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食肉の消費動向について

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最終更新日:2015年9月15日

魚から肉へ進む消費のシフト

 日本人の食生活はこの50年余りで大きく変化しています。
 1960年には1人1年当たりの食肉(牛肉・豚肉・鶏肉等)供給量はわずかに3・5kgでしたが、2013年はその10倍の30kgとなりました。一方、日本人の主食である米は115kgから57kgに、魚介類は28kg(2001年には40kgまで増加)から27kgにとそれぞれ減少しています。魚介類の消費が減っている理由として、世界的な需要の増加による価格の上昇があり、一方、食の欧米化が進んでいることから、食肉をより多く消費するようになりました。

 食肉の消費量が順調に増加して行く中、日本の食肉産業に大きな影響を与える出来事がこの30年間に2つありました。1つが1991年の牛肉の自由化です。これを機に輸入牛肉の消費が増加した一方、豚肉、鶏肉の消費の伸びが鈍化しました。そしてもう1つが、2001年に日本、2003年に米国でそれぞれ発生した BSE(牛海綿状脳症)です。牛肉の消費が大きく減退し、その代わりに豚肉、鶏肉が多く消費されるようになりました。BSE発生から12年経ち、2013年5月に日本は国際獣疫事務局(OIE)から「無視できるBSEのリスクの国」に認定されました。BSE発生前のレベルにまでは達していませんが、牛肉の消費量は回復傾向にあります。

食肉から魚へシフト

高齢者の食肉消費が増加

 厚生労働省公表の2013年の国民健康・栄養調査結果によると、1人1日当たりの肉類の摂取量は90g、魚介類は73gとなり、10年前に比べて、どの年代においても魚介類の摂取量は減少傾向、肉類は増加傾向にあります。
 年齢階層別で見ると、60〜69歳の肉類摂取は2003年との比較で34%増の77g、70歳以上では同39%増の63gと総計の伸び率が16%増であるのに対し、いずれも高い伸びを示しています。高齢化が進む中で、国民の健康への関心は益々高まっており、食肉は高齢者にとって、重要なタンパク源として認識されていることがうかがえます。
 
 最近においては、食肉に限らず、食料品全般で小売価格の値上げが行われているものの、総務省「家計調査報告」によると、全国1人当たりの食料品支出は、ほぼ横ばいで推移しています。なかでも食肉の購入金額はいずれも前年を上回っていることから、食肉が他の食料品と比べて需要の落ちにくい食品であるといえるかもしれません。

外食産業における食肉消費の動向

 ところで、日本の食肉消費の形態として、30年ほど前までは各家庭で生鮮肉を購入し、調理することが主流でした。その後、特に牛肉や鶏肉は焼肉やファストフードなどの外食や持ち帰り総菜などにおける消費が増え、仕向け先の約6割を占めるに至っており、外食等における食肉消費の動向も見過ごせません。
 少子高齢化を背景に60代以上のシニア層の食肉需要は今後も注視していく必要があると思われます。また、女性の社会進出に伴い、中食・外食における食肉消費は今後も伸びていくことが見込まれます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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