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【業務関連情報】肉用牛・乳用牛の飼養動向

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最終更新日:2016年9月7日

子取り用めす牛の減少に歯止め

推移表

推移

 牛肉は良質な動物性のたんぱく源であり、日本では年間一人当たり6kgを消費しています。そして、牛肉の国内消費量の約4割を国内の肉用牛農家が支えています。現在、国内で生産されている牛肉は、肉専用種に由来するもの(いわゆる和牛)が約45%、酪農経営から生産される乳用種及び交雑種に由来するもの(いわゆる国産牛)が約55%となっています。牛肉生産量は平成25年度から3年連続で減少しており、27年度は33万tでした。生産量の減少は、生産者の高齢化に伴う離農が進み、肉用子牛や酪農の生産基盤が縮小していることなどが背景にあります。

 こうした中、平成28年7月5日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の肉用牛飼養戸数は、前年に比べ2500戸減の5万1900戸となり、昭和32年の調査開始以降、59年連続での減少となりました。
 また、肉用牛の飼養頭数は、前年に比べ1万頭減の247万9000頭と、平成22年以降、7 年連続での減少となりました。このうち肉用種は164万2000頭(前年比1.1% 減)、乳用種は、ホルスタイン種他が33万1800頭(前年比3.9%減)、交雑種が50万5300頭(前年比4.7%増)でした。子牛価格が高値で推移する中、酪農家が子牛販売収入の増加を目的に、乳用牛への黒毛和種の交配率を上昇させたことから、交雑種の飼養頭数の増加につながりました。
 飼養頭数規模別に見ると、100〜199頭規模の層は前年に比べ8.6%増となったものの、それ以外のすべての層で減少しており、中でも1〜4頭の小規模階層における減少幅が前年比21.2%減と大きくなっています。
 この結果、1戸当たりの飼養頭数は前年から2.0頭増加して47.8頭となり、生産の集約化が強まっていることが見て取れます。また、飼養戸数の4.4%を占める200頭以上の層が肉用牛の5割以上を飼養していることが明らかとなりました。
 子牛を生産することを目的として飼養している肉用種のめす牛(子取り用めす牛)の全国の飼養頭数は、前年から8600頭増の58万8100頭と6年ぶりに増加に転じました。地域別に見ると、飼養頭数が2番目に多い東北は9万4600頭と前年から4300頭減少したものの、第1位の九州は28万4400頭、第3位の北海道は7万2700頭と、前年からそれぞれ7700頭、6900頭の増加となりました。
 肉用子牛価格は、子牛の出生頭数の減少などを背景に、24年秋以降上昇しており、これら子牛を購入して肥育牛として出荷する肥育農家の経営を圧迫する状況が続いています。子牛の生産基盤の強化に向けて、さまざまな対策が講じられる中、子取り用めす牛飼養頭数の減少に歯止めがかかったことで、今後の生産基盤の回復が期待されます。

乳用牛は飼養規模拡大も頭数は減少

推移

 牛乳・乳製品は、良質なたんぱく質やカルシウムなど各種栄養素に富み、機能性の面でも優れた食品で、日本での年間一人当たりの消費量は90kgに上ります。
 牛乳・乳製品の自給率は63%ですが、牛肉の自給率が42%であることと比較すると、高い割合となっています。
 牛から搾ったままの乳(生乳)は、生ものなので、すばやく乳業工場に運ばれ加工されます。牛乳や生クリームなど日持ちがせず、日々製造する製品のほか、保存性の高いバターや脱脂粉乳に加工されます。バターや脱脂粉乳は、生乳が多く生産される時期に生産し在庫として保管しておき、需要が増える時期に市場で販売されます。このようなバターなどの生産と販売の方法は、酪農家が生産する生乳の需給調整弁の機能を果たしています。これは、日々生産・販売しなければならない牛乳などの不足を防ぐ一方、生乳生産量が減少したり、牛乳の消費量が増加すると、バターの生産量が大きく減少してしまうという構造になっています。
 「畜産統計」によると、平成28年2月1日現在の乳用牛の飼養戸数は前年から700戸減の1万7000戸となりました。また、飼養頭数も前年より2万6000頭減の134万5000頭となりましたが、生乳を生産する経産牛(子牛を産んだ母牛)は、4年ぶりに増加に転じるなど明るい兆しもみられます。
 1戸当たり飼養頭数は79.1頭と前年より1.6頭増加しました。現在も小規模経営の離農や中規模層以上での規模拡大への取り組みやスケールメリットを生かそうとする特に大きな農家、いわゆるメガファームの増加が進行していると言われ、今後も規模拡大の傾向は続くものとみられています。
 また、前述の乳用牛への黒毛和種交配率が高水準となっていることから、今後の安定した酪農生産基盤のためには、計画的に乳用牛の後継牛を確保することが課題とされています。

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