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【業務関連情報】日本人とチーズ

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最終更新日:2013年6月28日

 いまや食卓に欠かせない食材となったチーズ。
 地域性や独自性を生かして付加価値を高められることから、近年、輸出も視野に入れた世界的競争力のある国産農産物として、6次産業化の目玉としても注目されています。
 今回は、チーズの歴史と食品としての魅力をご紹介します。

◆チーズの起源

 チーズの歴史は古く、旧約聖書やギリシャ神話などにチーズに関する記述が確認されていますが発祥地や起源は定かではありません。
 一説によると、アラビア商人が乾燥した山羊の胃袋を水筒として使用していた際にたまたま乳が固まりチーズの発見につながったといわれています。

◆仏教とともに伝わった乳製品

 日本で初めて乳製品が定着したのは孝明天皇の時代、七世紀ごろといわれています。
 仏教とともに伝来し、経典である涅槃経(ねはんきょう)には乳製品の加工度合に応じて「乳味(にゅうみ)・酪味(らくみ)・生酥(せいそ)・熟酥味(じゅくそみ)・醍醐味(だいごみ)」と称し、「五味」として仏教の教えに例えられています。
 最後にできる最高の美味、すなわち「醍醐」がチーズまたはバターオイルのようなものであったのではないかといわれています。
 最高の味を表す「醍醐」が二度も天皇の名前になったことに象徴されるように、僧侶や貴族のあいだで滋養強壮剤として重宝されていました。
 その後の武家社会では、農耕に役立つ牛馬を食すことを禁じる殺生思想が浸透し、食文化は米や魚を主食とする形態に移り変わっていきました。
 さらに、江戸時代には乳製品は薬として利用されるようになりました。

◆西欧型チーズの開発

 現在、わたしたちが目にするような西洋型チーズの生産が始まったのは明治に入ってからでした。
明治8年(1875年)北海道の七重勧業試験場で生産されたのが日本で最初の西洋型チーズでした。当時は「乾酪」と呼ばれていました。
 本格的に生産が始まったのは昭和初期に入ってからで、昭和9年〜11年にプロセスチーズが大量生産され販売が開始されました。
 その後、戦争の混乱のなかで生産が滞り、ようやく一般家庭に広まったのは戦後のこと。
 食生活の洋風化や生活水準の向上とともに消費量も増加し、1970年代のピザの普及、さらに1980年代のチーズケーキブームとともにナチュラルチーズの消費も多くなりました。
消費量

◆日本人のチーズ消費量は増加傾向

ギリシャサラダ
ギリシャサラダ
 世界で最もチーズの消費量が多い国はギリシャで年間1人当たり30・9kgものチーズを消費しています。これは日本の約15倍にあたります。
 ギリシャやトルコでは羊や山羊の乳を利用したチーズが多く、古代ギリシャでは神への捧げ物として盛んに生産されていました。
 ギリシャの代表的料理である“ ギリシャサラダ”はたっぷりの野菜にアンチョビ等の魚介類、オリーブオイル、そしてフェタチーズをトッピングした1品ですが、ビタミンCや食物繊維などチーズに少ない成分を野菜やフルーツで補える非常にバランスがよいメニューです。
 ギリシャの代表的チーズであるフェタチーズは日本の味噌のように各家庭で愛されています。
チーズの種類
 フランスには「1つの村に1つのチーズ」という言葉があります。
 日本の漬物のように土地の名前が付いたものも多く、例えば「カマンベール」というナチュラルチーズがありますが、これは村の名前が由来です。
 日本の漬物との共通点として、発酵食品であることも特徴のひとつです。
 日本人のチーズ消費量はヨーロッパ諸国と比較すると10分の一程度ですが、消費が伸び悩む牛乳に対して、チーズの消費量は年々、増加しています。
 特に近年、ナチュラルチーズの伸びが目立つようになりました。
消費量

◆吸収効率のよいチーズのカルシウム

 チーズは牛乳から水分を除いて固めたものですが、100gのチーズを作るのに約10〜14倍の牛乳が使用されます。チーズは牛乳の栄養をぎゅっと凝縮した食品です。
 また、乳糖が水分とともに除かれるため、牛乳を飲んだ時にお腹がゴロゴロする方でもチーズならその心配がありません。
 牛乳と比較して特に豊富なのがたんぱく質、カルシウム、ビタミンAとビタミンB2です。 カルシウムは体内で作られないことから食品から摂取することが必要です。
 チーズの場合、消化されやすい形に分解されたたんぱく質が補助の役目を果たすので、野菜や小魚などと比較して消化吸収がよいという特徴があります。
 特に女性の場合、女性ホルモンの急激な減少とともに、骨の密度が低くなり骨折等のリスクが大きくなる傾向にあります。
 最近は国産のナチュラルチーズも増え、選択肢も広がっています。
 カルシウムを上手に摂取するためにも、ほかの食材との相性も抜群なチーズをぜひ、食生活に取り入れましょう。
栄養

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