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砂糖の原料について〜てん菜〜 

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最終更新日:2014年11月21日

てん菜
てん菜

 砂糖の原料は何?と聞かれると、「さとうきび」と答える方が多いと思います。
 しかし、砂糖の原料は鹿児島県の南西諸島や沖縄で生産される「さとうきび」だけではありません。北海道で生産される「てん菜」(「ビート」、「さとう大根」とも呼ばれます。)という作物からも、砂糖は作られています。
 てん菜は、収穫後すぐに製糖工場に出荷されることから、一般の方にとって目にする機会が少ないので、日本の南の島の風景としてテレビ等で見る機会がある「さとうきび」ほど知られていないのかもしれません。 
 では、「てん菜」はどのような作物でしょうか。見た目はカブのような形をしています。「ヒユ科」に属しており、ホウレンソウの仲間です。寒冷な気候を好む植物であることから、日本では北海道で生産されています。GW前後に植付けされ、その年の10〜11月に収穫されます。

広大な北海道のてん菜畑
広大な北海道のてん菜畑

 「てん菜」と「さとうきび」では、糖分が含まれる部分も違っています。
「てん菜」はカブのように見える根から、砂糖が作られます。「さとうきび」は茎から砂糖を作ります。
「さとうきび」から作られた砂糖を「甘しゃ糖」、「てん菜」から作られた砂糖を「てん菜糖」と呼びます。

 てん菜から砂糖を作る工程は、まず、洗った根の部分を裁断機にかけ、コセット(ビート細片〜千切り大根のようなもの)を作り、温水に浸して糖分を抽出させます。この糖液を煮詰めてショ糖分の結晶を分離し、砂糖を作ります。てん菜1kgから約160gの砂糖が製造されます。

 さとうきびの場合、離島の製糖工場で粗糖として生産され、本州の精糖工場で海外から輸入された粗糖と共に精製されますが、てん菜の場合は、ほとんどが北海道で精製まで行われています。
 日本で平成24砂糖年度に供給された砂糖約202万tのうち日本で生産された国産の「てん菜糖」や「甘しゃ糖」は約68万3千t、自給率は約34%です。このうち約8割(約56万1千t)が「てん菜糖」です(残りの約12万2千tが「甘しゃ糖」です)

砂糖の国内供給量

 「てん菜」は、北海道において、豆類、ばれいしょ、小麦とともに「輪作作物」の一つになっています。
 これらの作物を順次作付する「輪作」によって、同じ作物を繰り返し栽培することで起こる収量の低下や病気になりやすいなどの連作障害を防ぐことが出来ます。
 昨年、北海道では約8千戸の生産者が約5万8千haで作付けし、約343万5千tの「てん菜」が生産されました。また、北海道に八つの製糖工場があり、関連産業を含め雇用の確保など地域経済に大きな役割を果たしており、てん菜は北海道農業の重要な基幹作物になっています。

 農畜産業振興機構では、砂糖が安定的に供給されるように「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、国内のさとうきび生産者、国内産てん菜糖及び甘しゃ糖の製糖工場の支援(交付金交付)を実施しています。なお、てん菜生産者に対する支援は、国において経営所得安定対策として実施していますが、農畜産業振興機構から国庫へ調整金の一部を納付し、政策支援の財源に充当しています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196