砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 機構から > 令和7年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要

令和7年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要

印刷ページ

最終更新日:2026年2月10日

令和7年度さとうきび・甘蔗糖関係検討会の概要

2026年2月

鹿児島事務所、那覇事務所

はじめに

 当機構では、鹿児島・沖縄両県のサトウキビ生産・糖業関係者が一堂に会し、サトウキビおよび甘蔗糖(かん しゃ とう)を巡る最近の話題や情報を共有するとともに、それぞれの現場で抱える諸課題に対する取り組みについて検討していくことを目的に、「さとうきび・甘蔗糖関係検討会」(以下「検討会」という)を開催している。

 令和7年11月6日、徳之島町文化会館(鹿児島県徳之島町)において第21回目となる検討会を開催し、鹿児島県および沖縄県を中心に、生産者、生産者団体、製糖企業、行政機関、試験研究機関、農機具メーカーなど総勢170人にご参加いただいた。今回は、「さとうきび・甘蔗糖生産の拡大に向けた創意工夫」をテーマとして、サトウキビ・甘蔗糖生産の拡大に向けた栽培技術、作業の合理化・省力化および労働生産性の向上などについて7人の専門家や生産者の方からご講演をいただいたので、その概要を報告する。

1 砂糖をめぐる現状と課題について

 農林水産省農産局地域作物課課長補佐の松下雄哉氏より「砂糖をめぐる現状と課題について」をテーマに、砂糖の需給と糖価調整制度の概要、サトウキビの生産動向、令和8年度予算概算要求の概要、スマート農業技術活用促進法に基づくスマート農業技術を活用して生産性向上に取り組む農業者などへの新たな支援制度と沖縄県での認定事例などについて説明があった(写真1)。
 
1

2 基調講演

 基調講演では、沖縄農業技術開発株式会社技術開発部長兼土壌医の宮丸直子氏から、「サトウキビ安定多収の土づくり〜元気な畑で元気なキビ!〜」と題して発表いただいた。1970年以降の単収の推移から、水稲や小麦に比べてサトウキビの単収が向上していない要因を分析し、サトウキビの安定多収への第一歩は「土づくり」であるとした。そして、作物の生育に一番影響する土壌の性質が、一般的に化学性や生物性よりも物理性であるとされることから、サトウキビの単収増加のカギとしては、土の硬さ、作土層の厚さ、排水性や保水性などが重要だと説明した。その上で、沖縄県の北大東島の取り組み事例を紹介し、サトウキビ単収に影響する土壌要因の解析結果から、作土深と可給態窒素(注)量が単収へ影響することが分かったという。この結果を基に、可給態窒素を増やすには有機物の施用が効果的であり、具体例として緑肥や糖蜜の活用が有効だと分かりやすく解説いただいた。参加者からは大変参考になったと好評を博し、講演後には、活発な質疑応答が行われた(写真2、図)。

 (注)可給態窒素とは、土壌そのものから作物に供給される窒素のことであり、地力窒素とも言われている。具体的には、土壌の微生物活動(有機物分解や菌体の繁殖など)に伴い、土壌中で発生する窒素である。サトウキビが吸収する窒素のおよそ半分は化学肥料由来であるが、残り半分は可給態窒素のような化学肥料由来以外のものが占めると考えられている。そのため、可給態窒素の維持・向上は、化学肥料の窒素施用と同等にサトウキビ生育にとって不可欠である1)

 










 

 

2

3 テーマに関する取り組み報告

 第一線で活躍している生産者および企業から、今回の検討会のテーマに沿って、いかにサトウキビの単収向上を図っていくかという視点に加えて、作業の合理化・省力化のために、機械化や有機資材などを効率的に導入するほか、栽培管理や栽培体系を工夫するなどの方策による規模拡大を図っていく視点も交えながら、具体的で、実現可能性のある解決策や、そのヒントについて講演いただいた(表、写真3、4)。







 
3

4 研究成果発表など

 サトウキビに関する最近の研究成果や砂糖の国際需給について、以下の2者より発表いただいた(写真5)。

 (1)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
種子島研究拠点 カンショ・サトウキビ育種グループ グループ長補佐 樽本 祐助
「『茎数型サトウキビ品種の活用の手引き』の紹介」

 (2)独立行政法人農畜産業振興機構 調査情報部 国際調査グループ
「砂糖の国際需給(主要国のサトウキビ生産を中心に)」
 
4

5 現地視察

 検討会の翌日(11月7日)は、検討会の参加者を対象に、サトウキビ生産に対する理解をより一層深めてもらうため、以下の通り現地視察を実施した。

 実証圃場に出向き、実際にサトウキビや作業機械の実物を見ながら説明を聞くことができたため、参加者からは、「とても有意義だった」、「リアルな現場を知ることができて勉強になった」、「地元の生産者にも展示されていた農業機械を見る機会を作りたい」など好意的な意見・声が数多く寄せられた(写真6)。

 (1)参加人数 約120人

 (2)視察先
 ア 鹿児島県農業開発総合センター(鹿児島県大島郡伊仙町)

 ・同センター徳之島支場(実証圃場、研究内容の紹介)
 ・有限会社大竹興産(ビレットプランター、すき込み施肥機の紹介)
 ・ヤンマーアグリ株式会社(部分深耕機の紹介)
 ・EFポリマー株式会社(吸水性ポリマーを施用したサトウキビ実証圃場の紹介)

 イ サトウキビ生産圃場(同天城町)

 ・株式会社仲農産(サトウキビ圃場、作業機械の紹介)
 
5

おわりに

 検討会終了後、アンケートを行った結果、講演内容について「大変参考になった」および「ある程度参考になった」を合わせると、99%の回答者が参考になったと回答した。

 これもひとえに、ご登壇いただいた講演者の皆さまをはじめ、今回の検討会の開催に当たり、ご協力いただいた鹿児島県、沖縄県の関係者の皆さま、開催地の徳之島さとうきび生産対策本部(徳之島町役場、天城町役場、伊仙町役場、JAあまみ鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場、鹿児島県大島支庁徳之島事務所、南西糖業株式会社など)のご支援とお力添えの賜物と心より感謝申し上げます。
【参考文献】
 1)吉田晃一(2025)「糖蜜施用がサトウキビの生育・収量および土壌化学性に及ぼす影響」
  『砂糖類・でん粉情報』10月号、独立行政法人農畜産業振興機構
  https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_003422.html

 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8678