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「でんぷんだんご」で町おこし〜北海道小清水町の取り組み〜

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最終更新日:2015年3月4日

◆ばれいしょでん粉の産地〜小清水町〜

地図
北海道斜里郡小清水町は、北海道の北東部、オホーツク地域にあり、世界自然遺産知床、阿寒国立公園、網走国定公園に囲まれ、オホーツク海に面した自然豊かな町です。
オホーツク地域では、てん菜・ばれいしょ・麦類を中心とした大規模な畑作農業が展開されています。日本国内で生産されるばれいしょでん粉はすべて、北海道で生産されたものですが、その6割は、オホーツク地域の工場で生産されています。

小清水町にも、大規模なでん粉工場があり、小清水町で栽培されるばれいしょの9割がでん粉原料用です。

◆生活に欠かせない ばれいしょでん粉

ばれいしょでん粉を使った食品
ばれいしょでん粉を使った食品
小清水町の工場で生産されたばれいしょでん粉は、全国に流通しており、「片栗粉」として一般に販売されているほか、菓子用、糖化用、麺類、水産練製品など多岐の用途に利用されています。
ばれいしょでん粉は、コーンスターチなど、他のでん粉と比べて低い温度で糊状になり、粘り気が強いという特徴があります。また、保水性が高く、焼き上げると中の水分が飛んで空洞ができるので独特の食感を生みます。
コシのあるうどんや弾力のあるかまぼこ、サクッとしたえびせんべいや口の中で溶ける玉子ボーロなど、ばれいしょでん粉の特徴を生かした食品は数え上げればきりがありません。
ばれいしょでん粉は、食品だけでなく、医薬品、塗料、接着剤などにも使われており、私たちの生活に欠かせない存在です。

◆「でんぷんだんご」で町おこし

ギネス記録達成の様子
ギネス記録達成の様子
小清水町では過疎化が進行し、人口はピーク時の昭和30年代と比べると半数近くに減少していました。
そんな中、町を盛り上げるイベントを構想していた飲食店を営む中村俊之さんと、ご当地グルメによる地域の活性化を模索していた町役場職員の秋田憲人さんは、町内の有志を集め、地域活性団体「これぞ小清水! 実行委員会」(以下、実行委員会)を立ち上げました。
実行委員会が町おこしの目玉としたのが、小清水町の家庭で昔から作り続けられている「でんぷんだんご」でした。昭和20年頃、ばれいしょの貯蔵期間を長くするために加工されたでん粉の余剰分を使って作られ、その後も受け継がれてきた郷土料理です。

ばれいしょでん粉、煮豆、煮汁、塩を混ぜて作った生地を、フライパンで両面をしっかりと焼いて作ります。ボリューム満点で、煮豆の甘さとでん粉のもちもちとした食感が絶妙な、飽きのこない美味しさです。
かつては、厳しい寒さと肉体労働で消費されるカロリーを補う食事として食べられていましたが、今では世代や男女を問わず定番のおやつになっています。
実行委員会は、平成23年2月に地域活性イベント「小清水屋台村」を開催し、目玉企画として、「でんぷんだんご」でギネス記録に挑戦しました。当日は、畳一枚分( 縦2.55m、横1.25m、厚さ3cm、重さ115.5kg)もある巨大な「でんぷんだんご」が完
成、見事、ギネス記録として認定されました。

◆実行委員会の皆さんが語る小清水町への想い

中村代表(左)と秋田副代表(右)
中村代表(左)と秋田副代表(右)
中村さんと秋田さんが、実行委員会の活動について力強く語ってくれました。
「町のこどもが大人になった時、胸を張って『小清水出身』と言えるような魅力ある町にしたいという想いがありました。ギネス記録達成は、テレビや新聞等で大きくとりあげられ、小清水町の名が全国に知れ渡りました。ばれいしょでん粉の産地であることも伝わり、福岡の大手せんべい会社が小清水町に進出するきっかけになりました。

今では私たちの活動に町や農協も協力してくれています。今後もこどもたちのためにも、町中を盛り上げる活動をしていきたいです。」実行委員会では、「小清水屋台村」のようなイベントの企画運営のほか、「でんぷんだんご」の販売、ゆるキャラ「でん坊」を用いた地域・観光PR等もしています。地元飲食店と連携し「でんぷんだんご」をご当地グルメとして定着させる取組や、SNSを利用した情報発信などにも力を入れています。
これぞ小清水! 実行委員会の皆さん
これぞ小清水! 実行委員会の皆さん

◆国内産いもでん粉を支える価格調整制度

国内産いもでん粉は、主要な輸出国と比べ、原料作物の生産条件や工場の立地条件に大きな差があります。
このため、当機構は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、コーンスターチ用輸入とうもろこしや輸入でん粉から徴収した調整金を財源に、国内のでん粉原料用いも生産者とでん粉製造事業者を支援しています。
(特産業務部)
でん粉の価格調整制度の仕組み
でん粉の価格調整制度の仕組み

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196