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肉用子牛を巡る最近の動向について

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最終更新日:2014年11月21日

はじめに

市場では1頭ずつセリにかけられます。
市場では1頭ずつセリにかけられます。
 寒い季節は、おでんや鍋もいいですが、すき焼きやしゃぶしゃぶはいかがでしょうか。
 すき焼きやしゃぶしゃぶに欠かせない牛肉を生産する肉用牛経営には、母牛(繁殖雌牛)を飼養し、子牛生産を行う繁殖経営と、その子牛を購入して成牛に育てて肉牛として出荷する肥育経営があります。これらの経営体を結びつける場所が、肉用子牛の取引市場です(図1)。市場には、繁殖経営者が生産し、約9か月齢前後まで育てた子牛が上場され、肥育経営者がこれを購入していきます。その後、肥育経営者が購入した子牛を20か月ほど肥育し、肉牛として出荷します。
 平成25年度は、全国で約42万頭の肉用子牛が市場で取引され、うち83%が黒毛和種です。

黒毛和種子牛の取引動向について

 黒毛和種子牛の取引頭数は、平成22年4月に宮崎県で発生した口蹄疫の影響で1割以上減少しましたが、その後、平成24年度までは回復傾向にありました。しかしながら、平成25年度は、前年度から約3%減少して35万1119頭となりました(図2)。

取引頭数減少の背景

 背景としては、全国的な繁殖雌牛の減少が挙げられます。繁殖経営の約70%は、繁殖雌牛の飼養頭数が10頭未満の小規模経営であり、年齢の高い生産者による経営が多くを占めています。高齢化や後継者不足から離農が進み、繁殖基盤が急激に縮小したことが、繁殖雌牛の飼養頭数の減少、ひいては、肉用子牛の取引頭数の減少につながったとみられます。他にも、平成23年3月の東日本大震災などによる離農増加も大きく影響を与えました。
 このような取引頭数の減少から、黒毛和種子牛の平成25年度の平均取引価格は、前年度比20%高の50万3407円(雌雄平均。以下同様)となり、機構が肉用子牛の取引情報の収集を開始した平成2年度以降では、米国産牛肉の輸入禁止などの影響で子牛価格が上昇した平成18年度の50万8742円に次ぐ高い水準となりました(図2)。
黒毛和種子牛の取引頭数

肉用子牛生産の安定対策について

 今年度においても肉用子牛の取引頭数の減少と取引価格の高値は続いており4月以降、黒毛和種子牛では、取引頭数が前年に比べて5%程少なく、価格は55万円前後と高くなっています。
図1 市場では1頭ずつセリにかけられます。
 このように肉用子牛価格は高値で推移していますが、過去には1年間で10万円以上も価格が変動したこともあります。
機構では、こうした事態に対応すべく、肉用子牛の価格が変動した場合にも、引き続き子牛の生産を行えるよう、肉用子牛の価格が再生産に必要とされる価格を下回ったときに、差額を補てんし、肉用子牛生産の安定のための支援をする、肉用子牛生産者補給金制度を実施しており、全国で約6万戸の生産者がこの制度に参加しています。
 
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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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