

ホーム > 砂糖 > 砂糖の国際需給・需給レポート > 3 世界の砂糖需給に影響する各国の動向(2025年11月時点予測)
最終更新日:2025年12月10日

2025/26年度の砂糖生産量および輸出量はわずかな減少を見込む
2025/26年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、1〜3月の降水量が平均を下回ったことや圃場の更新により、874万ヘクタール(前年度比1.2%減)とわずかな減少が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、前年度の火災の影響のほか、年初からの干ばつ傾向に加え、6月と7月に中南部で局所的に発生した霜害などにより、単収が前年度を下回るとの見通しから、6億4850万トン(同4.4%減)とやや減少が見込まれている。
砂糖生産量は、世界の砂糖相場の下落とエタノール価格の上昇による砂糖の収益性の低下に加え、北部・北東部では降雨による生産遅延が発生していることから、4622万トン(同2.1%減)とわずかな減少が見込まれている。砂糖輸出量は、3547万トン(同2.0%減)とわずかな減少が見込まれているが、引き続き国際市場でのブラジル産砂糖に対する堅調な需要が見込まれている。現地報道によると、10月の砂糖輸出量は月間の輸出量としては過去最高の420万トンを達成した。



2025/26年度の砂糖生産量は大幅な増加見込み
2025/26年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、24年のモンスーンによる降雨がサトウキビの作付けに有利に働いたことから、527万ヘクタール(前年度比0.5%増)とわずかに増加が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、1)25年のモンスーンが収量向上に寄与したこと、2)マハラシュトラ州など一部地域で発生した洪水の影響が長期的なものではない−との推測から、4億3607万トン(同11.9%増)とかなり大きく増加が見込まれている。
砂糖生産量は、マハラシュトラ州など主要生産州でのサトウキビ増産により、3355万トン(同19.2%増)と大幅な増加が見込まれている。砂糖輸出量は、345万トン(同15.1%減)とかなり大きく減少が見込まれている。同国政府は11月14日に25/26年度分として150万トンの砂糖輸出を許可したものの、業界関係者からは、世界の砂糖相場が下落し、国内価格よりも低い状況では、すぐに輸出が開始されることはないという声も上がってい
る(注)。
(注)詳細については、2025年11月26日付け海外情報「インド政府が150万トンの砂糖輸出を許可(インド)」<https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004240.html>をご参照ください。



2025/26年度の砂糖輸入量はかなり大きく減少する見込み
2025/26年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、123万ヘクタール(前年度比4.2%増)とやや増加が見込まれている(表)。サトウキビ生産量は、主産地で多雨が懸念されているものの、サトウキビの生育は良好とされ、7949万トン(同8.1%増)とかなりの程度増加が見込まれている。
てん菜収穫面積は、前年度の記録的増加からやや落ち着きを見せ、21万ヘクタール(同2.8%減)とわずかな減少が見込まれている。てん菜生産量は、内モンゴル自治区での豪雨と降雪による収穫遅延が糖分低下につながる恐れがあることから、1098万トン(同18.4%減)と大幅な減少が見込まれている。
砂糖生産量は、サトウキビ増産をてん菜の減産が打ち消すことで1209万トン(同0.2%増)と前年同月並みが見込まれている。砂糖輸入量は、引き続き国内の需給ギャップを埋めるために一定の輸入が予想されるが、国内生産の改善見通しから、561万トン(同14.0%減)とかなり大きく減少が見込まれている。しかし、世界の砂糖相場が下落し、国内産と関税割当枠外で輸入される砂糖との価格差が縮小する中、9月の粗糖輸入量は、52万トン(前年同月比37.8%増)と大幅に増加した。



2025/26年度の砂糖輸入量は大幅な増加見込み
2025/26年度(10月〜翌9月)のてん菜収穫面積は、生産量上位国であるフランス、ドイツ、ポーランドを中心に各国で減少が見込まれることから、141万ヘクタール(前年度比10.4%減)とかなりの程度減少が見込まれている(表)。てん菜生産量は、フランスが単収の向上、ドイツが糖度の改善をそれぞれ見込んでいるものの、作付面積の減少により、1億1230万トン(同3.6%減)とやや減少が見込まれている。
砂糖生産量は、てん菜生産量の減少を背景に1703万トン(同1.6%減)とわずかな減少が見込まれている。砂糖輸入量は、EU域内の砂糖価格が下落する中、依然として無税枠を利用した砂糖輸入が可能な状況にあり、精製糖企業による相当量の輸入契約が既に締結されていることが明らかになったことから、188万トン(同27.9%増)と大幅な増加が見込まれている。

