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【業務関連情報】氷砂糖のあれこれ

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最終更新日:2017年5月10日

 ショ糖の大きな結晶である氷砂糖は「甘い宝石」とたとえられ、家庭では主に梅酒や果実酒、梅シロップ作りに使用されています。他にも、ショ糖純度が高くすっきりとした甘みであることから、素材の風味を引き立てたい和菓子などの高級なスイーツに使われていますが、家庭で煮豆や豚肉の角煮などの煮物を作る際に砂糖の変わりに氷砂糖を使い、上品な味に仕上げるという方もいます。また、喫茶店のテーブルに置いてある茶色の小粒のコーヒーシュガー。これも、氷砂糖の一種です。

種類と製造方法

氷砂糖にはロック型(凹凸の結晶)とクリスタル型(16面体)があり、ロック型は明治時代初期から伝わる従来の氷砂糖で、浅い金属製の容器(皿)にグラニュー糖を溶かした濃度の高い液を張り、その中に種となる結晶を入れ、50〜60℃に保たれた密閉された室(むろ)に約2週間置いて砂糖の結晶を成長させたものです。できあがった後、砕いたものが製品として出荷、販売されます。クリスタル型は網目状の仕切がある円筒内に濃いグラニュー糖液、次いで種となる結晶を入れて約70℃の熱を加えながら回転させて製造します。製造期間は3〜4日とロック型よりも早く出来上がり、大きさが均一になるため、大量生産に適しています。

氷砂糖

機械

氷砂糖の生産状況

 平成17氷糖(ひょうとう)年度(平成17 年7月〜18年6月)および平成27氷糖年度(平成27年7月〜28年6月)における氷砂糖の種類別生産量は図のとおりとなっています。
 平成27氷糖年度における氷砂糖の生産量は1万6000t(うちロック型3600t(23%)、クリスタル型1万1500 t(72%)、コーヒーシュガー900t(5%))となっており、10年前と比べてみると種類別の構成比としてはほぼ変化が見られないものの、全体の生産量は8%減少しています。過去にはコーヒーシュガーが人気を博し、最盛期の昭和59氷糖年度には6800t製造されましたが、ブームが去ったため現在では年間900t程度の生産量にまで減少してきています。

グラフ2

非常食・備蓄食としての氷砂糖の効用

 砂糖は、法律で賞味期限を表示する必要のない食品に定められていることからもわかるように長期保存の可能な食品です。常温でも品質が安定しており、災害など万が一のときの非常食、備蓄食としても適していると言えます。2011年に発生した東日本大震災以降、非常食、備蓄食を用意した家庭、会社などが増えていますが、砂糖、とりわけ氷砂糖はそのまま摂取できることからとても適していると言えるのではないでしょうか。また、登山やマラソンなど、長い時間体を動かす場合の携行食としてもお勧めできます。このようなとき、氷砂糖を摂取する効果としては、一般的に次の3点が挙げられています。

(1) 疲労回復
 氷砂糖は消化管からの吸収が良好で、素早く脳をはじめとする主要な臓器のエネルギーに変換されるため、長期避難生活や復旧作業時・運動時の疲労回復に効果があるとされています。

(2) 口や喉の渇きを癒す
 氷砂糖は後味が良く、口の中でゆっくり溶けていくため、唾液の分泌が促進されやすいと言われています。

(3) 精神安定
 糖分には、脳を活動させる神経伝達物質で気持ちを落ち着かせてくれるセロトニンの産生を促す作用があるので、災害時のパニックや疲労などからくる精神不安やイライラが緩和されると言われています。

梅酒作りに欠かせない氷砂糖

ロック

 氷砂糖の代表的な家庭での用途は梅酒、梅シロップです。一般家庭で梅酒を作るようになったのは、昭和37 年の酒税法改正以降のことで、現在では誰でも簡単においしい梅酒を作ることができます。材料である氷砂糖は梅の旨味をじっくり引き出すとともに微生物の発生を防ぎます。梅に含まれるクエン酸には疲労回復効果があるので、夏バテ予防として飲まれる方も多いようです。
 梅酒を作る際、氷砂糖は梅の重しになり、少しずつゆっくり溶けていき、徐々にホワイトリカー中の砂糖濃度を上げてくれます。そのことにより、梅の組織の中に液体と同じくらいの濃度の糖分を染み込ませ、浸透圧で梅の中のおいしさ(エキス)を引き出します。一般的にはロック型の氷砂糖の方が梅酒を作る際にじっくりと梅のエキスを引き出し、アクの少ない上品な味に仕上げると言われています。
 氷砂糖は、梅酒以外でも、春はいちご、夏みかん、夏はあんず、びわ、秋はすだち、ざくろ、冬にはきんかん、ゆずを使って季節ごとに果実酒を作って、ご家庭で楽しんでみてはいかがでしょうか。
 
(特産調整部)
写真提供:中日本氷糖株式会社
参考文献:砂糖の事典(東京堂出版)、砂糖類情報(2011年7月号)「非常食としての氷砂糖」、梅酒物語(中日本氷糖株式会社作成)) 出来立てのロック型氷砂糖
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