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知っていますか?でん粉の利用

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最終更新日:2013年2月18日

でん粉とは?

 でん粉は、炭水化物の一種で、一般的には、植物が光合成を行って生産し、種子、茎、根に蓄えたものを抽出したものです。

 でん粉は、主に、とうもろこし、ばれいしょ(じゃがいも)、かんしょ(さつまいも)、キャッサバ、サゴ椰子、えんどう豆、緑豆、小麦、葛などから生産されます。

でん粉の利用

 日本では、古くから葛や片栗から抽出したでん粉を「もち」にして食用として利用されてきました。
 現在でも、でん粉は、そのまま利用したり、酸又は酵素で加水分解して糖にしたり(糖化)、でん粉本来の物理的性状を改善するため加工処理(化工)することにより、様々な食品に利用されています。

 最も利用が多いのは、異性化糖、水あめ、ぶどう糖といった糖化製品の製造です。これらの製品は、清涼飲料水、調味料、パン、キャンディ、菓子類、酒類などに使用されます。

 でん粉をそのまま利用する場合は、春雨や片栗粉の原料、ビールの発酵原料となるほか、かまぼこやちくわなどの水産練製品に加えられ、その独特な弾力感や中華麺のコシを持たせる役割を果たします。
でん粉の利用例
 化工でん粉は、天然のでん粉が加熱を続けると粘りがなくなってくることや、冷蔵保存中に硬くなる(「老化」といいます)といった欠点を改善するため開発されました。食品に使用される場合、弾力感やコシなどの特性を持続させるため、インスタント食品や冷凍食品などにも利用されています。

 また、食品以外にも、紙を強くするための繊維の接着や表面のコーティング、錠剤の嵩 増しや結合・溶解などにも利用されています。このように、でん粉は私たちの生活に欠かせません。

でん粉の国内需給量

 でん粉の需要量(消費量)は、ここ数年は270〜280万トン程度となっています。
でん粉の国内需要量の内訳(平成22でん粉年度)
 この需要に対する供給量の内訳をみると、輸入とうもろこしを原料として生産されたコーンスターチや輸入でん粉が9割を占めており、国内産でん粉は1割程度となっています。
でん粉の供給量の内訳(平成22でん粉年度)

地域を支える国内産でん粉

 国内産でん粉は、北海道で「ばれいしょでん粉」、鹿児島県で「かんしょでん粉」が生産されています。ばれいしょでん粉は、主に加工食品、糖化製品、片栗粉に、かんしょでん粉は主に糖化製品や加工食品に使用されています。

 北海道のばれいしょは、畑作地域の輪作体系上重要な作物となっています。宮崎県や鹿児島県は、火山灰土壌地帯で台風常襲地域であり、かんしょは、このような土壌・気候に適応した基幹作物として、地域の農業を支えています。

 また、これらを原料にでん粉に加工する地元のでん粉工場は、地域経済を支える重要な役割を担っています。しかし、国内産でん粉と安価な輸入でん粉や輸入とうもろこしを原料とするコーンスターチとの間には、大きな価格差があります。

 このため、alicでは、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、でん粉等の輸入者から調整金を徴収して内外価格差を調整するとともに、これを財源として、でん粉原料用いも生産者やいもでん粉製造業者への支援を行っています。
((財)消費科学センター「消費の道しるべ」(平成25年1月号)に掲載) 

(参考) 
 消費者コーナー(でん粉)
  日本のでん粉事情(パンフレット)
 でん粉のレシピ
 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196