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【第一線から】オホーツクの大地で実直にてん菜栽培に向き合う桑迫孝幸さんの取り組み

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最終更新日:2016年3月3日

生産実績

 北海道および一般社団法人北海道てん菜協会は、てん菜の生産振興およびてん菜生産者の作付け意欲の向上を図るため、平成23年度から、高い生産技術により高品質なてん菜を生産している生産者を表彰する「高品質てん菜生産出荷共励会」を実施しています。
 今回は、第4回の共励会表彰式(平成27年2月開催)において、「独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞」を受賞した北海道斜里郡小清水町の桑迫孝幸さんをご紹介します。
 桑迫さんは、低コスト・省力化に取り組むとともに、平成26年産の10a当たり収量、平均糖分、10a当たり糖量で道内平均を上回る優秀な生産実績を収めました。

◆自然豊かな小清水町

小清水町

 桑迫さんが農業を営む小清水町は、北海道の東北部に位置し、世界自然遺産知床、阿寒国立公園、網走国定公園に囲まれ、オホーツク海に面した自然豊かな町です。年間を通じて、降水量が少なく、日照率の高さは全国でも有数です。
 小清水町は、道内有数の畑作地域であり、農地面積のうち約75%をてん菜、ばれいしょ、小麦の3品が占めています。

◆家族で営むてん菜栽培

 「小学生の頃から両親を手伝い、中学生になると栽培方法もなんとなく分かっていたね」と話す桑迫さんは、子どもの頃から農業に携わりながら、祖父の代から始めた農業を継ぎ、現在では、両親と妻の家族4人で、22haの農地に主にてん菜、小麦、ばれいしょ、にんじん、ごぼうの5品目で輪作を実施しています。
 主に秋から冬は土作り、冬から春は育苗と移植(畑への苗の植替作業)、夏は畑の管理(除草や防除など)、秋は収穫の作業を行い、忙しい毎日を送っています。

◆生産性向上に向けて

青々とてん菜の葉が広がる桑迫さんのてん菜畑
青々とてん菜の葉が広がる桑迫さんのてん菜畑

大きく立派に育ったてん菜
大きく立派に育ったてん菜

自慢のてん菜を持つ桑迫孝幸さん
自慢のてん菜を持つ桑迫孝幸さん

 9月中旬、桑迫さんに畑を案内していただくと、青々と大きく伸びたてん菜の葉がまるで絨毯のように一面に広がっていました。大きな葉をめくると、土の中から丸々と太ったてん菜が顔を覗かせていました。
 「今年は適度な降水と長い日照時間のおかげで昨年を上回る収量になりそうだ。さらにこの時期の日中と夜の寒暖差による糖分の上昇も期待できる」と桑迫さんは嬉しそうに話してくれました。
 さらに、生産性向上の取り組みについては「手間がかかっても、基本に忠実に育てること」と話されました。
 例えば土づくりは、「NKゆう水」という、町内のでん粉工場のばれいしょでん粉の絞り汁を利用して、pH調整後、臭いを除いた有機態窒素とカリウムを主成分とした高濃度の液肥を散布します。NKゆう水の利用により化学肥料の削減に努めるとともに、有機質により土壌微生物が活性化し、てん菜の生育に適した健康な土作りに取り組んでいます。その上で、毎年、土壌診断を行い土の健康状態を把握するとともに、固くなった畑の土を機械で掘り起こし土を柔らかくすることで、てん菜が育ちやすい環境を整えています。
 育苗管理では、低温育苗を意識して、ハウス内で外側と内側の苗を交互に移動させる「苗ずらし」を行った後に、ハウス外で霜が降りるまで外気に触れさせるそうです。桑迫さんは、このような強い苗を育てる健苗育成に力を注ぎ、「試行錯誤しながら、人と同じで小さい頃から厳しく育てると丈夫で健康な苗になることが実感できた」と長年の経験により得た技術であることを明かしてくれました。
 移植後は、病害虫の防除や除草のために、こまめに畑を周ります。除草剤は必要最低限とし、耕運機や手作業で除草を行っています。
 広大な畑を管理することは容易なことではありませんが、行き届いた管理により虫や雑草の少ない桑迫さんの畑は、小清水町の中でも評判です。
 桑迫さんは、まるで人を育てるように、時に厳しく、時に優しく、てん菜の栽培に実直に向き合っています。

◆仲間との助け合い

 桑迫さんは、農家の経費負担や家族の作業負担を減らすために、機械や育苗ハウスを共同利用する「北栄トラクター利用組合」や「浜小清水地区てん菜育苗集団」を立ち上げ、組合長や会計を担いながら、地域の仲間と協力して農業に取り組んでいます。
 受賞の感想を伺うと、「団体賞をつくってほしい。今度は仲間と一緒に賞がとれると嬉しいね」と話すほど、地域の仲間の存在を大切にしています。

◆今後の展望

 「行政や肥料メーカーと情報交換しながら、今まで以上の糖度の高いてん菜が作れるよう生産技術を高めたい」と現状に満足せず、さらに上を目指す桑迫さん。
 最後に「これからも消費者の皆さんに安全で安心なてん菜糖を届けられるように誠意をもって、農業に取り組んでいきたい」と力強く話してくれました。

◆国内産糖を支える価格調整制度

 国内産糖は、主要な輸出国と比べ、原料作物の生産条件や立地条件に大きな差があります。このため、alicは「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、輸入糖から徴収した調整金を財源に、国内の甘味資源作物生産者と国内産糖製造事業者を支援しています。      (特産業務部)

砂糖

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