、サトウキビの新品種に関する成果発表会を開催し、同所が独自に選抜・育成し、今後のサトウキビ生産を支えると期待される2品種(云蔗0551、云蔗081609)が発表された。

  云蔗0551は干ばつに強い高収量品種で、雲南省での栽培実証では、主要地域で高収量性が確認され、平均収量は1ムー(注1)当たり7.67トンを記録し、対照品種である新台糖22号より13.13%多い結果となった。

 また、云蔗081609は、現状、中国で最も甘いサトウキビ品種とされ、栽培実証ではショ糖含有率は最大で20.3%と、新台糖22号より2〜3%程度高い結果が確認された。また、茎が太く、収量が非常に多いという特徴を併せ持つ品種であり、モザイク病やさび病などの主要病害に対する強さも確認された。さらに、同種は株出し栽培にも強みがあり、5年目の株出しの収量は1ムー当たり8.1トンを記録した。

 同省は中国第2位の砂糖生産地であり、砂糖生産量は同国の2割以上を占めている(注2)。同省は、「雲南省農業近代化3年行動計画(2022−2024年)」を公表し、その中で砂糖産業を主要産業に指定している。今後は、良質な品種の普及と産業全体の発展を目指しており、2024年までにサトウキビの栽培面積を約350万ムー、サトウキビ生産量を1700万トンおよび砂糖生産量を250万トンとする目標を設定している。

(注1)1ムー=0.0667ヘクタール。中国のサトウキビの平均単収は、1ヘクタール当たり67.8トン(2020/21年度)。詳細については2022年6月23日付海外情報「中国農業展望報告(2022−2031)を発表(砂糖編)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003284.htmlを参照されたい。
(注2)同国第1位の砂糖生産地域は広西チワン族自治区であり、砂糖生産量は同国の6割弱を占める。詳細については2022年6月29日付海外情報「広西チワン族自治区でサトウキビ生産者向けの新保険制度を開始(中国)」https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003286.htmlを参照されたい。

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2022/23年度の輸出量は、初めて100万トン割れの見込み
 2022/23年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は、収益性が高く、価格が高騰しているトウモロコシなどの穀物への転作が進んだことなどから、140万ヘクタール(前年度比3.8%減)とやや減少すると見込まれる(表5)。てん菜生産量は、今夏の記録的な熱波や干ばつの影響、収穫面積の減少、肥料価格高騰による施肥の減少などから収量が平年を下回るものと見込まれ、9962万トン(同10.7%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。砂糖生産量は、てん菜の減産見込みを受けて1576万トン(同8.3%減)とかなりの程度減少すると予想される。輸出量は、砂糖の減産などを背景に99万トン(同23.5%減)と大幅に減少すると見込まれる。

てん菜パルプ由来の原料を利用したジェット燃料の販売を検討(フランス)
 12月7日付現地報道によると、フランスのバイオマス関連企業は民間航空機によるCO2排出量を削減するため、てん菜パルプ由来の原料を利用したジェット燃料の販売を検討している。同燃料はてん菜パルプを発酵させる工程で得られるイソブデンを原料として製造され、試験的な導入では混合比3%が上限であるが、将来的には最大で50%の置き換えを目指している。

 同社は大手化粧品メーカーの子会社で、従来、イソブデンは化粧品の材料としても高い需要があるが、同社は特許を取得しているてん菜パルプの発酵技術で得られるイソブデンの活用を模索していた。

 欧州では、「持続可能な航空燃料(SAF)」の導入に向けた動きが活発で、化石燃料よりコストは高いものの、フランスのほか、デンマークやスウェーデンでもSAFの導入が進められている。

 現在、同社ではイソブデンの増産に向け、工場の増設を進めており、今後は生産の軸足をジェット燃料にシフトしたいと考えている。当初、新設工場の生産量は年間100トン規模としていたが、25年までに年間2000トン、35年までに年間3万トンにまで拡張する計画があり、これらの工場はてん菜精糖工場に隣接して建設される予定である。

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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