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【alicセミナー】「最近の中国の豚肉需給動向」「生鮮鶏肉輸出再開後のタイの鶏肉産業の動向」

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最終更新日:2016年9月7日

 alic調査情報部では、最新の農畜産物の需給状況などを把握するため海外調査を実施しています。7月27日(水) に、畜産振興部(前調査情報部)伊澤昌栄より中国の豚肉需給動向および調査情報部審査役 木下雅由よりタイの鶏肉産業の動向について調査結果の報告を行いましたので、その概要を紹介します。

国際需給を見る上で注目される中国の豚肉需給動向

推移

推移

輸入量

 中国は、豚の飼養頭数、豚肉の生産量ともに世界第1位です。中国国内では、ギョーザなどで使用されるように、豚肉は最も多く食べられている食肉で、生産された豚肉のほとんどは国内向けとなっています。所得の向上が見込まれる農村部を中心とした需要の増加により、豚肉の消費量は、今後も増加すると予測されています。
 一方で、生産サイドでは、2014年に豚出荷価格が下落したことにより、小規模経営を中心に離農が進みました。食肉加工企業などの大規模直営養豚場の設置や資本家などの農外からの参入に加え、政府による大規模化支援などにより、養豚経営の大規模化が進んでいるものの、政府は、それ以外の生産振興策を大々的には打ち出していないことから、全体的には豚飼養頭数、豚肉生産量ともに減少しました。
 このような中、豚肉の輸入量は増加しています。特に、ロシアによる禁輸措置を受けたドイツなどEU諸国が中国向けにシフトしたことから、EU産豚肉の輸入量の増加が顕著に見られるようになりました。中国産豚肉よりも安価な輸入豚肉は、ハムやソーセージなどの加工用を中心に需要が高まっています。また、一時輸入量が減少したアメリカ産も、アメリカの大きな輸出企業が中国向け生産の強化と中国国内での豚肉加工品生産拠点を設置したことにより、
 今後は増加すると見込まれています。今後も飼養頭数・生産量の減少と消費量の増加が見込まれていることからも、中国の豚肉市場は今まで以上に国際需給を見る上で重要なものになると予測されます。
【参考】月報『畜産の情報』2016 年6 月号「最近の中国の豚肉需給動向」
 https://www.alic.go.jp/content/000125474.pdf

増加傾向で推移しているタイの鶏肉輸出

円グラフ

推移

 タイの鶏肉生産量は、アメリカ、中国、ブラジルなどの主要生産国に比べて少なく、日本よりわずかに多い程度です。しかし、その輸出量は、ブラジル、アメリカ、EUに次ぐ世界第4位で、タイにとって日本は主要鶏肉輸出国の一つです。日本の鶏肉消費をみると、その4割弱が輸入で、消費全体に占めるタイ産の鶏肉割合は、1割強となっています。
 2004年1月にタイで鳥インフルエンザが発生したことにより、生鮮鶏肉の輸出は停止されましたが、から揚げなどのように鶏肉に加熱処理を施した加熱加工品へシフトしたことにより、結果として、鶏肉輸出量は増加傾向で推移しています。その後生鮮について、2012年2月にEU向け、2013年12月に日本向けが解禁されたことにより、近年、生鮮鶏肉の輸出も増加しています。
 鳥インフルエンザの発生は、タイでの家きん防疫体制の強化につながっています。例えば、タイ農業協同組合省畜産局の指導のもと、リスクに応じた農場管理体制による飼養農場の管理などがあげられます。その中で最もリスクが少ないとされているのがコンパートメントというひなの供給から食鳥処理までの一連の生産施設の集合体です。今後、鳥インフルエンザが発生しても、発生のないコンパートメントからの輸出であれば継続ができるよう輸出先国と交渉していますが、実現には時間がかかると見込まれています。
 なお、今後タイの鶏肉生産量は一時的に減少する可能性が考えられます。タイの鶏肉生産は、大手鶏肉企業がアメリカを中心に輸入した原種鶏(鶏肉となる鶏を産む元となる鶏)を元に行っていましたが、2015年1月にアメリカで鳥インフルエンザが発生したことにより、原種鳥の輸入先を切り替えました。一時的ではあるものの、その時期の輸入が不十分であることが要因です。
 しかしながら、タイでは、顧客の要望への対応力を生かして、付加価値の高い加熱加工品を中心に、生鮮の鶏肉についても、今後も輸出に力を入れていくことと考えられます。
【参考】月報『畜産の情報』2016 年6 月号「最近の中国の豚肉需給動向」
 https://www.alic.go.jp/content/000125474.pdf
当日の詳しい資料はこちらに掲載してありますのでご覧ください。
 ・https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000421.html

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