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牛乳の消費動向について

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最終更新日:2014年11月25日

消費量は減少傾向

 日本の牛乳消費量は、国民の所得向上とともに90年代まで増加の一途をたどり、日本人の体位向上や体力強化に大きな役割を果たしてきたもの考えられています。
 しかしながら、近年の牛乳消費量は、1996年をピークに、一転して減少傾向で推移し、2013年にはピーク時に比べ3割減の350万kl   となっています。このような牛乳消費の減少の要因は、人口が減少局面に入ったことや少子高齢化に加え、他の飲料品との競合が激しくなったことなどが挙げられています。

消費量は欧米の1/3以下

 日本の牛乳消費量を他の先進諸国と比較すると、まだまだ低い水準にあります。
 2012年における牛乳類の1人当たりの年間消費量を見ると、日本は約32kgであるのに対し、最も消費量の多い国の1つであるフィンランドでは約4倍強の約132kg、イギリスでは約3倍強の約106kg、アメリカでは約2・5倍の76kgとなっており、日本を大幅に上回っています。
 

各国の牛乳類消費量

国土の保全や里山の美的環境の維持に貢献

 酪農は、牧草を利用することなどにより、山岳地や寒冷地などの不利な条件でも、経営が可能であるという特徴があります。農業労働力の高齢化や後継者不足によって耕作を続けられず放棄された農地の活用という事例もあり、酪農は日本の国土の保全と里山の美的環境の維持にも貢献しています。

牛乳は栄養価の高い食品

 牛乳は、カルシウムをはじめ各種栄養素がバランスよく含まれる食品として、重要な位置を占めています。日本人の食生活で不足しがちなカルシウムやビタミンA、ビタミンB2などを豊富に含んでいます。牛乳を1日にコップ1杯(200ml)飲むことにより、成人女性が必要とする主要な栄養素を摂取することが可能です。

和食に牛乳は合わないのか?

牛乳イラスト

 ある地方自治体(市)では、今年の12月から来年3月まで市内の小・中学校の給食において、牛乳の供給を試験的に一時停止すると発表しました。理由は、望ましい食習慣の定着を目指すため、ご飯を主食とした和食メニューが多い関係から、「和食と牛乳の組み合わせは合わない」という声が関係者や保護者から上がっている点などを挙げています。
 一方、公益社団法人日本栄養士会は、「児童・生徒に一層のカルシウム不足を招く恐れがあること」や「学校給食での牛乳の飲用と伝統的な食文化の理解を深めることは矛盾しないこと」などを指摘し、同市の取り組みに対して、疑問を投げかけています。
 また、公益社団法人全国学校栄養士協議会も、「給食における牛乳の役割は非常に大きいものであること」、「食育で牛乳を活用する意義は大きく、教育的観点から見て大きな可能性がある点」を指摘した上で、「学校給食から一定期間牛乳を中止する試みについては、児童生徒の成長、食習慣、食文化の観点から冷静な判断が行われるべき」との意見を出しています。
 学校給食の牛乳供給に関しては、これまでも国及び機構で支援を行い、児童及び生徒の体位、体力の向上などに大きな役割を果たしてきました。今後も、児童・生徒の栄養と健康に牛乳摂取が重要な役割を果たすものと期待されています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196